漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

馬歯徒増

2017-07-30 07:48:29 | 四字熟語
【馬歯徒増】

ばしとぞう
むだに齢をとること。



 先輩諸氏には何を青二才がとお叱りを受けそう(汗)ですが、最近、年齢のことを考えることが多くなりました。理由は単純で、実際に歳を取った(先日、満55歳になりました)からなのですが、


・明らかに記憶力、集中力が衰えた

・特に人の名前が出て来ない

・昔、一般的に「定年」とされていた年齢に達した

・実際、勤務している会社の定年まで、あと5年を切った

・サラリーマンをしている友人、同僚たちに、いわゆるセカンドライフをスタートさせた人が相次いでいる


などなど、日々の生活のさまざまな場面で、自分が年齢を重ねたことを実感させられます。


 私が漢検を始めとしていろいろなことに取り組もうとするのも、【馬歯徒増】の謗り(誰か他者から受けるというより、自分自身がそう感じることの方ですが)を受けたくないからなのかな、などと思う今日このごろです。




【偕老同穴】

2017-01-08 07:49:34 | 四字熟語


 金曜日、今年最初の出張に出ていたのですが、そのまま昨日の土曜日も現地に残って、部下(女性)の結婚披露宴に出席してきました。齢を重ねて涙腺が弱くなっているのと、花嫁と自分の娘とがさして年齢が違わなくなってきているのとで、こちらもうるうるしそうになる場面が次々と・・(苦笑) 若い二人の晴れの日に立ち会えて、清々しい一日でした。


 ・・ということで、仲睦まじい夫婦を例えた四字熟語です。



1. かいろうどうけつ
2. ほうおううひ
3. かんかんしょきゅう
4. かんしょのか


1. 【偕老同穴】   (「漢検 四字熟語辞典」P.121)
 16-3、18-2、20-3、22-3、24-2 と出題されてきた超頻出問題。
2. 【鳳凰于飛】   (431)
3. 【関関雎鳩】   (134)
 28-1 で出題されたばかり。
4. 【関雎之化】   (136)
 【関雎】 は、21-3 の音読み問題で出題。


5. きんしつそうわ
6. えいかいこうれい
7. ふうんしょくう
8. えんおうのちぎり


5. 【琴瑟相和】   (165)
 四字熟語として 15-1、故事・諺として 18-1、文章題書き取りで 25-1 で出題。
6. 【栄諧伉儷】   (102)
 27-3 の書き取りで、「琴瑟相和して コウレイ を完うする」という出題がありました。
7. 【巫雲蜀雨】   (413)
 他と少し毛色が違って、「遠く離れ離れになっている夫婦がお互いを思い合っていることのたとえ」の意。昨日の新郎新婦は遠距離恋愛を実らせてのご結婚で、今後も当面は離れての生活なので、まさにこの熟語を地で行くご夫婦ですね。
8. 【鴛鴦之契】   (106)
 かなり古いのですが、【鴛鴦】 は 12-2 で故事・諺、12-3 で文章題書き取りと、2回続けて出題された珍しい熟語です。準1級配当。


9. けいえいいちにょ
10. そうしゅくそうひ
11. ひよくれんり
12. ふさいはんごう


9.  【形影一如】   (171)
 2級配当。「形」と「影」がいつも一体であるように仲が良い、という意味ですね。 ^^
10.  【双宿双飛】   (308)
 3級配当。
11.  【比翼連理】   (408)
 こちらは4級配当。
12.  【夫妻 合】   (417)
 【 】 は漢検配当外。「夫婦は一つの物の半分ずつで、両方を合わせて初めて完全になるということ」の意。 【夫妻判合】 とも書くようです。




 は、島根県立大学e漢字  の漢字フォントを使用しました。

「無用」の四字熟語は有用?

