中野笑理子のブログ

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アメマ

2013年06月18日 | 日記
雨の降りしきる早朝の宿場町。
雨雲のたれこめる空から朝日の光は届かない。
「梅雨とはいえ、こうも降り続かれては何ともかないませぬな」
「左様、拙者は5日間の足止めじゃ」
「こう降られちゃ、さっぱり商売にならねぇ」
「まったくだ」
旅籠の客も、駕籠かきも、全ての者が長雨に弱り切っていたその時、ザアザアと煩く響いていた雨音が静かになり、やがて雨が止んで太陽の光が差し始めた。
「おっ、陽が差してきやしたぜ」
「嬉しいねぇ、これでやっと稼げる」
「助さん、格さん、我々も出立しましょうかな」
人々の顔も、先程とはうって変わって明るくなり、漸く町は活気づき始めた。
「今日中には、何とか峠を越えたいもんだの」
「え~かごぉ~、駕籠はいらんかぇ~」
「どいた、どいたぁ、飛脚が通るよッ」
皆それぞれが、足止めを食らった分を取り戻そうとにわかに動き出した。
と、そこへ痩せこけた体に襤褸を纏った一人の老人が杖をつきながら歩いてきた。
ブツブツと何かを唱えながら歩む老人の面相はまるでましらのようであった。
「誰がじゃあ~」
「どうしてじゃあ~」
「何がじゃあ~」
「誰がえてこじゃあ~」
老人は不意に立ち止まり、天に向かって杖を振り上げ叫んだ。
「ア~メ~マァ~!」
とたんに大雨が降りだし、宿場の人々は皆、大変に困ったそうじゃ。
どんとはれ。

梅雨の晴れ間という言葉はあるけれど、今年は雨がチョッピリで、これじゃあ、まるで梅雨の雨間だよ、と思ったら、こんなんできました。
雨よ降れーッ!の意味を込めて書きました。
さぁ皆さん御一緒に!
ア~メ~マァ~!

梅雨の雨間のBGM♪間寛平 なめくじ君♪