漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

鳥の名の訓読み

2014-04-29 18:50:44 | 雑記
 前々から訓読みが弱い弱いと言っていて、自分なりに補強はしているつもりながら、「辞典」をめくっているとやっぱり十分認識できていない訓読みにたくさん出会います。特に一文字で送り仮名のない訓読みは文脈から推定するのも難しく、知らなければほぼそのまま誤答になりますので、しっかり対策したいところです。
 というわけで、覚えにくい訓の中から、今日は鳥の名をまとめてみました。四字熟語や故事・成語でおなじみの漢字もちらほらとありますが、改めて訓を聞かれるとなぜかすっと出てきません。「ブログに書いて自分に印象付ける作戦」です。(苦笑)
(かっこ内は、「漢検 漢字辞典」初版の掲載ページです。)


【鷸】   しぎ  (57)
 【鷸蚌(いつぼう)の争い】 は、シギとハマグリの餌の取り合いですね。
 【鷸子(つぶり)】 は、「辞典」の索引にある熟字訓。

【鶲】   ひたき   (117)
 ヒタキ科の鳥の総称。 【火焼】 とも書く。

【鶚】   みさご   (205)
 熟字訓 【雎鳩(みさご)】 も覚えておきたい。
 【雎】 一字でも「みさご」。
 「みさご」の由来は、 「飛びながら魚をさがし、急降下して足でつかみとる ⇒ 水をさぐる ⇒ みさご」 だそうです。

【鶪】   もず   (402)
 これは環境依存文字かもしれません。左側に「目+犬」、右側が「鳥」です。
 単漢字より熟字訓(【百舌】)の方が人口に膾炙してますね。漢字が簡単だからかな?
 「辞典」に 【鶪の速贄(もずのはやにえ)】 が載っていますが、 24-3 で出題されたときは 「百舌のハヤニエ(早贄/速贄)」 で、問われたのは「ハヤニエ」の方、「モズ」の表記は 【百舌】 でした。

【鴃】   もず   (404)
 こちらも「もず」。左右逆(【鴂】)に書いても良い漢字です。

【鴿】   どばと   (513)
 本試験には出そうにない気がしますが一応。
 【土鳩】 とも書く。

【鵠】   くぐい   (513)
 個人的に覚えづらい鳥の名の筆頭です。「くぐい」という語自体がもともと私の語彙にないせいでしょう。
 鳥の名ではありませんが、【正鵠を射る】 の場合は対応する訓は 「まと」 ですね。

【鶻】   はやぶさ   (528)
 四字熟語 【兎起鶻落(ときこつらく)】 は、書画や文章の筆致に勢いがあることのたとえ。「ウサギが飛びあがり、ハヤブサが急降下するような勢い」ってすごいね・・・

【鴟】   とび   (622)
 15-2、18-2 で 【鴟尾(しび)】 が書き取りで出題。 【鴟尾】 は「とびのお」とも読むとありますが、これは厳密には熟字訓でしょうか。
 熟字訓と言えば、 【怪鴟(よたか)】 が 23-2 で出題。【鴟尾草(いちはつ)】 【角鴟(みみずく)】 も押さえておきたい。

【鵄】   とび   (622)
 「辞典」では 【鴟】 の許容字体とされていますが、「要覧」では別字扱い。「要覧」では、【鴟】 の方にだけ、「辞典」にない「ふくろう」の訓読みが付されています。

【鵲】   かささぎ   (663)
 四字熟語 【鵲巣鳩居】 は 17-1 で出題。【鵲巣鳩占】 も同義。
 【鵲豆(ふじまめ)】 は「辞典」の索引にある熟字訓ですが少々マニアックか?