2016-12-25 06:15:10 | 四字熟語
 3連休も今日で終わり。今年もあと1週間ですが、明日からは2泊で出張が入っていて、最後までバタバタした日々になりそうです。この3日間、やるべきことがたくさんあったのですが昨日までは余り捗らず、ただなんとなく過ごしてしまいました。勉強の方もこのところなぜか今一つ身が入らないのですが、思えば年末年始の時期はいつもそんな感じだったかもしれません。漢検ももちろんなのですが、1月下旬には大学院の後期試験も控えていますので、気合を入れなおしたいところです。

 さて今日は「無用」な事柄や物、役に立たない人物などを表す四字熟語をまとめてみました。意味内容は「無用」を表しますが、漢検対策としては結構「有用」なものが多いように思います。



 まずは、意見や考え、文章などが役に立たないことを表す熟語。

1. だんてんちょうりょう
2. あんずさくき
3. あめいせんそう
4. かんびゃくふういつ

1. 【談天雕竜】   (「漢検四字熟語辞典」 P.327)
 弁舌や文章などが広大で見事なこと。広大だが実用には適さない無用の議論や行為のたとえ。
 相反する意味を併せ持つような熟語ですね。意味問題で出されたら迷いそう・・・
2. 【按図索驥】   (66)
 理論だけの実際には役に立たない考えや意見。
 同義の 【按図索駿】 は準1級配当。
3. 【蛙鳴蟬噪】   (64)
 役に立たない議論や、内容に乏しく下手な文章。
 少し古いですが、過去 12-3、15-2 で出題されています。「完全征服」にも載っていますね。
4. 【勧百諷一】   (140)
 害になること、無用のことばかりが多く、益になること、役に立つことが少ないこと。特に言葉や文章について言う。



 続いて、無用で役に立たない人や物を表す熟語。会社でこんなことを言われないようにしないと・・(汗)

5. かろとうせん
6. べんぼしし
7. ぎゅうしゅうばぼつ
8. ちょれきさんぼく
9. ふぜいけんゆう
10. じんぱんとこう
11. としえんばく

5. 【夏鑪冬扇】   (132)
 無用なもの、役に立たないもののたとえ。
6. 【駢拇枝指】   (430)
 無用なもののたとえ。
 【駢拇】【枝指】はそれぞれ手足の指の奇形を表す言葉。本試験にはまず出ないでしょう。
7. 【牛溲馬勃】   (151)
 無用なものや役にたたないもののたとえ。
 これも出そうにないですね。
8. 【樗櫟散木】   (342)
 役に立たない人や物。
 【樗櫟之材】 も同義。 【樗櫟】 は音読みや書き取り問題での出題もありそうに思えます。
9. 【附贅懸疣】   (418)
 無用なもののこと。
10. 【塵飯塗羹】   (274)
 実際には何の役にもたたないもの、とるに足りないもののこと。
11. 【菟糸燕麦】   (367)
 有名無実のたとえ。役に立たないもののたとえ。
 【菟糸】 はねなしかずらのことで、熟字訓としても押さえておきたいところ。【燕麦】 はからすむぎ。菟糸は「糸」がついているのに織ることができず、燕麦は「麦」がついているのに食べることができないことから。



 最後は少し毛色が違って、「そんなことをしても無駄だよ~」的なもの。

12. たいろぶきん
13. きじんてんゆう
14. かそうさいり
15. そうじょうのじん

12. 【対驢撫琴】   (322)
 愚かな者に物の道理を説いても役に立たないたとえ。
 これはかなり最近、27-2 で出題されました。
13. 【杞人天憂】   (146)
 無用の心配。取り越し苦労。
 縮めて 【杞憂】 と言いますね。杞の人々が、いつか天が落ちてくるのではないかと心配したという故事から。
14. 【禍棗災梨】   (-)
 無用の本を刊行すること。
 これは「漢検 四字熟語辞典」にも「漢検 漢字辞典」にも掲載がないにも関わらず出題された (26-2) 珍しい熟語。
15. 【宋襄之仁】   (308)
 無用の情けをかけること。
 【宋襄】 は人名なので、多分出ないですね。



