漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

うさぎ

2015-12-31 11:15:42 | 雑記
 「うさぎ」と訓読する漢字は「漢検 漢字辞典」第二版には二つ。


【兎】  (「漢検 漢字辞典」初版 P.1115/第二版 P.1125)
音 : ト
訓 : うさぎ
 大象はトケイに遊ばず    【兎径】
 韓盧を馳せてケントを逐う    【蹇兎】
 ケントの争い    【犬兎】

【菟】  (1115/1128)    正字は 
音 : ト
訓 : うさぎ (初版には記載なし)
 トキュウの地     【菟裘】
 トシエンバク     【菟糸燕麦】
 オト(虎や猫の別称) 【於菟】


 【菟糸燕麦】 の項には「兎糸とも書く」との記載がありますが、【菟裘】の方は地名なのでこの通り書かなければダメですね。まあ地名ですから、本試験には出されにくいとは思いますが。

 ちなみに 【菟糸燕麦】 の 【菟糸】 は「ねなしかずら」のこと。「辞典」の見出しにも巻末索引にもある語ですから熟字訓としてもおさえておきたいところです。



 さて、今年もあと12時間余り。漢検に関して言えば、そもそも継続受検をどうするかを考えさせられながらも結局は続けた1年になりました。27-3 に向けては 27-1、27-2 の体たらくの分もしっかり取り組む所存ですが、他にもやりたいことはたくさんあるので28年度はどうしましょうか・・・

 などと言いながら、結局は続けていくのだろうという気がします(笑)が、いずれにしましてもこの1年間も、読者の皆様には大変お世話になりました。まったく体系的でも何でもない、思いつきでランダムに好きなことを書いているだけのブログにたくさんの方々のご来訪をいただきまして、心より感謝いたします。来年早々には「漢字教育士」ともなりますので、ブログを通じて皆さんのお役に立てればと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 皆さま、良いお年を!







梅 桃 桜

2015-12-20 21:55:34 | 熟字訓・当て字
 27-3 まであと49日。
 引き続き手元の問題のおさらいを進めていますが、きょうはその中から、【梅】【桃】【桜】を含む熟字訓をご紹介します。一つを除いては、平成15年度以降の過去問にはありませんので、新出問題対策といったところでしょうか。



<問題>

1.   桜桃
2.   楊梅
3.   梅花皮
4.   金縷梅
5.   茶梅

6.   蒲桃
7.   桃金嬢
8.   金糸桃
9.   上不見桜
10.  油桃

11.  山桜桃
12.  入梅
13.  梅桃
14.  光桃
15.  呉桃

16.  桃花鳥



<解答>

 意外に数が少ないですね。出来はいかがだったでしょうか。
 (かっこ内の数字は、「漢検 漢字辞典」初版/第二版 の掲載ページです。)

1.   さくらんぼう   (113/115)
 音読みではもちろん「おうとう」ですが、熟字訓としては「さくらんぼう」。以前にもこのブログに書きましたが、「辞典」記載の読みは「さくらんぼ」ではなくて「さくらんぼう」です。実際に出題されたとして、「さくらんぼ」と書いて誤答にされるとはとても思えませんが、まあとにかく「辞典」記載の通りに覚えておいた方が無難でしょう。
2.   やまもも   (1516/1532)
 覚えにくい熟字訓の筆頭格。なんで「もも」なのに【梅】と書くのでしょうか。
3.   かいらぎ   (1218/1230)
 今回ご紹介した中で唯一、H15以降の過去問。24-1 と 25-3 で出題されています。
4.   まんさく   (357/359)
 手持ちの過去問にはありませんが、「完全征服」には載っていますので、H14以前に出題されたことがあるのでしょう。
5.   さざんか   (1031/1039)
 【山茶花】の方が有名ですね。

6.   ふともも   (1376/1391)
7.   てんにんか   (1133/1143)
 ちょっと油断していると、16.の 【桃花鳥】 と区別がつかなくなります。個人的に苦手な問題。
8.   びようやなぎ   (357/359)
9.   うわみずざくら   (762/769)
 「熟字訓」と呼ぶには、あまりにも「そのまんま」の読みですね。(笑)
10.  つばいもも   (1486/1502)

11.  ゆすらうめ   (575/584)
 こちらは、2.とは逆に「うめ」なのに【桃】。
12.  ついり   (1188/1200)
13.  ゆすらうめ  (1219/1231)
 こちらには【梅】の字が入ってますね。
14.  つばいもも  (475/479)
15.  くるみ   (458/463)
 【胡桃】 の方が表記としては一般的でしょうか。

16.  とき   (1134/1143)


「うかが・う」

2015-12-19 19:26:04 | 雑記
 書き取り問題

 そっと様子を ウカガ

 最初に 【窺】 が浮かび、次に「ん? 【覘】 【覗】 でも良かったかな?」と思って改めて調べてみたらあるわあるわ。「うかが・う」と読む字はホントに沢山ありますね。



