漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

音読み問題 30問

2016-03-25 22:22:49 | 演習問題
 暖かくなるのかと思えば真冬に逆戻り。このところそんなことの繰り返しですね。まさに「三寒四温」・・・と言いたくなりますが、「三寒四温」は冬の気候を表す言葉で、春先に寒暖が繰り返されながら徐々に暖かくなっていくことを指して言うのは誤用なんですね。(苦笑)

 さて、最近の記事を自分で読み返していて、今年になってから一度も「演習問題」のカテゴリの記事を書いていないことに気づきました。だから、という訳でもないのですが、きょうは少しですが音読み問題を。どれも私がなかなか記憶に定着させられずにいるものばかりです。



<問題>

1.  【緞通】
2.  【春韮】
3.  【找給】
4.  【贐送】
5.  【影向】

6.  【蜥蜴】
7.  【鞴靫】
8.  【黐粘】
9.  【悁急】
10.  【浹日】

11.  【一齣】
12.  【幢幢】
13.  【摺扇】
14.  【匡弼】
15.  【枳枸】

16.  【迹門】
17.  【薀藻】
18.  【昭晢】
19.  【啜賺】
20.  【舟筏】

21.  【箜篌】
22.  【委虒】
23.  【獮田】
24.  【鍮石】
25.  【親串】

26.  【砧杵】
27.  【亡状】
28.  【噦噫】
29.  【培塿】
30.  【摶一】



<解答>

1.   【だんつう】
 舞台にある 【緞帳】 は「どんちょう」ですが、こちらは「だんつう」。
2.   【しゅんきゅう】
 そんなに難しくないと思うのですが、いつも「きゅう」か「きょう」か分からなくなります。
3.   【そうきゅう】
 「大漢和辞典」によると、「経費不足の場合に之を補ふこと」とのこと。
4.   【じんそう】
 訓読み 【贐(はなむけ)】 も押さえておきたいですね。
5.   【ようごう】

6.   【せきえき】
 熟字訓では、もちろん「とかげ」。
7.   【ほさい】
 24-2 では【鞴】の訓読み「ふいご」が出題されています。
8.   【ちでん】
9.   【けんきゅう】
 【悁】 は意味によって音を読み分ける漢字。
10.   【しょうじつ】
 「十日間」の意。

11.   【いっせき】
 訓読みの「ひとくさり」「ひとこま」と合わせて覚えておきたい。
12.   【とうとう】
 【幢】 は「はた」。「光が薄暗く、ゆらゆら揺れ動いて落ち着かないさま。」との意味は、はたがゆらゆらとゆらめいている様子からでしょうか。
13.   【しょうせん】
 何度覚えようとしても「しゅう」か「しょう」か分からなくなります。
14.   【きょうひつ】
15.   【きこう】
 からたちのこと。

16.   【しゃくもん】
 法華経二八品の中の前半の一四品のこと。後半十四品は「本門」。
17.   【おんそう】
 「きんぎょも」のこと。
18.   【しょうせつ】
 そっくりな字の 【晢】 と 【皙】 を間違えないように。
19.   【せったん】
 巧みにだますこと。
20.   【しゅうばつ】
 音符の通りにそのまま「ばつ」と読めば良いのですが、なぜかいつも読めません。(苦笑)

21.   【こうこう】
 楽器の名前。「くご」でもOK。
22.   【いし】
 想像上の獣の名だそうですが、さすがに出題されることはないかな?
23.   【せんでん】
 【濔濔(でいでい)】 が余りに印象的で、こちらもつい「でいでん」と読んでしまいます。
24.   【とうせき】
 意味は真鍮のこと。「漢検 漢字辞典」「大漢和辞典」では「とうせき」ですが、「大辞林」では「ちゅうじゃく」ですね。どっちでも良いのかな?
25.   【しんせん】
 27-1 で 【串殺(せんさつ)】 が出て、できませんでした。(泣)

26.   【ちんしょ】
27.   【むじょう】
 「ぶじょう」でもOK。
28.   【えつあい】
29.   【ほうろう】
 小さい丘。「培塿の上、松柏を植えず。」という故事成語があります。22-2 で出題された「蹄窪の内、蛟竜を生ぜず。」に続く一節。狭い土地には大人物は育たない、といった意味のようです。
30.   【せんいつ】
 25-1、27-1 で出題された 【摶飯(たんぱん)】 でお馴染みの漢字ですが、ここでは「せん」。意味による読み分けのある字です。



漢字教育サポーター育成講座の修了式がありました

2016-03-20 16:40:05 | 雑記
 受講・修了していた、第四期漢字教育サポーター育成講座の修了式に出席してきました。修了式はもちろん第四期生のみでしたが、引き続いて開催された研修会と懇親会には、第一期~第三期の卒業生の皆さんも出席されて、なかなかの盛況でした。懇親会では多くの皆さんと漢字にまるわるお話しができ、大変楽しいひとときを過ごすことができました。お話ししてくださった皆さん、講師を代表してご出席くださった久保先生、会を催してくださった協会スタッフの皆さんに、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

27-3 正式結果

2016-03-19 19:33:32 | 本試験
 きょう、27-3 の正式結果が届きました。このところ、自己採点と正式結果とで、思い当たる理由のない食い違いがあることが多かったのですが、今回は自己採点通り181点。初めて180点に到達することができました。

 全受検者の平均点は111.0点。ここ数年で非常に易しかった 25-2(合格率18.3%)の 115.1点以来の高い点数です。ちなみに過去2回は、27-1 が 108.0 点、27-2 が 107.9 点でした。漢検1級はなぜか平均点と合格率の相関が思うほど高くない(相関係数で0.7くらい)のですが、今回はどのくらいになるのでしょうか。まあ前回(12.6%)より高くなるのは確実でしょうから、15~6%くらいなのかな? 

