Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

「愉しきかな!人生 老当益壮の画人たち」展

2019年02月08日 | 美術
 石川県立美術館で開催された「石川近代美術の100年」展(2月4日閉幕)で、見ておきたい作品があったので、会期末ぎりぎりだったが行ってきた。金沢は東京から日帰りも可能だが、富山に旧知の宿があるので、そこで1泊して、翌日金沢に行った。

 富山に着いてからは、まず富山県美術館に行った。同美術館は旧「富山県立近代美術館」が2017年に移転新築したもの。わたしは移転新築後、今回が初めての訪問だった。ガラス張りの明るい建物になっていた。だが、ボランティアらしい館内案内人が要所々々にいて、見学の順路を指示されるのが、煩わしくもあった。実は見学の途中で広い廊下に置かれている彫刻が目に入ったので、見に行こうとしたら、「まず向こうの展示室に行ってください」と言われた。

 次に水墨美術館に行った。企画展「愉しきかな!人生 老当益壮の画人たち」展を見るためだ。老当益壮(ろうとうえきそう)とは「老いてますます盛ん」という意味。長寿だった画家たち(現存の画家もいる)の作品を集めた展覧会だ。

 楽しみにしていた展覧会だが、実際に見たら想像以上に楽しかった。たとえば奥村土牛(1889‐1990)の「平成の富士」(101歳のときの作品)は、101歳の人が描いたとは思えないほどフォルムに崩れがない。しっかりしたフォルムの中に、何物にもとらわれない自由な精神が脈打っている。

 片岡球子(1905‐2008)の「面構 歌川広重」(98歳)は、一癖も二癖もありそうな面構えが、思わずたじろぐほどの存在感を放っている。これが98歳の作品かと、その精神力に脱帽する。

 それらのビッグネーム以外にも、ローカルな存在ながら惹かれる画家がいた。中でも特筆すべき画家は、筧忠治(かけひ・ちゅうじ)(1908‐2004)。愛知県生まれ。測候所に勤めながら絵(その多くは自画像)を描き続けた。本格的な発表は定年退職後から。仁王様のように強烈な自画像だ。わたしが惹かれたのは「ノラ」(79歳)。野良猫を描いた作品だが、猫の面構えが、ふてぶてしくて、いかにもワルだ。可愛くなんか少しもない。自画像と同様に強烈だ。わたしは思わず笑ってしまった。

 わたしは今67歳だが、老け込んではいられないと思った。

 翌日は金沢に移動して石川県立美術館へ。目的の作品のことは措くとして、森本仁平(1911‐2004)という画家の「湖畔のはす田」(1995年)の夕日の金色の光線に惹かれたことを記しておきたい。
(2019.2.2~3.)

(※)水墨美術館のHP
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする