Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ゼッキンゲンのトランペット吹き

2011年01月27日 | 音楽
 「ゼッキンゲンのトランペット吹き」というオペラをみた。作曲はヴィクトル・ネッスラー(Victor Nessler 1841~1890)。2006年にバート・ゼッキンゲンの姉妹都市の山形県長井市で日本初演された。当時その記事をみて、記憶に残っていた。先日、埼玉県和光市で再演された。主催は特定非営利活動法人「オペラ彩」。

 時は17世紀、30年戦争の末期。兵隊でトランペット吹きのヴェルナーは貴族の令嬢マリアに恋をする。紆余曲折の末、2人はめでたく結ばれる。これは実話だそうだ。バート・ゼッキンゲンには「相思相愛の身分違いの愛」と刻まれた2人の墓標があり、「今もなお多くの人々が訪れている」(プログラム誌)。これをヨーゼフ・シェッフェルという詩人が叙事詩にして1854年に出版。ベストセラーになった。それをネッスラーがオペラにした。初演は1884年、ライプツィッヒ。大ヒットしたそうだ。

 上演時間は2時間20分くらい。序幕プラス3幕の構成。第2幕にはバレエも入る。要するに堂々たるオペラだ。牧歌的なコメディーで、印象としては「売られた花嫁」に通じる。もっとも「売られた花嫁」の才気煥発さは、こちらにはない。素朴さが身上のオペラだ。

 音楽的には第2幕が充実していた。幕開きのヴェルナーの愛の歌(やがてマリアとの二重唱になる)と、末尾のヴェルナーの別れの歌、ともにきき応えがあった。

 歌手はヴェルナー役が枡貴志さん、マリア役が羽山弘子さん。声も容姿もぴったりだ。マリアの父親のシェーナウ男爵役は志村文彦さん。ベテランだけあって、全体を引っ張っていった。ヴェルナーの友人のコンラディーン役の歌手は音程が甘かった。

 指揮は佐藤正浩さん。序曲から快調。オーケストラはOrchestre “Les Champs-Lyrics”。これは佐藤さんが主宰する団体だそうだ。コアとなる固定的なメンバーがいるのだろう。小気味よい演奏だった。合唱はオペラ彩合唱団。冒頭の合唱から精彩があった。トランペット独奏は東京交響楽団の大隅雅人さん。

 バート・ゼッキンゲンはシュヴァルツヴァルトの南端に位置し、ライン川に面した小さな町だ。対岸はスイス。会場には写真が展示されていた。石畳の小路が残るメルヘン的な町。こういう町でのんびり過ごす旅をしたいものだ。

 会場では長井市の方々もみえて、ミニ物産展が開かれていた。わたしも、お菓子、漬物、お餅などを買い込んだ。
(2011.1.23.和光市民文化センター サンアゼリア)
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