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【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ジェネラル・ルージュの凱旋」:天現寺橋バス停付近の会話

2009-03-11 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

ここは、慶応幼稚舎。
将来、慶応大学に行く子も多いんだろうな。
中には、医学部に行く子もいるんでしょうね。
慶応の医学部といえば、名門中の名門だ。そのまま慶応大病院の医者になる人もいるかもしれない。
できれば、ジェネラル・ルージュのような立派な医者になってもらいたいものね。
立派?ジェネラル・ルージュが立派な医者かどうかは映画の「ジェネラル・ルージュの凱旋」を観て判断してもらいたいけどね。
立派じゃない。救急患者は絶対断らないという信念を押し通す、大学病院の救急救命センター長。
そのジェネラル・ルージュと呼ばれるほど腕が立つ医者にかけられた嫌疑をめぐる映画が「ジェネラル・ルージュの凱旋」。果たして彼は、善人なのか悪人なのか。
チーム・バチスタシリーズの第2作だから、阿部寛と竹内結子の凸凹コンビも当然出てくるけど、意外なことに「チーム・バチスタの栄光」と違って、殺人者は誰か、それを二人が突きとめていくという謎解きがメインの映画じゃなかった。
むしろ、映画全体を通して日本の医療現場の実情を告発する社会派映画に近いんでびっくりした。
医者を演じるのはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いの堺雅人。
救急患者は断らないのが信条の彼が、赤字病院の経営を第一に考える一派と衝突し、そこに大きな疑惑が生まれる。
とにかく、堺雅人が熱演で、この人の演技、「クライマーズ・ハイ」あたりから完全に一皮むけてしまったわね。
とても、堺正章の息子とは思えない。
えっ、堺雅人って、堺正章の息子なの?
いいや、違うよ。
えっ。だって、いま、堺正章の息子とは思えないって・・・。
堺正章の息子じゃないから、堺正章の息子とは思えない、って言ったんだ。
あのねえ、阿部寛みたいな冗談言わないで。
そういえば、この映画の中の阿部寛、あいかわらず「チーム・バチスタの栄光」みたいなスベった冗談を放っているが、あの映画ほど鼻につかない。
自分の分をわきまえてきたのね。
映画自体も「チーム・バチスタの栄光」を覆っていたどこかふぬけた感じが嘘のように消えて、引き締まった仕上がりになった。2作目のほうが1作目より出来がいいなんて珍しい。
あの「ALWAYS 三丁目の夕日」だって、結局は2作目より1作目のほうが出来がよかったもんね。
単なるミステリーじゃなく、日々の医療現場というリアリティあるテーマを芯に持ってきたことが成功しているんだろうな。
それに応えた堺雅人の熱演。彼の過剰とも思える演技が映画の隅々に緊張感をもたらしているんじゃないの?
疑惑の被告として病院内の倫理委員会で熱弁を振るうシーンなんてシビれるもんな。
ああいう裁判シーンて、わりと静的なイメージがあるんだけど、会議室が異様に広いから、堺雅人も縦横無尽に動けて演技のしがいがある。
あの会議室の広さ。あのパースペクティブは、テレビじゃ生かしきれない。
「Tomorrow」とか「コードブルー」とか、同じように医療をテーマにしたドラマってテレビでもいっぱいあるんだけど、映画はテレビとは描写の仕方が違うぞ、って意識させられる場面よね。
テレビの連続ドラマだと何週間にも渡って描けるから丁寧な話づくりができるんだけど、それが出来ない分、映画にはテレビドラマの粋を凝縮したような密度の濃さが出る。それを再確認した2時間3分だったな。
テレビ局のTBSがつくっているのにエラい!
そして、後半は裁判ドラマになるのかと見せかけて、ある瞬間からデザスター映画に切り替わり、映画的空間が一気に広がる。
鮮やかとしか言いようのない展開!
でも、医療というテーマがしっかりしているから単なる阿鼻叫喚のパニック映画には陥らない。
堺雅人が常に舐めているチュッパチャップスも彼の性格を表わすだけの小道具かと思いきや、物語の最後に生きてくる。小さいところまでおろそかにしない、プロの仕事よね。
監督は、1作目に続いて中村義洋。「ジェネラル中村の凱旋」と呼びたい映画だった。
彼は成城大出身で、慶応出身じゃないみたいだけど。
ああ、だから舞台が、“慶応大病院”じゃなくて“成城大病院”になっているのか。
あのねえ、映画の舞台は“成城大”じゃなくて、“東城大”だけど。
そうだっけ?
あんたも成長してないわね。
口紅つけてくれ。
って、映画を観た人にしかわからない冗談言わないの。
はい。



