中野笑理子のブログ

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朝露を見つめて

2019年08月24日 | 日記
昨日の雨に濡れた地面や木々のせいか、風も冷たく涼しい朝。
とうとう蝉の鳴き声も聞こえなくなり、夜明け前に窓を開けると秋の虫の音が聞こえてきました。
外に出たとき道路沿いの植え込みの葉っぱの上の朝露が葉っぱと一緒に風に揺れているのを見て、夢枕獏先生の小説「陰陽師シリーズ 玉兎ノ巻」の中の「月盗人」を思い出しました。

病を治すための薬として土器に一杯の夜露を集めるのですが、その夜露は満月の晩の月の光を宿した夜露でなければならず、集めた露は一滴たりとも溢してはいけないのです。
それも三月続けて。
しかし三月目の満月の夜、月の光を宿した夜露を集めようとすると、あるものの力によって月が雲に隠されてしまいます。

考えてみれば仕事や生きることもそのようなものなのかもしれないなぁ、と思いました。
月を映した小さな葉の上の、さらに小さな夜露を一粒一粒盃に集めるだけども手間なのに、途中には月が雲隠れしたり雨で月が出ない夜もある。
それをひとつずつ真剣に、慎重に集める作業のようなものが生きるということなのかもしれません。

以前、大阪てのひら怪談で800字の作品を書いた時に、「もう少し長くして違う作品として書いてみれば」というご意見をいただいたことがありました。
その時はショートで書いた作品を長編に書き直す書き方がいまいちよくわかりませんでしたが、最近ようやくその糸口が見えてきたような気がします。



書くことも二月続けて成功しては失敗し、また一から三月続けての成功を目指す最中なのかもしれません。
頑張って一粒ずつ集めて行こうと思います。