とぶとりの こゑもきこえぬ おくやまの ふかきこころを ひとはしらなむ
飛ぶ鳥の 声も聞こえぬ 奥山の 深き心を 人は知らなむ
よみ人知らず
飛ぶ鳥の声すらも聞こえない奥深い山のように心の奥底に秘めた深い思いを、いとしいあの人には知ってほしいものだ。
「なむ」は動詞の未然形について、他に対する願望を表す終助詞。上三句が、自分の思いがいかに深いかを表現する比喩になっています。シンプルに歌意をとれば「私の深い思いをあの人に知ってほしい」ということですが、上三句の秀逸な比喩がこの歌の味わいを深いものにしていますね。