えしぇ蔵日記

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従軍記

2008年10月22日 | えしぇ蔵的歴史探訪
海の向こうでは未だにどこかでドンパチやってるわけだが日本はすっかり平和が常態となり、祖先が滅亡寸前になるまで他の国と戦ったことを教科書に載っている遠い昔の歴史上の出来事ぐらいにしか認識していない人が多くなってしまった。戦争経験者はかなり高齢化し、その体験を生の声で聞く機会は減りつつある。ましてや戦闘経験者ということになると更に少ないわけで、仮に昭和20年の時点で19歳で学徒出陣したと仮定するとその人は82歳になっている。当時最も若かった兵士(予科練を除く)でさえ82歳ということなら、日本の国から戦闘経験者が皆無になる日は遠くない。そうなったら当時のことを調べようにも記録に頼るしかなくなる。今までは先に行って落とし穴に落ちた人が、後から来る世代に落とし穴の位置を教えてくれたからよかったが、これからは誰も教えてくれないことになる。戦争・戦闘経験者とつながりのあるワシらの世代は、落とし穴の恐怖を知らない未来の日本のために警鐘になるものをなにか残すべきではないだろうか?そんなことをふと考えたので、今朝は駅前のYさんのところでちょっと相談してみた。
 
ワシ: 「Yさん、今度ゆっくりYさんの従軍記を聞かせて下さい」
Yさん: 「なにを?」
ワシ: 「従軍記。兵隊に行った時の話」
Yさん: 「あぁ、兵隊に行った時のね」
ワシ: 「私それを本にしたいんですよ。小説にね」
Yさん: 「本に?はははは」
ワシ: 「Yさんは召集令状が来て入隊したんですか?」
Yさん: 「いや、召集令状ていうのは兵隊に行ったことがある人が貰うと。あたしたちは現役よ」
ワシ: 「あぁ、義務で兵隊に行く年齢に達したから?」
Yさん: 「そうそう。それで検査を受けてね。あたしは乙種合格やった」
ワシ: 「へー」
Yさん: 「それで10月に福岡の24連隊に入ったよ」
ワシ: 「そこで訓練ですか?」
Yさん: 「いや、一週間そこにおってすぐ現地よ」
ワシ: 「いきなりですか?」
Yさん: 「そう。現地で訓練よ」
ワシ: 「うわー」
Yさん: 「それで輸送船に乗って朝鮮に渡ったよ。あたしたちの前の船は敵の潜水艦にやられてね。あたしたちの船がそこ通った時は死体とかいろいろ浮いとったよ。ぷかぷかね」
ワシ: 「浮いてたんですか・・・死体が・・・」
Yさん: 「そう。それ見た時に、あぁこれが戦争やなぁて思うたね」
ワシ: 「はぁ・・・」
Yさん: 「あたしたちは山西省の陽泉ていうところに送られたよ。そこで訓練を受けたと」
ワシ: 「へー」
Yさん: 「他の隊でこういうことがあったよ。ちょうど大晦日の日やったね。上官がね、度胸を試すいうてね、新兵に一人づつ捕虜をあてがってね、銃剣で殺せて言うたとよ」
ワシ: 「・・・・・・」
Yさん: 「そん時はまだ戦闘経験なかったけんね。みんな殺しきらんたい。でも上官の命令は絶対やけね」
ワシ: 「殺したんですか?」
Yさん: 「殺しよったよ。銃剣で刺してね。翌日は元旦やったけ餅が出たけどね、その隊のもんは誰も餅食わんかったよ」
ワシ: 「・・・・・・そうですか・・・・・・」
Yさん: 「捕虜はね、殺される時誰も助けてくれて言わんとよ。じーっと睨んでね。あの目だけは忘れられんて言いよったね。あたしやったら助けてくれて言うやろうねぇ・・・」

本当はもっとすごい内容の話をうかがったがとてもここには書けない。人間はそこまで残虐になれるのか。戦争の恐ろしさは強制的に人間性を曲げてしまうことにある。混沌の中にあって怒りと恐怖によって内面が変化する人間自体にその恐ろしさは内包されている。環境によって人間はどんな状態にも変化し、どんなことでもしてしまうということをワシらは知っておかなければならない。平和な時代における人間性は一時的なものに過ぎないことを認識しておくべきなのだ。
それにしても貴重な話が聞けてよかった。Yさんは今年85歳。
 
今日は「新郷商会」さん、「三開発」さん、「太田自動車鈑金」さん、「粕屋のお客さん」、「ブライダルミュージアム ビッビ」さんとまわった。
 
みんなワシの日記を読んでるので、「新郷商会」さんでは源太さんに、「三開発」さんでは常務に、「次はRX-8ですか?」と聞かれた。いやいや、まだまだリカちゃんいけます。まだまだ先です。
 
太田自動車鈑金」さんにいる時に京子さんが来ていろいろくっちゃべって帰っていった。京子さんは先日、山道を運転中にイノシシに体当たりされて車をへこまされたそうな。そんな人珍しいよな。イノシシに車へこまされるとか。
 
「イノシシ」
 
イノシシと
事故って保険
何対何?
 
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