よしのがは いわきりとほし ゆくみづの おとにはたてじ こひはしぬとも
吉野川 岩きりとほし ゆく水の 音にはたてじ 恋は死ぬとも
よみ人知らず
岩の間を激しく流れる吉野川の水のような音は立てまい。たとえ恋焦がれて死んでしまうとしても。
激流のごとく心中に渦巻く恋心であるが、たとえ恋死にしようともそんなことは音(=声)には出すまい、ということですね。同じく吉野川の流れに準えて恋を詠んだ 0471 と併せ読みたい歌です。
よしのがは いはなみたかく ゆくみづの はやくぞひとを おもひそめてし
吉野川 岩波高く 行く水の はやくぞ人を 思ひそめてし
紀貫之