江別屯田兵10戸56人は、各戸に間口50間、奥行き100間、5千坪の給与地が与えられました。しかも、兵屋は、暖炉付、ガラス窓など北方寒冷地住宅ともいうべき、破格のものが用意されました。
琴似や山鼻屯田の和式木造切妻平野(旧来の平均的農家住宅)に比べ、はるかに高級、ハイカラなものでした。それもそのはず、建築費は、琴似型210円に対し、倍以上もかかりました。
江別屯田が琴似や山鼻から西洋屯田といわれたのは、住宅のせいばかりではありません。各戸に牛(短角種)と馬(日高和種)一頭ずつが給与され、更に鋤鍬(すきくわ)ではなく、一応の洋式農具を備え、畜力による開墾が始まったからに他ありません。
明治16(1883)年4月「北海道転籍移住者手続き」(太政官布達)が発布され、同時に従来の「移住農民給与更生規則」、「北海道送籍移住者渡航手続」が廃止されました。つまり、前者に後者が一本化されたわけですが、肝心な点は、一般農民に対する保護内容の明らかな低下でした。
他方、士族移民の保護は厚くなりました。
同年6月、札幌県などは、「北海道移住士族取扱規則」を布達、屯田兵制度の原型ともいうべき「厚キ保護」策に転換しました。
この方針の転換が、明治17年以降の江別、篠津、野幌への士族移住となって表れました。すなわち、17年3月、政府は、向こう六カ年間に国費から士族授産のため金88万6千125円の支出を決定しました。また、陸軍省は翌18年から同23年までに士族屯田1千61戸を募集するとし、その中心の一つを江別村に置きました。
江別村に第二次屯田75戸が入地した翌月、17年6月に現在の江別小学校所在地に第三中隊週番所(中隊本部)が置かれました。
「此の月江別村第三中隊週番所ニ番兵ヲ設ク。下士1名、卒四名ヲ以テ警備セシム、之レ其土地ノ僻遠ナルト樺太空知両集治監囚人徒脱監ノ途ニ当ルヲ以テナリ」(『屯田兵沿革』屯田兵司令部編)。第三というのは、琴似の第一、山鼻の第二に次ぐもので、この年まで入地の江別、篠津両屯田を一団の中隊組織として編成したものです。
この中隊編成は、その後の屯田兵の増加と共に幾度か変わりました。
そのうち重要なことは、明治20年5月に江別村に大隊本部が置かれ、第一中隊(江別と篠津)と第二中隊(野幌)に分かれたことです。
これは、その後の江別の街づくりに大きな影響を与え続きました。一つの中隊は一つの兵村を意味し、兵村は軍事上はもとより、地域生活全般を規制する単位となったからです。
以降、長い間一つの同じ行政村ながら、江別(兵村)と野幌(兵村)は何かと肘を張り合う隣村感覚の時代が続きました。具体的には、後に表面かする町村長選挙、町医配置、実科高等女学校の位置決定などにおける、度ごとの摩擦です。
註 :江別市総務部「新江別市史」148-150頁.
写真:十二戸屯田のアメリカ兵屋
同上書149頁写真3−10掲載写真を複写し、江別創造舎ブログおよび江別創造舎facebookに掲載いたしております。
明治9(1867)年開拓使は、琴似、山鼻に次いでエベツブトに屯田兵を配置する方針を固めました。
開拓使顧問であるウィリアム・S・クラークやエドウィン・ダンなどからさまざまな提言指導などを受けました。
例えば、クラークからは住宅の改善、ダンからはアメリカ農法の導入、などです。ダンは、明治9年10月25日、開拓使の中判官堀基に宛、耕牛馬や外国農具の使用は有益であると結論づけ、かつそれらの一覧目録を添付提出しました。
「貴下ノ命ニ随ヒ 本日22日余ハ屯田兵用ニ託セラレシ石狩河ニ於テノ陸地ヲ巡視セシニ 外国農具ハ概該地ノ都テニ有益ニ使用スルヲ得ルナリ」(『外国人像登録』)云々です。
江別屯田は、その出生時から府県型日本農法から脱皮の実験農場的色彩を帯びていました。また、その位置に関して、「津石狩は伏見に等しき土地なり」(『西蝦夷日誌』松浦武四郎)のとおり、樺太アイヌ・対雁移民との関連があったことも忘れてはなりません。
要衝なれば北門ノ鎖鑰である屯田兵は、対雁村の豊平川々口一帯に配置しなければならないと考えても不思議ではありません。事実、開拓使は対雁の当該地の確保に動きました。
しかし、その土地は、対雁移民800余名が強制的に移住させられたばかりの処です。対ロシア関係に直接響き合う樺太アイヌの移住問題を屯田兵入地で更に混乱させるわけにはいかなかったのです。結局、江別最初の屯田兵は。対雁移民の給与地に隣接した、モショッケ川右岸から石狩川上流に添うて伸びる土地に落ち着きました。
エベツブトに屯田兵10戸56人が入地したのは、明治11年8月29日でした。この時点では、居宅となる兵屋は完成していませんでした。完成したのは、10月でした。
開拓使は、10月5日、ここに村を設け、村名を江別と名付けたのです。
甲第8号府県布達
当使管下石狩国札幌郡ノ内字江別太ヘ新ニ一村ヲ設ケ江別村ト称ス
エベツブトが、江別村に決定したのは、開拓使関係部課の投票によるものでした。江別村の他、恵別村、画櫃村、戎太村、江別村、蛯津村、などの候補がありました。
屯田兵幹部は、公文課、地理課による票決の結果、満場一致で江別村に決定しました。
註 :江別市総務部「新江別市史」147-148頁.
