
なんで外車が展示されているの?

ランボルギーニの販売店だから。

あの有名なイタリアの車?

お、よく知っているな。でも、ランボルギーニって、いまはドイツのアウディ傘下に入っているらしいけどな。

さすが、ドイツ。ヒトラーを生んだだけのことはある。

って、やめなさい、そういう誤解を生む言い方。

そうよね、ヒトラーだけがドイツ人じゃないって「ワルキューレ」の中でも言っているもんね。

第二次世界大戦中にヒトラーの暗殺を企てたドイツ将校たちの物語か。

中心となる将校を演じるのは、トム・クルーズ。

総統より祖国を愛するとか言いながら、ヒトラーの暗殺を画策する。

祖国のために!かっこいい!

わが祖国、いまはわが粗国、ってか。

で、あと一歩で暗殺成功というところまで行くんだけど、最後の詰めを過って失敗してしまう。

終わってみれば、「何ごとも確認がだいじ」っていう人生訓を残す実に身につまされる映画だった。

いや、そういうテーマの映画じゃないと思うけど・・・。

暗殺がテーマだっていうなら、フランスの大統領暗殺を映画化した「ジャッカルの日」に遠く及ばない出来だぜ。

すぐそういう名作と比べたがる。悪いクセねえ。だいいち、あの暗殺もこの映画と一緒で結局未遂に終わっているじゃない。

同じ未遂でも、あっちの未遂は、誰もそこまでは念頭になかったっていう意外なミスが原因だけど、こっちの未遂は、ちゃんと確認しなかっただけの基本的なミスだからなあ。

暗殺当日、会議の時間が変わるとか会議室が変わるとかハプニングが起きて、いくらトム・クルーズでも冷静でいられなかったのよ。

でも、確認くらいしろよ。「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズはどこ行った?

だからそんなヒマもなかったんだって。

だったら、確認できなかったって言えばいいものを、確認した気になって、ドジなトム。もっとあっというような理由で暗殺に失敗するなら同情もするけど。

これは史実なんだから、そんな映画みたいに都合よくはいかないのよ。

おいおい、これは、史実じゃなくて、史実をもとにした映画だろ。

そりゃ、映画だけど、暗殺をめぐるサスペンスだけがテーマじゃないわ。ドイツの中枢にも国の将来を憂える人々がいたってことを伝えたかったのよ。

憂国の士か。三島由紀夫みたいだな。

うーん、たとえがヘン。

じゃあ、二・二六か。

まあ、そんなところかしら。

常々不思議に思っているんだけど、二・二六っていかにも映画的な出来事なのに、あの事件を正面から描いた傑作が日本映画にないのはどういうわけだ?

知らないわよ、そんなこと。いま話しているのは「ワルキューレ」。

戦争映画にぴったりのいい音楽だよなあ。あの曲を聞くだけで血が騒ぐ。

「地獄の黙示録」を思い出す。

そのわりにこの映画の中ではあまり効果的に聞こえてこなかったのはどういうわけだ?

だから、知らないって。

とにかく、軍人とか偉い人しか出てこない。憂国の映画なら、もう少しドイツに暮らす庶民の姿を描きこんでもよかったんじゃないのか。

「
ジェネラル・ルージュの凱旋」みたいに?

お、いいこと言うねえ。「
ジェネラル・ルージュの凱旋」はほとんど病院関係者しか出てこない映画なのに、「先生、うちの人は見捨てるんですか」と訴える患者側の立場の人が一瞬出てくる。それだけで映画が大きく膨らむのに、「ワルキューレ」にはそういう立場のヒトラーに蹂躙される側の描写がない。

でも、久々の第二次大戦ものよ。あなたみたいな戦争映画ファンにとっては懐かしいんじゃないの?

昔の戦争映画っぽい雰囲気はあるよな。

出演者たちも、トム・クルーズを除けばみんな渋いし。

将軍の妻が「
ブラックブック」の女優、カリス・ファン・ハウテンっていうのがいちばんの見所だったかもしれない。

あの映画もヒトラーに反旗を翻す人々の映画だったもんね。

というより、彼女のたたずまいがいいんだよな。当時の顔をしている。よくあの地味な女優をトム・クルーズの妻役に配役したもんだ。

二コール・キッドマンっていうわけにはいかないでしょう。

そりゃそうだ。「アイズ・ワイド・シャット」になっちまう。

そういえば、「ワルキューレ」のトム・クルーズは左目が義眼だった。

目を大きく開いても、片眼は閉まったまま。

文字通り「アイズ・ワイド・シャット」ね!

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