漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

合格でした ^^

2017-02-28 07:36:44 | 本試験
 昨日はバタバタしていて見るのを忘れてしまいましたが、無事に合格でした。 (^^


検定名:漢検
検定日:平成28年度第3回02月05日
会場番号:
受検番号:
受検級:1級
判定:合格おめでとうございます。
合格認定日:2017/02/22

 これで12回目。さて来年度はどうしますか。


藤原道長 『御堂関白記』

2017-02-26 18:13:41 | 雑記
 昨日、新年度受講分の教科書が届いたというご報告をしましたが、放送大学の良いところで、実はもう今からでも授業を聴くことができます。学期が始まれば各科目週に一度、全15回の授業が順次放送されていくのですが、一方でその15回の授業はすべてインターネットで配信されていて、いつでも視聴することができます。

 昨春から実際に授業を受講してみて、15週間に渡る授業をコンスタントに同じペースでこなしていくのはやはり難しいということを実感していますので、昨秋からは、余裕のあるときには先行して、あるいは週に一コマと言わずまとめて学習していくようにしています。


 という訳で、さっそく今日は「日本史史料論」の第1回と第2回のテキストを読み、その上でラジオ講義をインターネット配信で受講しました。もちろん、直接漢字や言葉の勉強をする主旨の科目ではありませんが、講義概要には「日本史の学習・研究において、歴史研究の素材である史料を正確に読解し理解することは、最も基本的な作業である。」 「大学院における日本史の学習・研究は、単に学説の理解だけでは不十分であり、自ら史料を読解し理解することが求められる。」とあります。

 思い起こせば受験生の時、日本史は非常に好きで興味もあったのですが、受験対策という点では苦労しました。「好きなのに苦手科目」という、ちょっとおかしな状況だったのですが、「大学受験のため」という足枷(?)がはずれ、純粋に自分の興味で取り組めるのはありがたいことです。とっつきにくい歴史文献も、活字になったものを読む限りでは、漢字や言葉の勉強をしてきたおかげか、さして抵抗感なく読めるようになっている気がします。

 ただ今回のこの科目、活字ではなく史料原文(当然、草書や変体仮名のオンパレード)を読みこなせるようになるための講座ですから、そう簡単ではありません。でも、教科書に「御堂関白記」(藤原道長の日記)の原本が載っている(残念ながら今はまだほとんど読めませんけれど・・・)のなどを見るにつけ、興味は尽きません。

 それにしても、ほぼちょうど1000年前に我が国を治めていた道長の自筆文書が残っていて今それを読むことができるというのは、考えてみると本当にすごい、かつ、素晴らしいことですね。



新学期

2017-02-25 12:28:10 | 雑記


 4月から受講予定の科目の教科書が届きました。思えば昔々、本当の学生だった頃からそうでしたが、新しい教科書などが手元に届くと、結構わくわくしますね。 ^^

 4月までには仕事の方がまだまだ二山も三山もあって、そちらのことを思うと少々気持ちが萎えます(苦笑)が、まあ、ひとつひとつ片づけていくしかありません。

 28-3 の WEB 発表も近いですね。改めて確認しましたが、今回、過去問をきっちりとものにされた方であれば、相当に合格のチャンスがあったと思います。良い知らせを楽しみにしております。


日本語の「乱れ」と「変化」

2017-02-12 15:21:29 | 雑記
 放送大学で私が在籍しているのは大学院ですが、正規に登録して試験を受けるとかその結果単位を取得するとかいったことを別とすれば、大学(学部)の授業でも自分の興味関心に従って、言わば「聴講」することができます。(TV、ラジオでの放送授業ですから、そもそも大学・大学院どちらにも在籍しなくてもどの授業でも視聴できます。)

 そんな訳で、学部の授業である「日本語とコミュニケーション」というのを聴講しているのですが、今日の授業で、いわゆる「ら抜き言葉」を題材として、日本語の「乱れ」と「変化」についての考察がありました。結論として、「乱れ」よりもむしろ「変化」と捉えるべきとの内容が非常に興味深かったので、ちょっとダイジェストしてみます。(以下、私の理解に基づいて書きますので、必ずしも授業内容そのままではない部分もあることを、あらかじめお断りしておきます。)



<「乱れ」と「変化」>

 若者言葉などを中心に、「日本語の乱れ」としてそれを取り上げた文章や考察は良く見られますが、その一方、言葉は生きていますので、その使われ方は常に変化しています。使われ始めた当初は「誤り」「乱れ」と捉えられた語法であっても、長い間にそれが広まり、多くの話者に一般に使用されるようになれば、それはもはや言葉が「変化」したのであって、乱れや誤りとは言えなくなるというのは、考え方として非常に合理的です。文法があって言葉があるのではなく、実際に使われている言葉のルールを分析し、体系としてまとめあげたものが文法ですから、文法から外れた語法がすべて間違いで使ってはならないという考え方は、本質的な意味では本末転倒と言うべきでしょう。(初等・中等教育などにおいて、正しい母国語の習得のために文法を学ぶ、ということはもちろん必要かつ重要であって、上に書いたことはそれとは別の話です。)

