後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔132〕今をときめく?「瑞穂の國記念小學院」を教育実践の視点から考えてみました。

2017年02月27日 | 学校教育
  「瑞穂の國記念小學院」の用地の8億円ディスカウント問題が連日の国会やテレビや新聞などのマスコミで取り上げられています。さまざまな疑惑は深まるばかりなので、東京都での築地市場から豊洲移転問題と同様に、百条委員会のようなものを設置して、しっかり解明してほしいものです。
 ところで、このブログでは、森友学園の幼稚園の「塚本幼稚園幼児教育学園」の教育実践について触れてみます。
 ネット検索の中で、菅野完さんのブログを発見しました。菅野さんはベストセラー『日本会議の研究』(扶桑社、2016)を書いた方です。日本会議の歴史やそれを支える人たち、活動の様子などしっかり調べて書いてあります。しかし掲載された人からの異議申し立てがあり、今裁判で係争中と聞いています。
 その菅野さんが塚本幼児教育学園「思い出の宝箱」というDVDから起こしたのが次の運動会の宣誓のことばです。子どもたちの顔をぼかした映像がネットに出回っていますので、これは信用できそうです。

■塚本幼児教育学園「思い出の宝箱」

”宣誓
あついあつい夏がすぎて、ぼくたちわたしたちの待ちに待った、平成27年度 秋の大運動会がきました。
先生と、お友達と、一緒になって、おけいこをした、おゆうぎ、音楽、体育、かけっこなど、今日一日、頑張ります。
おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさんの前で、褒めていただけるよう、全力をつくします
大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている、中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。
安倍首相、ガンバレ! 安倍首相、ガンバレ!
安保法制国会通過よかったです!
僕たち、私たちも、今日一日、パワーを全開します
日本ガンバレ!えいえいおー!”


  皆さんの率直な感想を聞きたいものです。
 これは幼稚園児のことばではないでしょう。間違いなく大人が子どもに言わせているのです。偏向した政治的思想教育としか私には思えません。
 さらにこの幼稚園のHPを調べてある納得がいきました。運動会の宣誓は日常的な教育の「成果」の1つだったことがよくわかります。

■塚本幼稚園幼児教育学園(森友学園の幼稚園)
〔教育内容〕HPより抜粋
・毎朝の朝礼において、教育勅語の朗唱、国歌“君が代”を斉唱します。
・年1回の伊勢神宮参拝
・なぜ教育勅語を朗唱しているのでしょうか?
「教育勅語」は、約2700年前に神武天皇が日本国をはじめられた際、国是としたことがらを明治天皇が国民教育の方針として確認されたものです。12の徳目は人間力を高める必須のものです。さらに朗唱は暗記力の訓練なのです。


 いちいち反論する気にもならないのですが、大事な視点だけは問題提起しておきましょう。教育勅語は戦前の教育の柱です。天皇主権の国体を護持するための教育の根本だったのです。「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦??相和シ朋友相信シ…」などということだけを取り出して、現代にも通用するなどということを言うのは間違いです。教育勅語は天皇制を守るための指針なのですから。
 ちなみにこの塚本幼稚園は、現在の理事長の籠池泰典氏の義理の父親の森友寛氏が昭和28年(1953年)に設立し、園長に就任したとHPにあります。
 ネット検索して、さらに驚くべき教育実践の実態が明らかになりました。「同期の桜を歌う会」(大阪護国神社)などに園児が出演して、愛国行進曲・日の丸行進曲・日本・五箇条の御誓文・教育勅語などを歌ったり「群読」しているのです。そのいずれもが、大きな声で、単調に怒鳴るように表現しているのです。子どもたちの発達段階を無視した教育が行われているとしか思えません。

