昭和初期の世相を記した文献によると日本ジャズ・ソングのヒット第一号は、昭和３年にニ村定一が吹き込んだ「私の青空」らしい。アメリカで前年、ジーン・オースティンのレコードがミリオンセラーを記録したのをうけて、堀内敬三が訳詞したもので、妻と子どもが待つ楽しい我が家、それは天国というマイホームの歌だ。原題は「My Blue Heaven」で、「私の青空」は直訳ではあるが足取りも軽くなる歯切れの良いメロディと、心まで明るくするタイトルが、昭和の五月晴れに響き渡ったのだろう。
「私の青空」はAABAという各８小節で成り立つ典型的なアメリカン・ポピューラー・ソングで、ビング・クロスビーをはじめ名唱は数多い。インストでは軽快なステップを踏み心を躍らせるスイング期にはほとんどのバンドがレパートリーにしており、グレン・ミラーの得意ナンバーでもあった。スイング期から活躍しているコールマン・ホーキンスやベニー・カターの名演は残されてるものの、踊るための曲というイメージが強いせいかモダン期ではあまり演奏されないが、比較的新しいところでは、６５年にソニー・スティットとズート・シムズが共演した「Inter-Action」で聴ける。古い歌曲に新しい息吹を与えた演奏は、五月の新芽を宿した花が青空に向かって咲くような輝きを持つ。
パーカー直系のインプロヴァイズに長けたスティットと、片やスタン・ケントンのフォー・ブラザーズでアンサンブルを熟知したシムズの組み合わせが妙なアルバムである。「私の青空」のテーマ部を交互に吹き分ける二人は、ソロオーダーの説明を必要としないほど明らかに違うフレージングで、同じ年代に育ったテナーマンでありながら違うスタイルは、モダン期以降の多様化を垣間見るようだ。よくありがちな同楽器のバトル物ではなく、其々自分のペースで吹くソロは互いの持ち味を尊重したもので、アルバムのタイトル通り相互作用を生み出している。違うフィールドを歩み、別の青空を見ながらも、根本にある発想は同じであり、垣根を越えてそのジャズ概念を共有しているにちがいない。
昭和３年、西暦１９２８年に生まれた人は今年、傘寿を迎えられる。傘の略字が八十と読めるところから８０歳のお祝いの名が付いたそうだ。８０年の長き人生には幾多も傘を差す日があり、澄み切った青空を見る日もあっただろう。今見ることのできる青空を大切にしたいものだ。
「私の青空」はAABAという各８小節で成り立つ典型的なアメリカン・ポピューラー・ソングで、ビング・クロスビーをはじめ名唱は数多い。インストでは軽快なステップを踏み心を躍らせるスイング期にはほとんどのバンドがレパートリーにしており、グレン・ミラーの得意ナンバーでもあった。スイング期から活躍しているコールマン・ホーキンスやベニー・カターの名演は残されてるものの、踊るための曲というイメージが強いせいかモダン期ではあまり演奏されないが、比較的新しいところでは、６５年にソニー・スティットとズート・シムズが共演した「Inter-Action」で聴ける。古い歌曲に新しい息吹を与えた演奏は、五月の新芽を宿した花が青空に向かって咲くような輝きを持つ。
パーカー直系のインプロヴァイズに長けたスティットと、片やスタン・ケントンのフォー・ブラザーズでアンサンブルを熟知したシムズの組み合わせが妙なアルバムである。「私の青空」のテーマ部を交互に吹き分ける二人は、ソロオーダーの説明を必要としないほど明らかに違うフレージングで、同じ年代に育ったテナーマンでありながら違うスタイルは、モダン期以降の多様化を垣間見るようだ。よくありがちな同楽器のバトル物ではなく、其々自分のペースで吹くソロは互いの持ち味を尊重したもので、アルバムのタイトル通り相互作用を生み出している。違うフィールドを歩み、別の青空を見ながらも、根本にある発想は同じであり、垣根を越えてそのジャズ概念を共有しているにちがいない。
昭和３年、西暦１９２８年に生まれた人は今年、傘寿を迎えられる。傘の略字が八十と読めるところから８０歳のお祝いの名が付いたそうだ。８０年の長き人生には幾多も傘を差す日があり、澄み切った青空を見る日もあっただろう。今見ることのできる青空を大切にしたいものだ。
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数日前には季節はずれの雪が降り、青空が見えない肌寒い当地ですが、明日からは晴れるようです。この季節に相応しい「マイ・ブルー・ヘブン」のお好みをインスト中心にお寄せください。
管理人 My Blue Heaven Best 3
Sonny Stitt ＆ Zoot Sims / Inter-Action (Cadet)
Coleman Hawkins / Planet Jazz (RCA)
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
ガーランドのオリジナル盤には収録されておりませんが、ＣＤ化に際して同日録音の「My Blue Heaven」が追加収録されております。この１曲のためにＣＤ買いました。（笑）
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
duke様、皆様、こんばんは。