 (一)~(十)の設問別に見ると、(八)の対義語・類義語が 10.3 点と10点を超えているのが少し目立ちますが、全体として飛びぬけて易しかった(平均点の高かった)設問というのはないようです。全設問が普通レベルだった結果、全体としては易し目の回になった、という感じでしょうか。



 28-1 まであとちょうど3カ月。次回は14年ぶりの出題形式の変更などはあるのでしょうか。「漢検 漢字辞典」第二版の発刊から1年半経過しますし、第二版で新たに収録された訓読みの出題なども、そろそろ始まったりもするのかもしれませんね。



【凹凸(おうとつ)】  【凸凹(でこぼこ)】

2016-03-13 19:20:23 | 雑記
 【凹】 と 【凸】。これぞ象形文字という感じで、私の感覚では、「漢字」と言うよりかなり「記号」に近いです。(笑)

 きょうはこの 【凹】 と 【凸】 の読みについて。ちなみにどちらも常用漢字ですね。表題に書いた二つの熟語、 【凹凸(おうとつ】 は普通に音読みですが、【凸凹(でこぼこ)】 は熟字訓です。


【凹】   (「漢検 漢字辞典」初版 P.109/第二版 P.111)
音 : オウ
訓 : くぼ・む  へこ・む  (へこ・ます) 
 「へこ・ます」は、「辞典」初版にはなく第二版で新たに採録された読み。もちろん「漢検要覧」にはもともとありますが、まあ「へこ・む」とは読むが「へこ・ます」とは読まない、なんてことはないですから、余り気にすることでもないですね。 


【凸】   (P.1165/P.1175)
音 : トツ
訓 : でこ



 常用漢字表に採録されているのはどちらの漢字も音読みのみで、上に書いた訓読みはすべて表外読みです。その表外読みまで含めても、 【凸】 に「でこ」の読みはあるものの、【凹】 に「ぼこ」の読みはなく、【凸凹】 を「でこぼこ」と読むのは熟字訓ということになります。【凸凹】 は「辞典」の見出し語ですが、実際にそこでも熟字訓の扱いになっています。「でこ」を訓読みとして認識するなら「ぼこ」もそうすれば良いのにと思ったのですが、それに対する説明が、大修館書店HP内の「漢字文化資料館 漢字Q&A No.444」にちゃんと載っていました。その部分を引用してみましょう。

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「凸凹=でこぼこ」なら、「凸=でこ」「凹=ぼこ」と分解できそうなものですが、話はそう簡単でもないのです。なぜなら、「ぼこ」ということばそのものの存在が、ちょっとアヤシイからです。よく考えてみると、「突き出ている」という意味の「でこ」には「おでこ」などの用例がありますが、「へっこんでいる」という意味の「ぼこ」は、単独で使われることはまずありません。つまり、「でこぼこ」は「でこぼこ」で1つのことばであって、それ以上に分解できるものでない (後略)

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 なるほど納得、ですね。(ただし、上記のQ&Aは、【凸】 の「でこ」も、訓読みとは認識していない立場で書かれています。念のため。)


 この「漢字文化資料館」、本ブログのブックマークの先頭にも載せさせていいただいていますが、以前にもご紹介しました通り、特にこの「Q&A」は読みごたえ十分です。漢検の得点戦略とは別物ですが、ご興味のある方はご一読されてみてはいかがでしょうか。



【咽喉右臂】

2016-03-06 20:51:18 | 四字熟語
 13年度版に続いて、平成14年度版の過去問題集(平成13年度実施分)の確認を進めていたところ、13-1 で

【咽喉右臂】  いんこうゆうひ

という四字熟語が出題されていました。

 これは「完全征服」にも採録されている(P.103)過去問ですが、「漢検 漢字辞典」にも「漢検 四字熟語辞典」にも載っておらず、また私の手持ちの「漢語林」にも「漢辞海」にも、そして「大漢和辞典」にも載っていません。ネットで検索したところ、「咽喉右臂の地」という言葉としては掲載されている辞書もあるようですが、もとをただすと「幼學瓊林」という、明の時代の百科事典のような書物にこの言葉があるようです。

 13-1 では意味も問われていて、正解は「きわめて緊要の地」。「辞典」には、【咽喉】の意味の一つとして「要地」が出ていますし、また 【右臂】 は多くの人々の利き腕ということで、全体として重要なものや重要な地を表す言葉なのでしょう。それにしても難しい出題です。13-1 でこれを正解なさった方はどれほどいらっしゃったのでしょうか。

 青空文庫で検索しても出て来ませんから、我が国ではさほど使われなかった言葉なのかもしれませんし、そうなると再度出題されることはあまりなさそうですが、「完全征服」にあり、また新星出版社の「頻出度順」にもありますので、もし今出題されたら、それなりの正答率になるのかな?