Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

旅行予定

2018年04月23日 | 身辺雑記
4月23日から山好きの友人たちとオーストリアのチロル地方に行ってきます。オペラの予定は1回だけです。帰国は5月1日の予定です。
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ルドン展

2018年04月23日 | 美術
 フランスの特異な画家ルドン(1840‐1916)の作品は、岐阜県美術館に充実したコレクションがあり、また三菱一号館美術館が「グラン・ブーケ(大きな花束)」を所蔵したので、多様な企画展が可能になっている。

 「グラン・ブーケ」のお披露目は2012年の「ルドンとその周辺」展だった。三菱一号館美術館が何だかとんでもない作品を所蔵したと聞いて、わたしも見に行った。今まで見たこともない大作。縦248.3㎝×横162.9㎝のパステル画。その画面いっぱいに花瓶と無数の花が描かれている。美しいとは思うが、その巨大さゆえに、どう捉えたらよいのか、持て余し気味だった。

 「グラン・ブーケ」はドムシー男爵の城館の食堂を飾るために描かれた。そのときルドンが制作した作品は総計16点。「グラン・ブーケ」以外の15点は、今はオルセー美術館が所蔵する。それらの15点を借りてきて、ドムシー男爵の食堂を再現したのが本展。

 「グラン・ブーケ」と同じサイズの作品が他に3点あり、「グラン・ブーケ」を含めた4点が主要な作品。その他、詳述は避けるが、2点で一対をなす作品が3組(6点)、天井近くの狭いスペースを飾る小品が6点、合計で16点。それぞれの作品が壁面のどの部分を飾っていたか。本展はそれを説明する。

 他の15点の色調は、黄土色(またはベージュ)が基本で、落ち着いたトーンになっている。一方、「グラン・ブーケ」は、花瓶の青と花々の多彩な色とが鮮やかで、他の15点とは色調が異なる。その「グラン・ブーケ」はパステルで描かれているが、他の15点は木炭、油彩、デトランプ(膠を使った技法)で描かれ、くすんだ色面になっている。

 加えて、巨大な花瓶が圧倒的な存在感を示す「グラン・ブーケ」の、その花瓶の青色は、他の15点の黄土色(またはベージュ)の色調と補色の関係に接近するので、それも計算されているかもしれない。

 また描かれたテーマも、他の15点が自然の中の樹木や草花であるのに対して(例外的に幻想的な人物が登場する作品が2点あるが)、「グラン・ブーケ」は花瓶に活けられた(摘まれた)花々なので性格が異なる。

 結論的にいうと、「グラン・ブーケ」は、オペラでいえば、華やかなプリマドンナのような作品だ。わたしが感じた(持て余すような)突出性は、意図されたものだろう。全体の文脈の中に置くと、それがよく分かった。
(2018.4.20.三菱一号館美術館)

(※)本展のHP(「グラン・ブーケ」などの画像が載っています。)
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