【鶸】  ひわ   (663)
 【鶸色(ひわいろ)】 が 16-3 の訓読みで出題。「ひわ」そのものは熟字訓の方(【金翅雀】)が25-1 で出ました。

【鵯】   ひよ/ひよどり   (1274)
 23-2 で、故事・成語の 「渡りヒヨドリ戻り鶫」が出ました。私も受検した回ですが、残念ながら書けず。悔しかったなぁ。

【鶩】   あひる   (1414)
 23-1 の文章題の読みで出題。そのときは音読みの「ボク」も正解とされたようです。音読みは 21-2 でも 【鶏鶩(けいぼく)】 が出題されています。

【鷂】   はいたか/はしたか   (1521)
 これも「はいたか」という語自体知らなかったので覚えにくいです。鷹狩りに使われた鳥とのことで、言われてみればテレビ番組か何かで聞いたことがあったかもしれません。


 初夏のような陽気の日も増えて来ましたね。
 今夜はビール片手に漢字三昧・・・かな?? (笑)

25-3 合格率

2014-04-23 21:07:57 | 雑記
 25-3 の合格率が漢検協会のHPに発表になっていました。


1級 : 受検者 1,371人 合格者 145人 で合格率 10.6%
準1級 : 受検者 5,107人 合格者 421人で合格率 8.2%


とのことで、1級・準1級とも前回(1級18.3%、準1級17.2%)より大幅に低下しました。特に準1級は、HPに出ている中では 24-1 の3.6%、19-2 の 5.3% に次いで低いですね。かなり難しかったということでしょう。個人的には、今まで合格した回の中では一番合格率が低かったので、そういう回に合格できたということは、少しは力がついてきたかなと思っています。

 26-1 まであと丁度60日になりました。皆さん、頑張りましょう!


初めての合格のために その6(最終回) 「教材」

2014-04-20 11:08:16 | 初めての合格のために
 好き勝手なことをつらつらと書いてきましたが、最後は勉強のための教材についてです。


<漢検協会の出版物>

 繰り返しになりますが、この一連の記事の主眼は、過去問と四字熟語の学習を徹底することが合格への最短距離だということでした。従って、次の各書は必須ものとして、手元に持っておくべきと思います。(協会の出版物は価格が高いのが悩ましいですね。全部定価で買うと16,500円ほどになります。う~ん・・・)

★ 漢検 漢字辞典

★ 漢検 四字熟語辞典

★ 漢検1級 完全征服

★ 漢検1級 分野別精選演習

★ 漢検 1/準1級 過去問題集 (平成22年度版~)

 上記のうち、特に「漢検 漢字辞典」については必携中の必携です。知らない熟語に出会ったとき、1級合格を目指すための効率の観点では、「その熟語が『辞典』に載っていれば覚える。載っていなければ無視する。」という単純な基準で取り組むのが良いと思います。実際、本試験で難問と思われる出題も、そのほとんどが「辞典」を網羅していれば正答できる問題です。

 一方で、上記にあげなかった協会の出版物ですが、「漢検要覧 1/準1級対応」については、必ずしも購入しなくても良いと考えます。掲載されている参考資料は読み物としてなかなかおもしろいですし、何よりもこの「要覧」が正式な審査基準ですから持っているに越したことはないと思いますが、合格のためにすごく役立つかと言えば、そんなことはありません。特に、各漢字の用例がまったく載っていないのが学習ツールとしては致命的。そもそも「学習ツール」ではなく、あくまで「正式資料」なんでしょうね。購入するかどうかは、「資料」として持っておきたいかどうか、との判断で良いと思います。



<漢検協会以外の問題集>

 漢検協会以外からも、少ないながらいくつか問題集が出ていますが、過去問が大層だったり、実際には出題されない(or されなくなった)類の問題(国名・地名の熟字訓、「要覧」にあって「辞典」にない読み、配当外漢字など)が出ていたりで、「これだ!」と思うようなものは正直言ってありません。
 などと言いきってしまっては身も蓋もないので、手持ちのものについて少しコメントします。

★ 頻出度順 漢字検定1級 合格!問題集   新星出版社
 市販のものの中では、個人的には一番のお勧めです。過去問が大層ですが、「出題されない問題」は少ないです。文字が大きくて見やすいのと、問題の例文が易しいので知らない熟語の意味が推定しやすい利点もあります。最近の版では、本編とは別に巻頭に「直近1年の過去問」が載っているようで、これも有用かもしれませんね。