写真:モショッケ公園
北海道に入地した屯田兵は、最終的には約7,300戸、3万9千900人余りでした。
これらは、明治8(1875)年5月の琴似屯田から同32年5月の士別屯田入地まで、札幌、江別、根室、室蘭などへと年を追って広がっていきました。
また、屯田兵制度は、年を経ると共に国内状勢や対外関係の変化に伴い、その性格も変わっていかざるをえませんでした。
制度変遷について、初期は、創設の8年から14年までの開拓使所管時代です。この時期は、屯田兵例則の緒言にみるとおり、兵の仕事は兵即農とはいうものの「専ら力を耕稼(註:開墾)」に注ぎ、二義的に有事の場合兵役につく義務があるとされました。
この時期は、明治4年の廃藩置県を端緒とする明治政府の近代化(西欧化)政策が矢継早やに断行されました。これに不満の士族らは10年の西南の役を頂点に、各所で蜂起しました。いわば、いつ政権が転覆してもおかしくない時代でもあったのです。こうした中、屯田入地は、琴似、山鼻、江別、篠津の四つに過ぎず、「甚ダ不振」(『北海道屯田兵制度』)と言わざるをえなかったのです。
第二期は、17年以降です。
15年に開拓使が廃止され、北海道3県(札幌県・函館県・根室県)一局時代に移りました。
屯田兵所管は開拓使から陸軍省にうつりました。屯田兵の増強を期待していた陸軍省は、18年2月増員五カ年計画を立てました。同年5月「屯田兵例則」が廃止され、新たに「屯田兵条例」が制定されました。
この条例制定の意味は、例則の建前の兵則農から軍事専門集団である陸軍編成に組み込まれたという、質的な転換にありました。
明治19年2月、北海道3県1局時代は終わり、北海道庁が設置されました。
そして、明治21年5月、屯田兵本部長永山武四郎が第2代北海道長官に就任しました。この時期にかけて、江別では江別、篠津、野幌へ多くの屯田兵が入地しました。
以降、23年8月の「屯田兵条例」の改正ー従来の歩兵に加え、騎兵、砲兵、工兵の新設、世襲制であった兵役期間の制定、そして、同年11月に「屯田兵召募規則」を定め、従来の原則士族を改め、族籍を問わず適格者を選ぶことになりました。
これ以降、入地の屯田である永山、美唄、当麻などを平民屯田と呼びました。
註 :江別市総務部「新江別市史」146-147頁.
写真:江別市屯田資料館<野幌屯田兵第二中隊本部>
このたび、北翔大学オープンキャンパス開催のご案内をいたします!
北翔大学オープンキャンパス❗️
2018年9月23日(日)11:00ー15:30
北翔大学短期大学部ライフデザイン学科が面白い!!
<ライフデザイン学科の特徴>
平成14年度文部科学省 地域総合科学科構想 全国で先駆的立場で適格認定!
=これは、専門コースを柱として、それ以外の専門領域を学ぶことを可能とするシステム
自身が学びたいことを核として、幅広い教養・技能を身につけることを可能とします。
自らの可能性を最大限に広げる機会を提供しています。
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北翔大学短期大学部ライフデザイン学科相談会場で
お会いしましょう
写真:北翔大学College Hall Pal
このたび、平成30年度後学期人が集えば文殊の知恵袋講座のご案内をいたします!