 私のところはきのう、きょうと冬らしい寒さ。風邪などひかないよう気を付けつつ、きょうは年賀状作りなどに勤しみます。


【咽喉右臂】

2016-03-06 20:51:18 | 四字熟語
 13年度版に続いて、平成14年度版の過去問題集(平成13年度実施分)の確認を進めていたところ、13-1 で

【咽喉右臂】  いんこうゆうひ

という四字熟語が出題されていました。

 これは「完全征服」にも採録されている(P.103)過去問ですが、「漢検 漢字辞典」にも「漢検 四字熟語辞典」にも載っておらず、また私の手持ちの「漢語林」にも「漢辞海」にも、そして「大漢和辞典」にも載っていません。ネットで検索したところ、「咽喉右臂の地」という言葉としては掲載されている辞書もあるようですが、もとをただすと「幼學瓊林」という、明の時代の百科事典のような書物にこの言葉があるようです。

 13-1 では意味も問われていて、正解は「きわめて緊要の地」。「辞典」には、【咽喉】の意味の一つとして「要地」が出ていますし、また 【右臂】 は多くの人々の利き腕ということで、全体として重要なものや重要な地を表す言葉なのでしょう。それにしても難しい出題です。13-1 でこれを正解なさった方はどれほどいらっしゃったのでしょうか。

 青空文庫で検索しても出て来ませんから、我が国ではさほど使われなかった言葉なのかもしれませんし、そうなると再度出題されることはあまりなさそうですが、「完全征服」にあり、また新星出版社の「頻出度順」にもありますので、もし今出題されたら、それなりの正答率になるのかな?

「真・四字熟語」 (笑)

2016-01-11 08:37:25 | 四字熟語
 きょうは 「真・四字熟語」 のお話し。「真・四字熟語」 というのは私の造語です(笑)。何かと言うと、四字熟語はもちろん漢字で四文字ですが、読みもひらがなで四文字の熟語のこと。単なる遊び心ですが、皆さんはいくつ思い浮かびますでしょうか? 「漢検 四字熟語辞典」初版には、6つ載っています。


【紆余委蛇】  (「漢検 四字熟語辞典」初版 P.99  1級配当)
読み : うよいだ
意味 : 山や林などがうねうねと屈曲しながら長く続くさま。
 【委蛇】 は「四字熟語辞典」では「いだ」ですが、「漢検 漢字辞典」では見出しの読みは「いい」。「『いだ』とも読む」との記載はありますが、本来は「いい」と読むようです。【蛇】 の「い」との音読みも、表外読みとして掲載があります。「河は イイ を以て故に能く遠し。」なんて故事成語もありますね。


【有耶無耶】  (P.99  準1級配当)
読み : うやむや
意味 : あるのかないのかわからないこと。また、いいかげんなこと。


【有漏無漏】  (P.99  準1級配当)
読み : うろむろ
意味 : 煩悩のある者と煩悩のない者のこと。
 【漏】 とは、人の迷いが生じる六つの根元である「目・耳・鼻・舌・身・意」から漏れ出るものの意で、煩悩のこと。


【狐仮虎威】  (P.202  準1級配当)
読み : こかこい
意味 : 権力のあるものをかさにきて、自分勝手に振る舞うことのたとえ。
 四字熟語としては見なれない(?)ですが、「虎の威を仮る狐」ですね。


【是耶非耶】  (P.288  準1級配当)
読み : ぜかひか
意味 : 善悪の判断に迷うこと。


【是是非非】  (P.291  準1級配当)
読み : ぜぜひひ
意味 : 客観的・公平に物事を判断すること。



 ひらがなでも四文字となると、さすがに数は少ないですね。「四字熟語辞典」掲載の上記以外にもまだあるでしょうか。こんなのがあるよ、という方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。



 27-3 まであと4週間。仕上げの時期に入りますね。今回、私の個人的なテーマは基礎固め。過去問を含め、自分にとっての既往問題をきっちり正答することを目標に取り組んで来ましたが、さてどうなりますか。初合格を目指される皆さんのご健闘を祈りつつ、私ももうひと頑張りです。 ^^