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「愛のむきだし」:光林寺前バス停付近の会話

2009-03-07 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

この先へ行けばフランス大使館にたどり着く。
恋の国、フランスね。おしゃれな映画もたくさんあるし。
フランス映画のようにソフィスティケイトされた恋もいいが、むきだしの愛の話もなかなかいいぞ。
園子温監督の「愛のむきだし」のこと?
ああ、宗教の話がからまった、奇っ怪な愛の物語。園子温だけに口当たりのいい日本映画とはひとあじ味もふた味も違うぶっ飛んだ映画に仕上がった。
ほんとうよね、最近の日本映画で3時間57分の長尺映画なんてなかなかないもんね。腰が痛くなっちゃった。
そりゃお前、持病のヘルニアのせいだろ。
そう、ヘルニアスクリーンで観たかった・・・。
健康な観客なら、ナレーションで引っ張っられて物語がサクサク展開していくから時間の長さはまったく気にならない。
園子温お得意のチャプターナンバーや「奇跡まであと何日」なんてテロップまで出てきて観客の興味をそらさない。
そこで繰り広げられるのは、西島隆弘と満島ひかりのトリッキーな愛の成り行き。
西島隆弘はAAAのメンバーとはいえ、映画俳優としてはまだまだだし、満島ひかりもいまひとつ花がないし、だからかどうか、映像に一流感はまったくないんだけど、その粗雑さが奇妙な味わいになって、ひねくれた物語に映画としての力がみなぎってくる。
そのあたりが、どこか内田けんじ監督の「運命じゃない人」みたいな匂いを醸し出すんだよな。
そして後半は宗教と暴力のエネルギーが暴走する狂気の世界へとなだれこむ。
前半から宗教色はビンビンだったけど、後半はにせ宗教との戦いへと話がひん曲がる。
でも、終わってみればたしかにむきだしの愛の物語だった。
愛はすべてを救う!
これが実話をベースにしているっていうんだからびっくりする。
どこまでが実話なのかしらね。イーストウッドの「チェンジリング」と違って相当脚色していると思うけど。
貶すわけじゃないけど、なんか展開がマンガっぽいもんな。
篠原とおるの「さそり」なんて出てきて、いったいいつの話よ、と思っちゃう。
ああ、映画では梶芽衣子が演じてた。
梶芽衣子・・・あの人はいま?
さあ・・・。
まあ、そんなマンガっぽいところがまたこの映画の魅力なんだけどね。
そうかと思うと、満島ひかりが聖書の一節を暗唱する長回しのシーンとか、これぞ映画だっていう瞬間が確実にあって、園子温、ほんとに隅に置けない。
ごった煮映画とも呼べるかもしれないけど、3時間57分楽しませてもらったのは事実よね。
でも2500円は高くないか。
二人で5000円かあ。そのわりに爆発シーンとか、チープなつくりではあったわね。
上映時間の長い映画を高くするなら上映時間の短い映画は安くしなくちゃ公平じゃないよなあ。
でも、その時間、楽しんだんだからいいんじゃないの?
ずいぶん、おおらかだな。
フランス人はおおらかなのよ。
ってお前、いつからフランス人になったんだ?
これから。フランス大使館に行って手続きしようと思って。
なにそれ、園子温よりぶっ飛んだ発想だな。