★ 本試験型 漢字検定1級 試験問題集   成美堂出版社
 本試験形式の模擬試験問題が17回分。読み問題に「出題されない問題」がそこそこ含まれているのが難点ですが、本試験と同じ形式でたくさんの問題に触れられるので、持っておいて損はないかと思います。過去問にないオリジナルの問題も比較的多いように思います。

★ 漢検合格ノート 1級   一ツ橋書店
 かなり癖のある問題集で、なぜか漢検配当外の漢字も出題されています。形式も独特で難問奇問(?)も多いので、はっきり言って、学習当初にこれを使うことはやめた方が良いと思います。一方で、本試験で新出の故事・諺がこの問題集には出ていた、なんてことがあったりもして、ある程度地力がついた段階で、問題を取捨選択しながら使うと味が出てくる感じがします。

 この他に著名なものとして高橋書店の「漢字検定 1級・準1級」がありますが、1冊で準1級とセット(=当然、1級に割かれている分量が少ない)というのが気になって私自身は購入していません。巻末に何回分か模擬試験問題もついているようなので、持っていても良いかもしれませんね。


 知る限り、市販のものについてはこんなところですが、これらを買う買わないはともかく、1級に関してはやはり問題集は「自分で作る」必要があると思います。1級合格者でノートなりエクセルなりで自分で問題集なり資料なりを作っていない人は、まずいないのではないでしょうか。



<ネットの活用>

 こちらは個々に詳しくは書きませんが、ネットの情報やWEB問題集を活用することは重要です。先人リピーターのブログは、勉強法という点でも、また自分にとっての新出問題との出会いという意味でも大変参考になり、私も複数のブログに定期的にお邪魔しています。ブログ以外でも、植物名の熟字訓が出てきたらその写真を見るとか、辞典を引くのが億劫なとき(汗)にとりあえずネット検索して意味を確認するなど、1級合格を目指す上でもネットは情報の宝庫であり、大いに活用すべきでしょう。



 さて、いろいろと書いてきましたが、一旦、このシリーズは終了です。読んでいただいてありがとうございました。すべて私の個人的な思い・考えですので、当然異論やご批判もあろうかと思いますが、少しでも1級合格を目指される皆さんのご参考になる部分があれば幸いです。


 26-1まであと60日ほど。皆さん、頑張りましょう!

 引き続きよろしくお願いいたします。


初めての合格のために その5 「分野別の戦略(2)」

2014-04-18 18:44:00 | 初めての合格のために
 「分野別の戦略」後半です。


(六)熟字訓・当て字  目標9点
 25-3 では分類Aで8点。25-1、25-2 でも同じく8点でしたので、過去問と「完全征服」「分野別」でほぼ8点確保できると考えて良いでしょう。一方、以前に「熟字訓・当て字をどこまで覚えるか」の記事に書いた通り、この設問は「漢検 漢字辞典」巻末の「熟字訓・当て字索引」に出ている語を網羅すれば、ほぼ毎回10点満点が期待できます。分類Aだけで8点取れるものを、あと2点のために索引掲載分を全部覚えるのかどうか、効率という観点では悩ましいところで、1級四字熟語を網羅することほど強くはお勧めしませんが、熟字訓が嫌いでなければ取り組む価値はあると思います。理由は、

 ★事実上「出題範囲が限定されている」設問であり、得点源としうること。
 ★覚えていれば確実に正解できる一方、覚えていなければそれまでであること。(その場の推定での正解はまず期待できない。)
 ★地名・国名は無視して良いとすれば、覚えるべきは1,700個程度であること。(これを多いと見るか少ないと見るかということですが。)

