同四年正月、右大将殿の御屏風の歌、十二首
元日、人の家に客人あまた来たり、あるは屋のうちにいり、あるは庭におり立ちて梅の花を折る
はるたたば さかばとおもひし うめのはな めづらしびにや ひとのをるらむ
春立たば 咲かばと思ひし 梅の花 めづらしびにや 人の折るらむ
同四年正月、右大将殿の屏風歌、十二首
元日、人の家に客人がたくさん来て、ある者は家の中に入り、ある者は庭に降りたって梅の花を折っている
春が来たら咲くであろうと思っていた梅の花を、愛でるあまりであろうか、人が折っている。
「同四年」は天慶四年(941年)、「右大将殿」は藤原実頼(ふじわら の さねより)のこと。「十二首」とありますが、実際は 459 までの十一首です。