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「シリアの花嫁」:四ノ橋バス停付近の会話

2009-02-28 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

ここがイラン大使館。
フセインがいた国だな。
いいえ、それはイラク。
ああ、鮭の卵か。
いいえ、それはイクラ。
ああ、上野の近くにある町か。
それは、イリヤ。
確か、中近東にある国だったっけ?
それは、シリア。
・・・で合っているんだろ、エラン・リクリス監督の映画の舞台。
あ、「シリアの花嫁」の話をしたかったの?でも、ここにたどり着くまで長すぎよ。
この映画の花嫁みたいだな。イスラエルの占領地、ゴラン高原から境界を越えてシリアの男性に嫁いでいこうとするんだけど、その境界で足止めを食らって、どうしても花婿にたどり着けない。
“境界”って、つまり“国境”のことでしょ。
イスラエルから見れば国境だし、シリアから見れば国内移動にすぎない。だからだろう、間を取って“境界”と表現されている。
そのへんがあいまいなもんだから、イスラエルの役人とシリアの役人が花嫁のパスポートに押された判でもめる。
もちろん、両者は敵同士だから直接会って問題の解決をはかろうとはしない。間をとりもつ国連の女性職員は右往左往するだけ。
花嫁は境界で足止めを食らうばかり。
しかも、いちど境界を越えたら二つの国は国交がないから二度と故郷へは戻れない。それでも結婚したいのかねえ。
愛は国境を越えるのよ。
“国境”じゃない。“境界”だ。
じゃあ、愛は境界を越えるのよ。
でも、この二人、お互い写真を見ただけで一度も会っていない。そんな犠牲を払ってまで結ばれたいほど愛し合っている仲なのか。
民族よ。土地は引き裂かれても同じ民族の絆がそこにはあるのよ。
なんだか複雑すぎて、俺たち日本人の理解力を越えるな。
理解を越えるのはそういう不可思議な政治状況だけで、そんな状況の中でも必死に生きている人たちにはむしろ共感を覚えるわ。
ああ。それでも純白のドレスに身を包み、国境を越えていこうと試みる花嫁の姿は、感動的でさえあるもんな。
自分の人生は他人や役人や、ましてや国のものではないという強烈な意志。
そしてこの映画、花嫁花婿を取り巻くいろんな連中が登場してひっちゃかめっちゃか騒動を引き起こす構図は「アンダーグラウンド」とか「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツァ監督をほうふつとさせる。
彼ほどアナーキーなエネルギーはないけど、たしかにそういう感覚は見受けられるわね。
悲劇を喜劇で語る語り口。
悲劇じゃないわよ。ここにあるのは、不屈の希望よ。
不条理な状況に対する複雑な思いをかかえながらも道を切り開いていく人々。そこに託された希望を感じろってことか。
そのとおり。
それにしてもほんと、中東って大変なところだな。白状すると、イランもイラクもシリアもイスラエルも、違いがよくわからないけど。






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「チェンジリング」:古川橋バス停付近の会話

2009-02-25 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

時代屋なんて、村松友視の小説みたいな骨董屋ね。
しかし、古き良き時代を感じさせるものはいいよな。
1920年代のロサンゼルスでも?
そりゃあ、クリント・イーストウッド監督の映画「チェンジリング」みたいに息子を誘拐された母親にとっちゃあ最悪の時代だろうけど。
しかも、5ヶ月ぶりに発見された息子が、実の息子ではなかったというミステリー。
警察はその取り違えを認めようとしない。イヤな時代だ。
母親を演じるのがアンジェリーナ・ジョリー。彼女が警察と戦って本当の息子を取り戻すストーリーかと思ったら、話はどんどん意外なほうに展開していく。
クリント・イーストウッドはオスカー受賞の「ミリオンダラー・ベイビー」でも意外なほうへ話を展開させていったけれど、その語り口がうまいから観客は無理なく話に乗っていける。
警察に抗議した母親が精神病院へ隔離され、ホラー的な要素が強くなってきたところで、もうひとつの猟奇的な話が始まる。これ以上はないタイミングよね。
精神病院の中なんて、まるで「カッコーの巣の上で」だしな。
そして、犯人もわかり二つの話がひとつにつながって物語は終わったかと見せて、実はまだその先がある。
でも、それが蛇足という感じは全然しない。
そう。アンジェリーナ・ジョリーが最後に決めの一言を口にしたところで誰もが映画の本質を理解する。まったく、舌を巻くくらいうまい映画よね。
映画らしい映画を撮らせたら、もはやイーストウッドにかなう監督はアメリカにはいないんじゃないのか?
アメリカどころか世界中探してもいないんじゃない?
クリント・イーストウッドはいつの間にかそれくらい他の追随を許さない、孤高の名監督になってしまった。
その名監督に応えてまた、アンジェリーナ・ジョリーがいつにも増して熱演を見せる。
デニス・ホッパーを若くしたような犯人役も不気味でいい味出してる。
二人の対決場面なんて、手に汗握り、心臓は高鳴り、血圧は上がる、上がる、また上がる。まったく体に良くないわ。
これが実話だっていうんだから驚きだ。
ほんとにあったできごとにふさわしく、1920年代のロサンゼルスを精緻に再現している。
日本人が「ALWAYS 三丁目の夕日」の東京タワーを見て感動したように、アメリカ人はあの赤い電車を見て感動するのかな。
どうかしら。あの赤は、押さえた色調の映画の中で、アンジェリーナ・ジョリーの唇の色とともにとても印象に残る赤だけどね。
しかし、この映画には雰囲気だけのためのカットって、ひとつもない。感心するな。
どういう意味?
へたな監督の映画だと、なんかここ、雰囲気がいまひとつ出てないなあ、青い空に白い雲が浮かぶカットでも入れておくか、みたいな感じの冗漫な映像が見受けられるんだけど、この映画にはそういう無駄なカットが一切ないんだ。
そういえば、そんな気もする。無駄もなければ、無理もない。
物語を物語る。そのための必要十分条件だけを備えている。
だからこそ、何年経っても色あせない本物の映画になるのね。
ああ、あのアンジェリーナ・ジョリーの唇の色のように色あせない。
何年、何十年経っても古くならない一級品。時代屋に並べてもおかしくない。
まったくおかしくない。