マイ・ブルー・ヘブン、懐かしい曲です。
子供の頃、親によく聴かされたことを思い出しました。
お気に入りは
「ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ」レッド・ガーランド
この名演が何故LPに収録されなかったのか、不思議です。
「ジョー・ジョーンズ・トリオ」（エベレスト）
ジョーンズのブラッシュワークがイカシテテ好きです。レイ・ブライアントも良い味を出している。
「エノケン」
冗談です。（笑）
今日店で、ガーランドのマイ・ブルー・ヘブンをかけたところ、団塊の世代のお客様とエノケンの話題で盛り上がりました。（笑）
私もエノケンで聴いたのが最初です。その後聴いたのはファッツ・ドミノでした。これが素晴らしく、ヴォーカルならトップに挙げたいですね。
ガーランドのこのアルバムに収録されなかったのは、おっしゃるように不思議です。かといって外す曲もなく、この日は絶好調だったのでしょう。この録音を最後に故郷に帰りましたので、マイ・ブルー・ヘブンは万感の思いでしょう。
ジョー・ジョーンズ・トリオがありましたね。ブライアント兄弟の熱演が光ります。
今はお笑いブームとかで、テレビでよく観ますがエノケンを超えるような芸人はいないですね。
「ああ、この曲か」と頷く、超有名曲なんですが、
意外に手持ちが少ないです。
検索かけると、グレン・ミラーとファッツ・ドミノ
あたりがズラズラと出てきますが、モダン期には
演奏される機会が少なくなったのでしょうか。
手持ちでは、スティット＆ズートのCadet 盤、
ガーランドのグレイ・スカイ、パパ・ジョーの
エヴェレスト盤の他には、
○「Easy to Love/ Erroll Garner」
○「Swingin With Humes/ Helen Humes」
○「Songs From The Classic TV Series/
Rosemary Clooney」
ロージーのは僅か１分４４秒という短いトラックでして、
もう少したっぷり聴かせてほしかったですね。
＞エノケンだ！！！
コニシキも吹込んでるようですよ（笑）。
ロリンズあたりが好みそうなユーモラスな曲ですけど、
やってないんですかね？
超有名曲なのですが、記事にもありますように、モダン期では取り上げるプレイヤーがいないようです。多分に明るい曲調がモダンジャズには向いていないのでしょう。おっしゃるようにロリンズあたりが好みそうな曲ですが、カリブの血が流れているロリンズの明るさと、この曲の明るさは違うのでしょうね。
ガーナーが挙がりましたか。これもいい演奏でして、音が多いのにまだ足りないとみえて唸ってますね。
ロージーのは持っておりませんが、タイトル通りテレビ出演のピックアップでしょうか。短いのは残念です。
Helen Humes のスイング感はベイシーに鍛えられたのでしょう、ノリのよさは抜群です。
コニシキのは知りませんでした。ハワイアンでしょうね。これをバックにフラダンスもいいかもしれません。私が通っているスポーツジムでは、フラダンス教室もあり、時々見学に行きます。あっ、正確に言うと覗きにでしょうか。（笑）
ロリンズというより、むしろ
アイク・ケベックあたりのイメージかも。
１、コールマン・ホーキンス「プラネットジャズ」（ＲＣＡ）
２、ステット＆ズート
３、ベニー・グリーン ウイズ アート・ファーマー（Ｐｒｅｓｔｉｇｅ）
番外、シナトラ、ピザレリ、
レッド・ガーランドはＬＰなので持っていない・・・これだけの為にＣＤを買うか？？？考慮中。
この曲は結構展開がおきまりになりそうで、結構いろいろ料理ができるので面白い。
因みに結婚式でこの曲をというリクエストが多いのです。
しかし、マイ・ブルー・ヘブンが最近見えない東京です・・・・、北京などはマイ・グレイ・ヘブンと言い換えているのでしょうか・・・。（笑）
私が挙げた２枚に続き、ベニー・グリーンがきましたか。黄色い中国のような空のジャケですが、ファーマーとの絡みが絶妙なアルバムです。ピアニストのベニー・グリーンも底抜けに明るいのでこの曲もあうかもしれませんね。
１曲のためにレッド・ガーランドを買うか否かは悩みどこです。私はこのアルバム自体好きですし、ガーランドも好きですので迷わず買いました。プレリュードの完全版は、価格で少し迷いました。（笑）
東京に空が無いといったのは智恵子でしたが、やはりマイ・ブルー・ヘブンが見えませんか。北海道から初めて東京に行ったときには空の色が違うのに驚いたものです。
あげられている、スティット＝シムズ盤を昔から愛好しています。インストではそんなにありませんが、
①Sonny Stitt ＆ Zoot Sims / Inter-Action （Cadet）
②Jo Jones / Jo Jones Trio （Everest）
③Benny Carter / Swingin' The '20S （Contemporary）
という、いわばおなじみのアルバムになりました。
ヴォーカルは、相当数ありますが、やや新しいところで1990年録音のCarol Sloane / The Real Thing （Contemporary）などはいかがでしょうか。