漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 468

2024-07-27 05:28:32 | 貫之集

池のほとりに咲ける藤、舟に乗りて遊び見る

こぎかへり みれどもあかず わかれにし はるのなごりの ふぢなみのはな

漕ぎかへり 見れどもあかず 別れにし 春のなごりの 藤波の花

 

池のほとりに咲いている藤を、舟遊びをしながら見る

舟を戻していくら見ても飽きることがない。去ってしまった春との別れの名残の藤の花は。

 

 第四句「なごり」は、歌意としては「名残」の方ですが、同音の「余波」がかかっており、それが「藤波」の縁語ともなっています。