Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ビシュコフ/N響、インキネン/日本フィル

2013年04月21日 | 音楽
 急に寒くなった土曜日、ブレザーでは寒くて、薄いコートでも羽織ってくればよかったかと後悔。足早にNHKホールへ。セミョーン・ビシュコフ指揮のN響でヴェルディの「レクイエム」。昔、カラヤンが自分の後継者として何人かの名前をあげたとき(そういうことが何度かあった)、ビシュコフが入っていた。そのときその名前は強烈にインプットされたが、実際に聴くのは初めてだ。

 なるほど、こういう指揮者なのか、オーケストラが弾きやすそう(吹きやすそう)だ。無理のない呼吸感がある。しかもオーケストラを煽らずに、十分に鳴らすことができる。さすがにパリ管、ケルン放送響のポストを歴任しただけのことはあると思った。N響の体質とも合っていそうだ。

 だが、なぜか感動しなかった。なるほど、そうなのね、で終わってしまうところがあった。

 独唱者はいずれも初めて目にする(耳にする)人たちだった。アルトのアニタ・ラチヴェリシュヴィリAnita Rachvelishvili(グルジア生まれ)に注目した。深い声とストレートな表現の人だ。あとの3人は、ラテン語の発音に癖があったり、声域によってムラがあったり――。

 合唱団は新国立劇場合唱団。150人ほどの大編成で、しかも本拠地では「魔笛」の公演が進行しているので、当然大量のトラが入っている。なので、申し訳ないが、新国立劇場合唱団とは名ばかりで、本来のレベルからは遠かった。

 「レクイエム」1曲なので早めに終了した。次は横浜へ。インキネン指揮日本フィルのシベリウス・チクルス第2弾、シベリウスの交響曲第4番と第2番。まずは第4番。先月の第5番の好調さを維持している。第4番というと茫漠とした(霧が漂うような)幻想的なイメージがあるが、インキネンの指揮で聴くと、シベリウスがはっきり発言していることがわかる。今後この曲はこう演奏されるのだろう。

 第2番は故渡邉暁雄の十八番だった。渡邉暁雄/日本フィルの演奏で何度聴いたことだろう。その伝統が今リフレッシュされて蘇った、という感慨があった。もちろん渡邉暁雄の解釈とはちがって、もっと明るく、おそらくはシベリウスの同時代人カヤヌス以来の伝統を清算するものだが、それはそれで未来志向で受け止めるべきだろう。ネーメ・ヤルヴィとのチクルスはなにも残さなかっただけに(わたしにはそう思える)、今回のチクルスは嬉しい。
(2013.4.20.NHKホール、みなとみらいホール)

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