北海道みらい事業
道民カレッジ・江別市民カレッジ連携講座
北翔大学地域連携センター教養講座
「人が集えば文殊の知恵袋講座」は、
平成20年(2008年)5月から連続講座として開講し、本年で10年を迎えました!
前学期文殊の知恵袋講座は、残すところ1本!
9月29日(土)江別カルタで辿る江別物語2018〜紙をみる、語る〜
ゲストスピーカー 渡辺良洪 氏
北翔大学331教室
北翔大学大学祭企画として開催です!
ぜひ!ご期待ください
そして!
いよいよ後学期プログラム始動です!
人が集えば文殊の知恵袋講座10周年のプログラム
平成30年度後学期人が集えば文殊の知恵袋講座の日程は、下記のとおりです。
1.後学期プログラム
企画・運営 田口 智子<北翔大学短期大学部教授> 10月度プログラム 「江別屯田兵村開村40周年記念講演
ー江別屯田兵村開村140周年を迎えて」
日 程 : 平成30年 10月16日(火)13:10ー14:40
場 所 : 北翔大学543教室
ゲストスピーカー :
後藤 一昭 氏 <江別屯田兵村遺族会事務局 局長>
受 講 料 : 無料
申込期限 : 平成30年 10月 5日(金) 11月度プログラム 「江別の文化・歴史を語る!つなぐ!語り部の記録2018」
*人が集えば文殊の知恵袋講座10周年記念事業
*江別創造舎<北翔大学田口研究室>平成30年度事業連携企画講座
日 程 : 平成30年 11月11日(日)13:10−16:30(予定)
場 所 : 野幌公民館研修室3号・4号
*日程・会場等通常の文殊の知恵袋講座とは異なっております。
プログラム:
司 会 田口 智子<北翔大学短期大学部教授・江別創造舎代表>
コメンテーター 佐々木 孝一<元江別市情報図書館館長>
映像記録・編集 萬 範幸 <江別創造舎副代表>
講話 1 「なぜこの地で起業したか」
講師 安孫子 建雄 氏 <江別製粉株式会社 代表取締役会長>
講話 2 「ラーメンと菊水と江別小麦」
講師 杉野 邦雄 氏 <株式会社菊水 代表取締役社長>
講話 3 「町村農場の100年を語る」
講師 町村 均 氏 <株式会社町村農場 代表取締役>
受講料 500円
*当日会場受付にてお支払いください。
*本講座のみ外部会場使用料等発生のため受講料設定いたしております。
申込期限 : 平成30年 10月 5日(金) 12月度プログラム 「作曲家・万城目正と江別」
日 程 : 平成30年 12月11日(火)13:10ー14:40
場 所 : 北翔大学543教室
ゲストスピーカー :
佐々木 孝一 氏 <元江別市情報図書館館長>
受講料 : 無料
申込期限 : 平成30年 11月30日(金)
2.申込先 北翔大学地域連携センター
011ー387ー3939
011ー387ー3746
kouzacen@hokusho-u.ac.jp
申込講座名・ご氏名<ふりがな付き>・ご住所・お電話番号をご記入ください。
写真:平成30年度後学期人が集えば文殊の知恵袋講座チラシ
*前学期9月度講座も付記しております。
*皆様のお越しをお待ちいたしております。
このたび、江別カルタ㉚「ま」の句をご紹介いたします!
