漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0532

2021-04-14 19:04:21 | 古今和歌集

おきへにも よらぬたまもの なみのうへに みだれてのみや こひわたりなむ

沖辺にも 寄らぬ玉藻の 波の上に 乱れてのみや 恋ひわたりなむ

 

よみ人知らず

 
 沖の方には行かない玉藻が波の上でただ乱れて漂っているように、私の身もただ思い乱れて恋慕いつづけるのだろうか。

 「沖辺」を「沖にも岸辺にも近寄らない」と解釈する説もあるようです。歌意としてはその方がしっくり来るようにも思います。恋情に心乱れて揺れ動く自身の身と心を、波にゆれてぷかぷかと浮かぶ海藻に見立てての詠歌です。