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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0496

2021-03-09 19:06:13 | 古今和歌集

ひとしれず おもへばくるし くれなゐの すゑつむはなの いろにいでなむ

人知れず 思へば苦し 紅の 末摘花の 色に出でなむ

 

よみ人知らず

 

 人知れずあの人を思っているのが苦しい。紅色の末摘花のように、思いを表に出してしまおう。

 相手には伝えない秘めた恋の歌が続いていましたが、いよいよ恋情を抑えきれず、思いを伝えようという歌の登場です。「末摘花」はベニバナの古名。源氏物語に登場する末摘花は、鼻が赤いことから光源氏にそう呼ばれます。「出づ」は自動詞「出る」、他動詞「出す」の両方の意味があります。ここでは後者ですね。