柾葺き<まさぶき>と
切妻屋根<きりづまやね>の
中隊本部
野幌屯田兵第二中隊本部は、屯田兵入地直前の建築と考えられ、野幌併存のほぼ中央、練兵場(第二中学校校地)に隣接した2番通りに面して建てられています。
洋風2階建、建物面積48坪(150,72平方m)、
屋根は切妻造りで柾葺、
構造はバルーンフレームと呼ばれ開拓当時の米国風建築手法がとられています。
(以下略)
*以上、江別カルタ解説書「ま」の句引用
ぜひ、江別文化・歴史を題材とした江別カルタでお楽しみください
*江別カルタメール問合せ先:江別創造舎事務所<北翔大学田口研究室>
E-mail taguchi@hokusho-u.ac.jp
註 :江別カルタ<江別創造舎制作>「ま」の句解説書引用
*江別カルタ解説書は、佐々木孝一氏<元江別市情報図書館館長>に執筆していただいています。
写真:江別カルタ「ま」の句詠み札と取り札
*江別カルタの外箱と解説書には、江別産小麦ハルユタカ加工原料紙を使用しています。
*江別カルタ第2販販売中です。
このたび、巨大地震 北海道胆振東部地震発生<2018.9.6 午前3:08頃>につき、
深くお見舞い申し上げます。
停電が復旧し、テレビをつけた時にはじめて甚大な被害をもたらされていることを知りました。
大変心が痛みます。
また、道内地域によって大差はございますが、
まだまだライフラインは整備されていない状況下にございます。
早くの復旧を願うばかりです。
皆様ご無事でいらっしゃってください。
このたび、江別創造舎!メンバー募集のご案内をいたします
江別創造舎は、
2007年1月、地域文化振興活動を目的に発足した任意団体です。
共に活動していただける方!メンバー募集中です❗️
江別創造舎は、これまで地域文化振興活動を主体として、
「個が生き、個が活かされる地域(まち)づくり」、
「地域(まち)が活き、地域(まち)が生かされる人づくり」、
を目指して、江別創造舎は、活動を推進しております。
具体的には、
江別の文化・歴史を題材とした江別カルタの制作、
江別カルタを活用した江別市生涯学習協議会および江別市社会福祉協議会等、
児童会や蒼樹大学等で毎年活用していただいております。
市民講座としては、
「市民・若者が主役!講師講座開講!」
「江別カルタで辿る江別物語」<2013/2014/2015の3年間継続事業>
「江別の文化・歴史を語る!つなぐ!江別物語」<2016/2017/2018の3年間継続事業>
次なる発展を求めて、メンバーを募集いたします💖
江別創造舎発足10年、
今後、新たな活動展開へと発展させていくことも期待されます!
ぜひ!皆様のご支援をお願いしたいと考えています。
ただいま!
江別創造舎は、共に活動していただけるメンバー募集中!です!
江別創造舎へのお問い合わせは、下記へご連絡ください❗️
江別創造舎事務局<北翔大学田口研究室>
E-mail taguchi@hokusho-u.ac.jp
@マーク全角を半角にしてください。
写真:江別カルタ図案化ポスター <江別創造舎制作>
江別創造舎結成後、北海道労働金庫様のご支援を得て作成した江別カルタ図案化ポスター
このたび、9月度人が集えば文殊の知恵袋講座開催のご案内をいたします!
北海道みらい事業
道民カレッジ連携講座
江別市民連携講座
北翔大学地域連携センター教養講座
「人が集えば文殊の知恵袋講座」開講です!
9月度ゲストスピーカーは、樺太連盟北海道事務所・北海道恵須取会事務局長 渡辺良洪氏です。
江別カルタを知り尽くした渡辺氏が選ばれた江別カルタ句「ふ」の句
富士製紙
神技伝え
1世紀
この題材から、「江別カルタで辿る江別物語2018〜紙をみる、語る〜」と題して
ご講話いただきます。
ぜひ、ご期待ください!
当日は、大学祭です!
合わせてお楽しみください
9月度人が集えば文殊の知恵袋講座の日程は、下記のとおりです。
1.日 程 2018年9月29日(土)13:10−14:40
2.場 所 北翔大学331教室(予定)
*大学祭のため毎月開催の教室とは異なっております。
3.ゲストスピーカー 渡辺 良洪 氏
<樺太連盟北海道事務所・北海道恵須取会事務局長>
4.企画・運営 田口 智子
<北翔大学短期大学部教授>
5.申し込み先 地域連携センター
011ー387−3939
kouzacen@hokusho-u.ac.jp
写真:北翔大学正門
このたび、昨日!江別市生涯学習フェスティバル2018参加ご報告をいたします!
昨日(9/2)!
江別市生涯学習推進協議会主催
フェスティバル2018にて、
昨年度に引き続き本年
江別創造舎参加させていただき、
江別カルタ大会を行いました❗️
江別カルタ大会の模様
ヨサコイ演舞
代表の私は仕事のため参加できなかったのですが、
副代表の萬氏により、江別カルタ大会を行いました。
子どもたちのみのカルタ大会、
大人たちのみのカルタ大会、
ご参加の皆様のご支援を得ながら
賑やかに江別カルタ大会が開催されました
大人向けカルタ大会では、
詠みあげ句の解説を入れながら展開し、
江別の文化・歴史を題材とした江別カルタのもう一つの楽しみを味わっていただきました
皆様、お疲れ様でした
そして、
ありがとうございました
写真:江別カルタ大会の模様<江別市生涯学習協議会フェスティバル2018>2018.9.2撮影