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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 753

2025-05-08 05:00:02 | 貫之集

泉の大将亡せたまひてのちに、隣なる人の家に人々いたりあひて、とかく物語りなどするついでに、かの殿の桜の面白く咲けるを、これかれあはれがりて歌よむついでに

きみまさで むかしはつゆか ふるさとの はなみるからに そでのぬるらむ

君まさで むかしは露か 古里の 花見るからに 袖のぬるらむ

 

泉の大将が亡くなって、その隣の家に人々が集まってあれこれと語り合うついでに、大将の家の庭に桜が美しく咲いているのを、皆があわれに感じて歌を詠むついでに詠んだ歌

あなたさまがおいでにならなくなって、昔のことが露と消えてしまったからか、昔馴染みのこの場所で桜を見ると、花に露が置くように、袖が涙で濡れてくることです。

 

 「泉の大将」は藤原定国(ふじわら の さだくに)のこと。貫之集はこの定国の四十賀に寄せた屏風歌二首(001002)から始まりました。
 この歌は、続古今和歌集(巻第十六「哀傷」 第1398番)に入集しており、そちらでは初句が「おもいいづる」、第四句が「はなみるごとに」とされています。



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