【窺】  (「漢検 漢字辞典」初版 P.280/第二版 P.283)
音 : キ
訓 : うかが・う  のぞ・く


【覘】  (1108/1118)
音 : テン
訓 : うかが・う  のぞ・く  [ぬすみ・みる]


【覗】  (615/620)
音 : シ
訓 : うかが・う  のぞ・く


【俔】  (417/420)
音 : ケン
訓 : うかが・う  [しの・び]


【候】  (492/495)
音 : コウ
訓 : そうろう  うかが・う  ま・つ  (さぶら・う)


【偵】  (1084/1094)
音 : テイ
訓 : うかが・う


【遉】  (1087/1097)
音 : テイ
訓 : さすが  (うかが・う)  (さぐ・る)  (さすが・に) 


【闖】  (1068/1076)
音 : チン
訓 : (うかが・う)  [ねら・う]


【斥】  (865/872)
音 : セキ
訓 : しりぞ・ける  (うかが・う)


【間】  (235/238)
音 : カン  ケン
訓 : あいだ  ま  はざま  あい (うかが・う) (ひそ・かに) (しず・か)


【諜】  (1060/1068)
音 : チョウ
訓 : (しめ・す) (うかが・う) (さぐ・る) (ふだ)


【睨】  (401/404)
音 : ゲイ
訓 : にら・む (かたむ・く) [うかが・う]

(訓読みの( )は「辞典」初版になく、第二版のみにある読み。[ ]は第二版にもなく、「漢検要覧」のみにある読みです。)



 沢山あげましたが、「うかが・う」と読む漢字は、実はもう一つあります。

【伺】  (601/606)
音 : し
訓 : うかが・う

 先にあげた12個とは異なり、この 【伺】 だけが 「聞く」 「問う」 「訪れる」 の謙譲語としての 「うかが・う」 です。つまり、「9時に ウカガ います」 という問題には、【伺】以外の漢字を書いてしまったら誤答になるということですね。4級配当の漢字ですが、【窺】 あたりとペアでの同音異義語問題としてなら1級本試験に出る可能性もあるでしょうか(?)


 ついでですが、「大漢和辞典」の字訓索引の「うかがう」の項には、51個もの漢字が並んでいました。すごいですね。(笑)





 

語選択・書き取り問題 50

2015-12-13 14:07:35 | 演習問題
 手元にまとめてきた約10,000問ほどの問題を、これに新しい問題を追加しながら、繰り返し復習するのが私の学習法の中心ですが、前回本試験以降に開始したサイクルがようやく一巡しました。誤答の割合はおよそ5%。前回本試験前の時期にやったときは10%強でしたから、当たり前ですけれど空白期間を作らずに継続的に取り組んでいると、完成度が上がります。それでも「決まって間違える問題」というのはどうしてもあるもので、悔しいことではありますが、それと同時に、それがまた勉強の面白さでもありますね。

 さて、そんな中から、語選択・書き取り問題を50問ほどご紹介します。過去問ではありませんので難易度は高めだと思いますが、基本的に「漢検 漢字辞典」にある語ばかりです。

 では、どうぞ。



<問題>

1. いしぶみ。
2. 風に吹かれてひるがえり、高く上がること。空中に舞い上がること。
3. 生まれた日。
4. 隠居すること。
5. 独りきりで頼るところのないさま。

おうめい  けいけい  たんしん  ひけつ  ひょうよう


6. 高くそびえるさま。
7. 真白でけがれのないこと。
8. 体が大きく立派なこと。
9. 整っていたのものがこわれ、崩れること。
10. 軽んじて見ること。みくだすこと。

えんけん  かいご  かいたい  こうけつ  びょうし


11. 飢饉の年。
12. 他人の手紙を敬っていう語。
13. 死者に称号をおくること。
14. はかあな。
15. 地方。いなか。

けんさい  こうけつ  ぞうし  そうらい  だかん


16. 涙がとめどなく流れ落ちるさま。
17. 美しさが抜きんでていること。きらびやかで美しいこと。
18. 広くてしずかなさま。
19. 深い知恵のあること。
20. 過去帳。

えいけん  しゅんてつ  しょうかん  てんきぼ  らんかん


21. おだやかでむつまじいさま。
22. 文才や歌才などに恵まれていること。また、豊かな詩情。
23. 山鳩色。
24. 楽器の音などが冴え渡って響くさま。
25. 成語の下の語を省略し、前半だけで全体の意を表す方法。

きくじん  けつご  しゅうちょう  しゅうぼく  りゅうりょう


26. おごそかなさま。
27. 涙がぼろぼろとこぼれること。
28. 雑然と入り混じること。入り乱れること。
29. アーモンド。
30. 目があらく、きわめて薄く織った綿布や麻布。

いんし  かんれいしゃ  げんこ  ざつじゅう  はたんきょう


31. 恐怖に恐れおののくこと。
32. 穏やかで、うるわしいさま。
33. 男の子が生まれること。
34. 耐えて固く節操を守ること。
35. 年月が早く過ぎること。

