後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔492〕二十数年来のドイツゴシック後期の彫刻との邂逅が『結(ゆい)・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』に結実しました。

2022年07月12日 | 図書案内
  ミュンヘンのバイエルン国立博物館でティルマン・リーメンシュナイダーのマグダラのマリアに出合ったのは1999年のことでした。妻はそれ以来「リーメンシュナイダーの追いかけ人」になり本邦初の写真集・全4冊を刊行することになりました。
  5冊目の新刊『結(ゆい)・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』は単なる写真集ではありません。ドイツゴシック後期の彫刻との邂逅から二十数年間に書きためた文章を集大成したものです。
  こんな紹介文を書いてみました。



  新刊『結(ゆい)・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』
                      (福田緑・福田三津夫、丸善プラネット)
 
 ティルマン・リーメンシュナイダーは中世後期のドイツの彫刻家。精神性の高さを感じさせる静謐な彫刻群は福田緑の写真集『祈りの彫刻-リーメンシュナイダーを歩く』(全4巻)によって初めて日本に紹介された。(「祈りの彫刻 リーメンシュナイダー三部作」で日本自費出版文化賞グラフィック部門特別賞受賞)
  『結(ゆい)・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』は「祈りの彫刻」シリーズの第5巻。既刊と異なるのは、ドイツ語文献・図録に基づいたリーメンシュナイダーやファイト・シュトースと同時代の作家列伝や作品解説があること、夫婦の共著になっていることなどである。

 本邦初ともいえるドイツ中世後期の彫刻・絵画を写真とともに多数紹介している。
 絵画は彫刻家のシュトースやミヒャエル・パッハーが描いたものに限定している。まさに、彫刻と絵画の二刀流である。シュトースの絵画画像はヴェニガー博士の提供、パッハーのそれはミュンヘンのアルテピナコテークから購入した。
  彫刻と絵画の二刀流といえばもう一人、ハンス・ムルチャーを忘れてはいけない。こちらは残念ながらベルリンの絵画館からの購入はならなかった。

  この時代はゴシック後期ともドイツ・ルネサンスとも称されるが、創造的で個性豊かな彫刻群は近代への萌芽・橋渡しであるに違いない。日本でもっと紹介されたり、注目されて欲しいという願いを込めた出版であった。
  なお資料として詳細に「 作品の宝庫である美術館・博物館・教会を歩く」が付されている。訪ね歩くための人にはもってこいのガイドブックになっていると自負しているのだがどうだろう。

■2022年7月発行、5720円、220ページ


  今年の1月に原稿を預けてから半年、校正を経てようやく見本が送られてきました。
 発売は7月20日(水)です。アマゾンネットの「猫家族」でも販売予定です。少々お待ちください。

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