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「イントゥ・ザ・ワイルド」:魚籃坂下バス停付近の会話

2009-02-21 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

あそこに見えるのはテレビ屋か?もうすぐアナログテレビは見れなくなっちゃうし、地デジ対応テレビでも買っていくか?
それより、これを機会にテレビのない生活でもしてみたら?
そんな野蛮な生活できるかい!
そういう人にこそ見てほしいのよねえ、ショーン・ペン監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」。
物質的な豊かさを捨てて荒野をめざす青年の映画だろ。ようやく観ましたよ。
感動した?
全然。「20世紀的な生活にはおさらばだ」とか大仰に言ってるけどさあ、これって70年代のヒッピーたちとあんまり変わらないんじゃないの?実際、アメリカン・ニュー・シネマにたびたび登場したような人物も出てくるし。
「イージー・ライダー」とか「バニシング・ポイント」みたいな匂いがしないこともないけどね。
LOVE&PEACE!
でも、ああいう映画ほど不健全じゃない。
そう。妙に健全というか、清潔感のあるのが気にいらないね。
でも、人間はこれ以上物質的な豊かさを求めていいのかという根源的な問いかけがあって、地球環境の危機が叫ばれている今こそ真剣に観るべき映画だと思うわよ。
冗談じゃない、アル・ゴアじゃあるまいし。流行に乗ってるだけじゃないのか。
流行じゃなくて、これからの人類につきつけられた問題なのよ。
おまえは、環境団体の回し者か?そもそもこいつ、両親の愛情を受けないで大きくなったんで、世の中をすねて荒野をめざしたんだろ?
ずいぶん大雑把な見方ね。もっと人間の本質的な欲求から湧き出してきた行動だと思うけど。
でも、映画を観てるとそう見える。
表面的に観ないで。これまで常識的とされた成功に背を向ける生き方もあるってことよ。
でも放浪の果ての結論が「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ」とかなんとか言うんじゃ、あまりにコンサバティブで椅子からひっくり返っちゃうぜ。
聞いてりゃ、ずいぶん貶すのね、この思索的な映画を。
時制を交差させながら展開するから、なにか頭良さそうな映画に見えるかもしれないけど、時系列順に物語ったほうがよっぽど素直で共感できたはずだ。
あなたにはこういう自然回帰志向がないってこと?
ない。実話らしいが、この映画の役者より最後にチラッと出てくる本物の青年のほうが何十倍も魅力的な顔立ちをしている。こういう行動を取らざるを得ない恐れとかおののきとか喜びとかには、もっともっと深いものがあるだろうに俺にはそれが感じられなかった。
目を見張るような大自然もあれば、圧倒的に魅力的な人間たちも出てきたのに、あなたにはそういうものを感じ取るセンスが欠けているのね。アナログを理解できないデジタル人間なんじゃないの?
ああ、やっぱり、俺には地デジ対応テレビが必要だな。買っていくか?




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