漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0492

2021-03-05 19:24:02 | 古今和歌集

よしのがは いわきりとほし ゆくみづの おとにはたてじ こひはしぬとも

吉野川 岩きりとほし ゆく水の 音にはたてじ 恋は死ぬとも

 

よみ人知らず

 

 岩の間を激しく流れる吉野川の水のような音は立てまい。たとえ恋焦がれて死んでしまうとしても。

 激流のごとく心中に渦巻く恋心であるが、たとえ恋死にしようともそんなことは音(=声)には出すまい、ということですね。同じく吉野川の流れに準えて恋を詠んだ 0471 と併せ読みたい歌です。

 

よしのがは いはなみたかく ゆくみづの はやくぞひとを おもひそめてし

吉野川 岩波高く 行く水の はやくぞ人を 思ひそめてし

 

紀貫之