男女の木のもとに群れゐたるところに、舟に乗りて渡る人あるが、指をさしてものいへるやうなり。そのさま時鳥を聞けるに似たり
かのかたに はやこぎよせよ ほととぎす みちになきつと ひとにかたらむ
かのかたに はや漕ぎ寄せよ 時鳥 道に鳴きつと 人に語らむ
たくさんの男女が木の下にいるところに、舟に乗って川を渡る人がいて、その人に向かって何か言っているようだ。その様子は、時鳥が鳴くのを聞くのに似ている。
あちらの岸に早く舟を漕ぎ寄せよ。時鳥が鳴いたのを途中で聞いたと、あの人に話そう。
一枚の屏風絵から、ひとつのストーリーを想像しての一首ですね。