Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

御喜美江の『道の途中で』

2011年11月18日 | 音楽
 左欄のブックマークに登録しているブログはどれも個性的で、センスがあり、教えられることが多く、しかも楽しいものばかり。そのなかの一つにアコーディオン奏者、御喜美江(みき・みえ)さんの『道の途中で』がある。

 御喜さんは、いうまでもなく、世界的なアコーディオン奏者で、日本国内でも長年にわたって活発な演奏活動を続けている。またドイツのエッセンのフォルクヴァング芸術大学の教授でもある。このようなヴァイタリティあふれる御喜さんが、ご自分で写した写真とともに、日常のあれこれを、肩の力を抜いて、簡潔に綴っているのが『道の途中で』だ。

 その11月16日の記事「You Tube 追加のお知らせ」は、昨年9月に浜離宮朝日ホールで開かれたリサイタル「御喜美江アコーディオン・ワークス2010」の中から3曲がYou Tubeにアップされたお知らせだ。「お時間のあるときにでも覗いて頂けたら嬉しく思います」とのこと。

 で、さっそく覗いてみた。1曲目は高橋悠治の「雪・風・ラジオ」。舞台の左右に2人のアコーディオン奏者が向き合って座り、「雪」、「風」、「ラジオ」の短い詩をまず英語で、次に日本語で読みあげた後、それぞれの詩に触発された短い音楽が演奏される曲だ。「雪」と「風」は寂寥感がただよい、「ラジオ」になると一転して劇的になる。詩の作者はアメリカの女性詩人Diane di Primaで、原題はSHORT POEMS ON THE AFGAN WAR。これはアフガン戦争にたいする反戦詩だ。

 2曲目はcobaの「SARA」。3人のアコーディオン奏者による演奏。ポップス系の曲で、ダンスフロアがあるなら踊りたくなるような、あるいはバーボン・ウィスキーでも飲みながら拍子をとりたくなるような格好よい曲だ。cobaという作曲者は知らなかったが、世界的に活躍する日本人のアコーディオン奏者だ。

 3曲目はスティーヴ・ライヒの「6台のアコーディオン」。これは原曲の「6台のピアノSix Pianos」のアコーディオン版だ。6人のアコーディオン奏者が半円形に座って、向かって左の3人が終始一定のリズム・パターンを繰り返し、右の3人がそこに加わったり、抜け出したり、くさびを打ち込むように鋭い音型を挟んだりする。これが15分くらい続く。

 もしだれか一人でも伸縮したら、総崩れになるだろう――。よくぴたっと合うものだと感心した。しかも指揮者なしで。6人の奏者のストレスはラヴェルの「ボレロ」の小太鼓奏者の比ではない。
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