わがこひを ひとしるらめや しきたへの まくらのみこそ しらばしるらめ
わが恋を 人知るらめや しきたへの 枕のみこそ 知らば知るらめ
よみ人知らず
私の恋心を人は知っているだろうか。いや、知っているとしたならばそれは枕だけであろう。
「しきたへの」は「枕(まくら)」「床(とこ)」「衣(ころも)」「袖(そで)」などに掛かる枕詞。人知れない恋を枕が知っているというモチーフの歌は、少し先になりますが 0670 にも出てきます。
まくらより またしるひとも なきこひを なみだせきあへず もらしつるかな
枕より また知る人も なき恋を 涙せきあへず もらしつるかな
平貞文