くげき  こうちょう  こりつ  ぼくぼく  ろうしょう


36. とりとめのないこと。
37. 鬨の声をあげること。
38. 心の中で思っていること。胸のうち。考え。
39. 自分の才能や知識などを目立たぬように隠すこと。
40. トラやネコの別称。

おと  かいぞう  きんかい  こそう  もうろう


41. 友人の集まり。
42. 風の速く吹くさま。
43. 亡き母。
44. 繰り返し試みること。
45. 受け継ぐこと。

こうしん  さんしょう  じんえき  せんぴ  りゅうりゅう


46. 役に立たないつまらないもの。
47. 才気が高くすぐれているさま。
48. はたけ。いなか。民間。
49. 女の子が生まれること。
50. 役者・芸術家などが技巧をこらし、好評を得ようとする気持ち。

しょうき  てきとう  ひこう  ろうが  ろうほ



<解答>
 かっこ内の数字は「漢検 漢字辞典」初版/第二版の掲載ページです。

1.   【碑碣】 (1272/1285)
2.   【飄揚】 (1295/1308)
3.   【誕辰】 (1012/1020)
4.   【鷗盟】 (117/119)
5.   【煢煢】 (395/398)

6.   【偃蹇】 (97/99)
7.   【皎潔】 (336/338)
8.   【魁梧】 (181/184)
 同音異議語として、 【解語(の花)】 も押さえておきたい。
9.   【壊頽】 (182/184)
10.  【藐視】 (1298/1311)
 これは「びょうし」ですが、【藐焉】は「ばくえん」。読み分けに注意。

11.  【歉歳】 (428/432)
12.  【朶翰】 (966/973)
 【朶雲(だうん)】 も同じ意味があります。
13.  【贈諡】 (947/955)
14.  【壙穴】 (513/516)
15.  【草萊】 (928/935)

16.  【闌干】 (1536/1552)
 「星や月の光がきらめくさま。」の意もあり。
17.  【英絢】 (83/85)
18.  【敞閑】 (747/754)
19.  【濬哲】 (711/717)
20.  【点鬼簿】 (1104/1114)

21.  【輯睦】 (690/696)
22.  【繡腸】 (691/697)
23.  【麴塵】 (290/293)
24.  【嚠喨】 (1556/1572)
 何度覚えたつもりになってもまた書けなくなる、私の苦手とする漢字です。
25.  【歇後】 (410/414)

26.  【儼乎】 (442/446)
27.  【隕泗】 (66/67)
28.  【雑糅】 (569/574)
29.  【巴旦杏】 (1203/1215)
30.  【寒冷紗】 (233/236)

31.  【股栗/股慄】 (446/450)
32.  【穆穆】 (1414/1429)
33.  【弄璋】 (1599/1615)
34.  【後凋/後彫】 (461/465)
35.  【駒隙】 (368/532)

36.  【孟浪】 (1465/1480)
37.  【鼓譟/鼓噪】 (454/458)
38.  【襟懐】 (362/364)
39.  【晦蔵】 (175/178)
40.  【於菟】 (108/110)

41.  【盍簪】 (494/497)
 【盍】は「あう。寄りあつまる。」、【簪】は「はやい。すみやか。」の意。
42.  【瀏瀏】 (1556/1572)
 「清らかで明るいさま。」の意もあり。
43.  【先妣】 (889/897)
 【先考(亡くなった父)】の対義語としても押さえておきましょう。
44.  【尋繹】 (812/820)
45.  【纂承】 (585/591)

46.  【秕糠】 (1266/1279)
47.  【俶儻】 (701/707)
 読み問題の方で要注意かもしれませんね。
48.  【隴畝/壟畝】 (1603/1619)
49.  【弄瓦】 (1599/1615)
 33.の【弄璋】とセットで覚えましょう。
50.  【匠気】 (735/741)

「まんえん」 と 「えんまん」

2015-12-06 13:24:07 | 雑記
 【蔓延/蔓衍】  (「漢検 漢字辞典」初版 P.1435/第二版 P.1450)
 まんえん
 雑草や感染症などがはびこり広がること。好ましくないものの流行。


 【衍曼】  (漢辞海)
 えんまん
 はびこる。絶え間なく続くさま。
 【衍曼流爛】  (「辞典」P.97/P.98)
 悪がはびこり、社会全体に広がっていくこと。「衍曼」は広がり、はびこるさま。「衍曼」は「衍漫」とも書く。


 【蔓延】と【衍曼】、意味はほぼ同義と考えてよさそうですが、使用する漢字、特に「まん」の方は書き分けられていますね。今朝、四字熟語の復習をしていて、「えんまんりゅうらん」の「まん」に草かんむりをつけてしまいました。昨日の記事で、記憶に定着したはずのものが怪しくなっていると書きましたが、これもその表れの一つです。ひとつひとつ、確実に記憶を確認していかなければなりません。