漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 453

2024-07-12 05:32:25 | 貫之集

男女の木のもとに群れゐたるところに、舟に乗りて渡る人あるが、指をさしてものいへるやうなり。そのさま時鳥を聞けるに似たり

かのかたに はやこぎよせよ ほととぎす みちになきつと ひとにかたらむ

かのかたに はや漕ぎ寄せよ 時鳥 道に鳴きつと 人に語らむ

 

たくさんの男女が木の下にいるところに、舟に乗って川を渡る人がいて、その人に向かって何か言っているようだ。その様子は、時鳥が鳴くのを聞くのに似ている。

あちらの岸に早く舟を漕ぎ寄せよ。時鳥が鳴いたのを途中で聞いたと、あの人に話そう。

 

 一枚の屏風絵から、ひとつのストーリーを想像しての一首ですね。