漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0545

2021-04-27 19:23:32 | 古今和歌集

ゆふされば いとどひがたき わがそでに あきのつゆさへ おきそはりつつ

夕されば いとど干がたき わが袖に 秋の露さへ 置きそはりつつ

 

よみ人知らず

 

 夕方になると恋しさが募り、涙に濡れて乾きがたくなる袖に、秋の露までもが置き加わってくることよ。

 袖の乾く間もないほど恋しさに涙しているところに、秋露までもが加わって袖を濡らすという、なんとも切ない歌ですね。「夕されば」は夕方になるとの意で、同じ句で始まる百人一首の歌(第71番)が思い出されます。

 

ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく

夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く

 

大納言経信

(金葉集 巻第三「秋」 第173番)