Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

旅日記:ピンチャー&バーデン州立歌劇場管

2010年02月17日 | 音楽
 旅の日程を組むに当たって、この日だけはめぼしいオペラが見つからなかったので、オーケストラや室内楽の演奏会を探していたら、マティアス・ピンチャーMathias Pintscher指揮バーデン州立歌劇場管弦楽団の演奏会を見つけた。プログラムは次のとおりだった。
(1)ベルント・アロイス・ツィンマーマン:静止と反転Stille und Umkehr
(2)マティアス・ピンチャー:五つの管弦楽曲
(3)ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(全曲版)

 この中のツィンマーマンの「静止と反転」に注目した。オペラ「軍人たち」の作曲家ツィンマーマンは1970年に自殺しているが、これはその最後の作品の一つ。いったいどういう音楽なのだろうと思った。

 指揮者のピンチャーについて調べてみると、1971年生まれのドイツの作曲家とのこと(これは偶然だが、オペラ「テンペスト」の作曲家トーマス・アデスと同い年だ)。CDがいくつか出ている。私がきいた中では、エッシェンバッハ指揮北ドイツ放送交響楽団によるオペラ「トーマス・チャタートン」からの音楽が面白かった。この人には劇的な音楽をかく才能があると感じた。オペラは1998年にドレスデンのゼンパー・オーパーで初演されたとのこと。

 まず1曲目。オーケストラが出てきて驚いた。弦はヴァイオリン1、ヴィオラ1、チェロ3、コントラバス3という特殊編成。木管と金管は3管編成程度。異色なのはアコーディオン1と深さ50センチくらいの胴長の小太鼓1。この編成で重低音を鳴らすのかと思いきや、透明感にあふれた、ほとんど動きのない、静かな曲だった。大音響によって世の中の不正を訴えたオペラ「軍人たち」から5年後の作品。その間になにがあったのだろうか。

 2曲目の自作曲は、1997年のザルツブルク音楽祭でケント・ナガノ指揮フィルハーモニア管弦楽団によって初演されたとのこと。現代音楽でよくきかれる激しい音楽や、この作曲家特有の点描的な音楽などが組み合わさった曲だ。最後にイングリッシュ・ホルンによるエキゾティックなフレーズが2度出てくるのが印象的。シェーンベルクの同名の曲(作品16)との関連があるようだった。

 3曲目の「火の鳥」は全曲版。そのため場面と場面とのつなぎの部分があちこちに出てくる。そういう部分まで面白くきかせる芸は、まだないようだった。

 この演奏会は2回公演の二日目。一日目は日曜のマチネー公演で、午前11時開演とのこと。これは元旦のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートと同じだ。私の行ったのは月曜の夜の公演。聴衆はよく入っていて、拍手も暖かかった。
(2010.2.8.バーデン州立歌劇場)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 旅日記:オーウェン・ウィン... | トップ | 旅日記:ペレアスとメリザンド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

音楽」カテゴリの最新記事