です。熟字訓が好きだということと、分類Aだけで8問取れるなどとは学習当初には露知らずにやみくもに全部覚えに行ったという個人的事情から、私は結果的に索引掲載分は網羅することとなりましたが、実際にどうするかは受検者個々のご判断でしょう。分類Aだけに絞って勉強し、残りの時間は他の分野に当てるという選択肢ももちろん有力と思います。
 なお、地名・国名に関してですが、漢検協会が公表している1級の「審査基準」には今でも「地名・国名などの漢字表記(当て字の一種)を知っていること。」と記載されています。従っていつ出題されてもおかしくはないのですが、実際には平成15年度以降1問も出題されていませんので、「完全征服」「分野別」を学習する際も、効率の観点からは地名・国名は捨象すべきでしょう。


(七)熟語の読み・一字訓読み  目標9点
 25-3 では分類A~Cで6点、25-2、25-1も7点ですから、9点の目標は少し高いかもしれません。あえて9点としているのは、ここの対策に力を入れて学習することで、一つの漢字に出会ったときに音読み・訓読み両方に注意を払う習慣がつき、(一)と(七)の対策が同時に進められるからです。(一)の音読み問題の過去問が、そのまま(七)の熟語として出題されるケースもままあります。従って、分類Aを一通り学習した上での追加学習としては、ある漢字の音読み(訓読み)を学習する際、その漢字の訓読み(音読み)にも着目して(七)の形式の問題を自作し、ストックしていくことをお勧めします。その自作問題に採用する訓読みは、「漢検 漢字辞典」に記載されている読みに限ることは言うまでもありません。


(八)対義語・類義語  目標14点
 ここは次の(九)と並んで、近年の難化が著しい分野です。「地道に語彙を増やしていくしかない」という、身も蓋もない「戦略」になりますが、逆に、分類A~Cに属する出題は絶対に落としてはいけません。解答は過去問と同じでも問題の熟語が違っていたり、問題と解答の熟語が入れ替わったりと、出題者からの投げかけはさまざまですので、過去問に取り組む際も表面的な学習にとどめず、掘り下げていく必要があります。過去問そのものではないが過去問から正答が可能な「分類B」をきっちり正解することが大切な分野と言えます。


(九)故事・諺  目標14点
 新出問題を正解することはなかなかハードルが高く、私自身も地道に学習はしていますが今も「14点」を上回ることができません。一方、多くの場合分類D・Eは3問程度であり、分類A~Cをしっかり確保することで、14点は確保できます。中でも(五)でも書いた通り、「●●之●」の形を含めた1級配当四字熟語をしっかり学習して、分類Cを正解することが重要です。


(十)文章題  目標 書き取り14点 読み9点
 実践できていない私が言っても説得力がないですが、明治期以降の著述を読むことが苦にならない方は、良く出題される幸田露伴、森鴎外といった作家の著作を読むことが対策になるのではないかと思います。そうしたことを別とするなら、内容は書き取りと読みですから対策は(一)(二)(七)などと大きな違いはありませんが、受検テクニック的な観点から一言。特に書き取りに関して、文章題ならではということで、文章全体の文脈から正解を推定できる場合があります。特に新出の熟語に関しては、そうした推定が可能な出題を出題者が意図しているように思える問題が少なくありません。にもかかわらず、私に関して言うと本試験のその場では推定ができず、帰宅してよくよく問題文を読んでみたら「あぁ、推定できる問題だったなぁ・・・」と悔しい思いをすることが多々あります。これは試験本番での緊張感ということももちろんあるのですが、恐らくは1時間の試験時間の後半になって文章題に取り組むことによる、脳の疲労が一因です。試験後半になると、難解な文章を注意深く読むだけの頭の体力が残っていないのですね。若い方には無縁の話かもしれませんが、50代という年齢ゆえでしょう。なので次回から、(十)を最初にやるというのを試みてみようかと思っています。


 「分野別の戦略」は以上です。
 次回(最終回の予定)、勉強のための教材について書いてみたいと思います。



1周年

2014-04-18 09:29:06 | 雑記
 このブログを始めて昨日で丁度1年になりました。始めたときには思ってもみなかった大勢の方々にご来訪いただき、心より感謝申し上げます。読んでくださる皆さんのお役に少しでも立てるような記事を増やしていければと思っております。

 引き続きよろしくお願いいたします。