あさじふの をののしのはら しのぶとも ひとしるらめや いふひとなしに
浅芽生の 小野の篠原 しのぶとも 人知るらめや 言ふ人なしに
よみ人知らず
私が心に忍ばせたこの恋心をあの人は知っているだろうか。いや、知りはしない。誰も告げる人がいないのだから。
初二句は第三句の「しのぶ」を導く序詞。「人」が2回出てきますが最初の「人」は作者が思いを寄せる相手、次の「人」は周囲など一般の人々を指していますね。
この歌を本歌取りした著名な歌が百人一首(第39番)に採録されています。こちらの方が良く知られていますね。
あさじふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき
浅芽生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき
参議等
(後撰和歌集 巻第九「恋歌一」 第577番)