漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 446

2024-07-05 06:46:12 | 貫之集

野やどりせる旅人

しもがれの くさまくらには きみこふる なみだのつゆぞ おきまさりける

霜枯れの 草枕には 君恋ふる 涙の露ぞ おきまさりける

 

野宿する旅人

霜枯れの草を枕にして旅寝をすると、あなたを恋しく思う涙が、草に夜露がますます置くようにあふれ出てきて、眠ることができないよ。

 

 第五句「おき」に「(露が)置き」と「(眠れずに)起き」の両義を持たせて歌意を膨らませているのが匠の技ですね。