うちわびて よばはむこゑに やまびこの こたへぬやまは あらじとおもふ
うちわびて 呼ばはむ声に 山びこの こたへぬ山は あらじと思ふ
よみ人知らず
思いわずらって呼び続ける声に山びこで応えない山はないと思う。だからあの人も私の思いに応えてくれるだろうか。
「呼ばふ」は、「『呼ぶ』の未然形+反復継続の助動詞『ふ』」がひとつの動詞として用いられるようになった語で、「呼び続ける」の意。呼び続ければ山びこが返って来る。それと同じようにあの人も、との期待ですが、その期待は叶わないとの予感を持っての切ない歌のように思えます。