 さてそれでは、よく引き合いに出される「ら抜き言葉」は、「乱れ」「変化」いずれなのでしょうか。



<「ら抜き言葉」の歴史>

 詳細は省きますが、実は「ら抜き言葉」は最近始まった語法ではなく、1900年頃の文学作品にもすでに見られ、そういう意味では100年の歴史があるそうです。かの川端康成の作品にも「見れる」は登場します。それが1990年頃から急速に広まり、最近の文化庁の調査では、例えば「見れる」は8割以上の人が「使う」と回答するまでになっています。ただ、その広がりは個々の言葉によって跛行性があり、同じ調査で「食べれる」を使用する人は6割にとどまっているそうです。



<「ら抜き言葉」の合理性>

 「見ることができる」という意味の単語は本来は「見られる」であり、これを「見れる」と、「ら」を除いて使うのを「ら抜き言葉」と呼びます。現在のいわゆる口語文法では、これは本来は誤用だとされる訳ですが、その一方、「読むことができる」を意味する単語は「読まれる」よりもむしろ「読める」を使うのが普通でしょう。ではこの「読める」は口語文法では誤用なのかというとそうではなく、これは「可能動詞」と呼ばれ、そもそもから正しい用語とされます。

 なぜ「読める」は可能動詞としての正しい用法で「見れる」はそうでないのか。その違いはもともとの動詞である「読む」が「読まない・読みます・読む・読むとき・読めば・読め・読もう」と変化する五段活用の動詞であるのに対して、「見る」は「見ない・見ます・見る・見るとき・見れば・見よ・見よう」と変化する上一段活用の動詞であることにあります。「読む-読める」、「書く-書ける」のように、五段活用の動詞を下一段活用に転化させることで「可能」の意味を持たせたものが正しい「可能動詞」であって、上一段活用である「見る」を下一段活用に転化させた「見れる」は、本来の可能動詞ではないということですね。

 ここで少し観点を変えて、可能動詞というものが使われる理由を考えてみると、「読まれる」には、「可能」以外にも「受身・尊敬・自発」の意味があり、文脈によってはこの4つのどの意味で使われているのかがわかりづらいということがあります。4つの意味があってどれなのかが分かりづらいという点は、「見られる」においても同様で、「見れる」という本来は誤用とされる用法が広まりつつあるのは、発音のしやすさということもあると思いますが、この「可能を表していることが明確である」ということがあるのでしょう。

 ここで以上のことをまとめて整理してみると、正しいとされる表記に従って「元の動詞 - 受身・尊敬・自発の表現 - 可能の表現」を比較した場合、

  読む  読まれる  読める  (受身・尊敬・自発 と 可能 が別形)
  見る  見られる  見られる (受身・尊敬・自発・可能 がすべて同形)

となって必ずしも整合的でない一方、「ら抜き言葉」を許容する立場に立てば、

  読む  読まれる  読める
  見る  見られる  見れる

となって、元の動詞の活用の種類にかかわらず、統一的・整合的な整理ができるということになります。つまり、悪名高い(?)「ら抜き言葉」にも、それが広く使われることに、言語学の立場からも一定の合理性があり、必ずしもこれを日本語の「乱れ」と捉えるのではなく「変化」と捉えるべき(少なくともそう捉えることも可能)ではないか、というのが、きょうの授業の論旨でした。



 私個人は、感覚的には「ら抜き言葉反対派」であって、自分でこうした言葉を使うことは避けたいと思っている方(実際には会話などでは使ってしまっていると思いますけれど)ですが、きょうの授業を聞いて、「すでに多くの人々が現実に使っているから」ということだけでなく、文法的あるいは言語学的な観点からも一定の合理性を見出しうるということを初めて知り、大変勉強になりました。



 長い記事になってしまいました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。





28-3 振り返り その2

2017-02-11 14:02:30 | 本試験
 続いて後半です。



(五)熟字訓・当て字  10/10点

 無事にフルマーク。10問中8問が過去問ですし、【吾木香 われもこう】 は知らなくても読めそうですから、易しかったということでしょう。ところでこの「われもこう」ですが、「辞典」では 【吾亦紅】 は熟字訓とされていますが、今回出題の 【吾木香】 は熟字訓でないのは良いとして、当て字扱いもされていません。「辞典」冒頭の「この辞典の決まり」に、「日本語に漢字の音訓を当てた語のうち、本来の音訓では読めない語はこれ(当て字)に含め、・・・その音訓で読める語は含めなかった」とあり、【吾木香】 はこの方針に従って当て字とはしていないということでしょう。「辞典」で当て字扱いしていない語が「熟字訓・当て字」の問題として出題されたということで、24-2・28-2 で出題された 【儒艮 じゅごん】 と同じパターンですね。当て字ではないと自ら言っているのですから、(五)ではなく普通の読み問題として出題すれば良いのではないかと思いますが、漢検にいくつかある「不思議」の一つです。他の問題では、 【魚狗 かわせみ】 は普段の学習で結構間違えてしまうのですが、今回はきちんと読めました。良かったです。