 今年4月に開校予定の「瑞穂の國記念小學院」について、HPを覗いてみて、さらに驚愕しました。私には、日本国憲法や教育基本法から逸脱した教育指針に映るのです。

■瑞穂の國記念小學院(みづほのくにきねんせうがくゐん)は、大阪府豊中市に2017年4月、開校予定の私立小学校である。
〔教育の要〕 HPより抜粋
→ 天皇国日本を再認識。皇室を尊ぶ。伊勢神宮・天照大御神外八百万神を通して日本人の原心(神ながらの心)、日本の国柄(神ながらの道)を感じる。
→ 愛国心の醸成。国家観を確立。
→教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成(全教科の要)。道徳心を育て、教養人を育成。
→「大學」素読による人間学の習得。
→大祓詞・般若心経朗唱宗教的情操の育成。
→日本人の心の中心である伊勢神宮からほど近い松阪の地ですくすく育った杉の木・檜をつかった木造伝統建築の校舎や和風装飾物・校庭木による日本人DNAの呼び覚まし。


  最後に朝日新聞の2つの記事を引用しておきます。
 日本の教育や社会はもうすでに大きな角を曲がってしまったのかも知れません。

■朝日新聞デジタル 2017年2月17日20時10分
●「安倍晋三小学校、断った」首相、国有地売却の関与否定
 大阪府豊中市内の国有地が近隣国有地の約1割の価格で学校法人「森友学園」(大阪市)に小学校用地として売却された問題で、安倍晋三首相は17日、小学校の名誉校長に妻昭恵氏がついていることを「承知している」と説明。売却に「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べ、関与を否定した。
 衆院予算委員会で民進党の福島伸享氏の質問に答えた。学校法人との関係をめぐり、首相は「私や妻が(小学校の設置)認可や国有地払い下げについて、(自身の)事務所も含めて一切関わっていないことは明確にしたい」と述べた。
 妻が名誉校長についていることについて、「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と説明。また、同学園が「安倍晋三記念小学校」の寄付者銘板に名前を刻印して顕彰する、との文言で寄付金を集めていたことを知っているかとの福島氏の問いには、「いま話をうかがって初めて知った」と答弁した。
 そのうえで「私の考え方に非常に共鳴している方から、(2007年に内閣総辞職して)首相を辞めた時に『安倍晋三小学校にしたい』という話があったがお断りした。まだ現役の政治家である以上、私の名前を冠にするのはふさわしくない。私が死んだ後であればまた別だけれど、私の郷土の先輩である、例えば吉田松陰先生の名前をつけられたらどうかという話をした」とも語った。
 「約9億円と不動産鑑定で評価されていた土地が約8億円もディスカウントされてしまったのはなぜか」との福島氏の問いに対して、財務省の佐川宣寿理財局長は「不動産鑑定士に更地の価格を鑑定してもらい、(国有地を管理していた)大阪航空局が積算した(ゴミなどの埋設物の)撤去費用を差し引いた時価で、適正な価格で売っている」と答えた。
 売却された土地には、今春に同学園が運営する小学校が開校する予定。理事長の籠池泰典氏は憲法改正を求めている日本会議大阪の役員。ホームページによると、同校は「日本初で唯一の神道の小学校」とし、教育理念に「日本人としての礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」と掲げている。(南彰)


■朝日新聞デジタル 2017年2月22日23時48分(一部)
●教育勅語を毎朝朗唱、君が代も 森友学園の幼稚園
 22日の大阪府私学審議会では、学校法人「森友学園」が運営する大阪市内の幼稚園についても取り上げられた。この幼稚園は、ホームページ(HP)によると、毎朝の朝礼で、明治天皇の名で教育理念などを規定した教育勅語の朗唱、君が代を斉唱するとしている。
 府は、幼稚園側が「よこしまな在日韓国人・支那人」などと記した文書を在園児の保護者に配っていたほか、園のHPでインターネット上に園に対する誹謗(ひぼう)中傷があったとして、「(記事の)投稿者は、巧妙に潜り込んだ韓国、中華人民共和国人等の元不良保護者」などとする文書を一時、公開していたことを報告した。
 府が事実確認をしたところ、学園の籠池泰典理事長は「誹謗中傷に対する対抗言論だ」などと回答したという。ただ、委員からは、教育基本法に規定する「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し」という教育の目的とのずれを指摘する声が出たという。
 府は保護者と幼稚園の間で訴訟になっているケースがあることにも触れたが、詳細は報告しなかった。( 石原孝、小河雅臣、太田成美)




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