漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 465

2024-07-24 06:06:08 | 貫之集

田作れるところ

あらをたを かへすいまより ひとしれず おもひほにいでむ ことをこそおもへ

あらを田を かへすいまより 人しれず 思ひほに出でむ ことをこそ思へ

 

田を耕しているところ

農民が新しく開いた田を耕している今から、稲の穂が出て実るときのことを人知れず思っているように、私の人知れぬ思いもいつか外に現れてしまうだろうと思う。

 

 初句「あらを田」は「新しい」「荒れた」の両説があります。第四句「穂に出づ」は文字通り穂が出て実る意に加え、それに準えて「表に現れ出る。人目につくようになる。」意で用いられます。