(六)熟語の読み・一字訓読み  10/10点

 今回もフルマークでしたが、このところ「熟語の読み」の方で、あまり馴染みのない言葉の出題が多い傾向が続いているように思います。ただこれが「難問なのか?」と言われると、基本的には個々の漢字の音がわかっていればほぼ正解できますから、何とも言えません。
 「一字訓読み」の方は普通の訓読み問題で出されたものも含めると、「倩(うつく)しい」以外は過去問ですね。なので結論だけ言うと、一見とっつきにくそうな設問ですが、合格のためには、ここは 9 点ないし 10 点を取りたいところです。



(七)対義語・類義語  12/20点

 4問誤答と玉砕。今見るとその内2問は正答できても良かったかなと思いますが、まさに取らぬ狸のなんとやらですね。しかしここの設問は難しい出題が続いていますね。

1  曩祖 ⇔ 【苗裔】
 26-2 の過去問ですが、それより前、25-1 では、語選択・書き取り問題としても出題されています。ぜひ正答したいところ。

3  盈満 ⇔ 【虧欠】
 知らない熟語ではありましたが、【盈】 に対して 【虧】 が思いつかないという情けなさ。実は 27-1 の語選択・書き取りでも 【盈虧】 を誤答していて、何やらこの熟語との相性が悪い感じです。普段は何ということもなく書けるんですけどねぇ。

6  恐惶 ≒ 【畏憚】
 正解を見れば「なるほど、そりゃそうだ」という感じですが、試験中は浮かばず。

8  天河 ≒ 【銀漢】
 これも直接は知らなかったのですが、【河漢】 は知っていたのですから思いついてしかるべきした。残念。

10 元朝 ≒ 【鶏旦】
 これはお手上げでした。



(八)故事・諺  20/20点

 自己採点通りなら初めての満点です。ただ、問題もかなり易しかったですね。以下の「3」「7」以外はすべて過去問でしょう。

3  コウリョウ 雲雨を得。   【蛟竜】
 故事・諺としては新出だと思いますが、【蛟竜毒蛇】 という四字熟語もありますから、「コウリョウ」から 【蛟竜】 は浮かびやすいでしょう。

7  クドウ を行く者は至らず。   【衢道】
 何で見たのか覚えていませんが、自作問題集にありました。

9  性は猶 キリュウ のごとし。   【杞柳】
 25-3 で出題されたとき、もちろんできなかったのですが、「次は『性は猶湍水のごとし』が出るかなぁ」などと思っていたことを思い出しました。でも今回も 【杞柳】 の方でしたね。(笑)



(九)文章題   26/30点

1 シュウコウ 錦心の士   【繍口】
 知らない言葉でしたが、「錦心」と対の2文字だろうと当たりをつけて絞り出し、無事正解。あまり自信はありませんでしたが、やはり試験ですから、知らなくてもあきらめずに何か書くべきですね。

3 テン として羞じず   【恬】
 少し前に 「テンゼン = 靦然」 がなかなか記憶に定着せずに何度も眺めていたのが禍して、「靦」 以外の字がまったく浮かばず。「靦として羞じず」 では、「恥じて恥じない」で意味不明ですね。(汗)

4 レンチュウ の窈窕   【簾中】
 初め、「連中」以外の熟語が思いつかずに焦りましたが、文章を何度も読み返すうちに意味がわかり、無事に正解。

5 ヨミ する   【嘉】
 あえなく撃沈。こういうのは難しいですね。

 読み問題はすべて正答でした。良かったです。



 以上で一通りです。前回に続いて「自分にとっての既往問題」をいくつも落としていますが、これが現実ですね。

 全体としては、過去問と1級四字熟語をきっちりやっていればかなりの確率で合格できる問題レベルだったように思いますが、初合格を目指した皆さんの手応えはいかがだったでしょうか。良い知らせをお待ちしております。


 これで今年度の漢検もお仕舞ですね。6月の第1回が仕事で受検できなかったので私自身は2回だけのチャレンジになりましたが、どうやら2回とも合格を確保できたようですので、まずは良かったです。来年度、大学院の授業はもちろん、久しぶりの日本語検定にも気持ちが動きます。他にやりたいこともあるので少し漢検はお休みしようかなどと思わないでもないですが、結局やめられないんだろうなぁ・・  いずれにしても当面は少しのんびりしたいと思っています。もちろん、このブログは細々と続けていきますので、気が向かれた際にはまたお立ち寄りください。


 よろしくお願いいたします。