デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ジョー・パスは敬老パスを持っているか

2023-11-26 08:30:40 | Weblog
 ここ札幌市では70歳以上の市民を対象に市営地下鉄やバスで利用できる敬老パスを発行している。年間、最大1万7千円の自己負担で7万円分の優遇が受けられる仕組みだ。ジャズを聴きに頻繁に出かける小生にはとてもありがたい。それを市の負担増からいきなり2万円に引き下げるという。高齢化に伴い事業費が増加したことはわからぬでもないが、大方の利用者はこの発表に怒っているだろう。

 怒りを抑えるには静かで上質な演奏は勿論のこと笑顔のジャケットがいい。ジョー・パスの「Virtuoso 2」を見るだけでこちらも笑みがこぼれる。今回もいい演奏が出来たと満足そうだ。風貌からは敬老パスを持って市電に乗っても違和感がないが、1976年録音時、47歳である。同じギタリストのジム・ホールが62年に2歳年上のアート・ファーマーとグループを組んでハーフノートに出演した時、ファーマーはホールに敬語を使ったという。「頭見て 敬語使うな 年下だ」(毛髪川柳より)と思ったに違いないが、頭髪だけで年齢を判断してはいけない。因みにホールはこの時32歳であった。

 「Virtuoso」シリーズはどれを取り出してもギター一本でここまで表現できるのかと驚嘆する。「2」のオープニングはコルトレーンの「Giant Steps」だ。難曲を軽々弾くのだが、これ見よがしではない。「Misty」は作者のガーナーが見たであろう景色を思わせる。「Joy Spring」は音色の美しさが際立つ。ブラウニーの歌心を更にふくらました印象だ。そしてラストはギタリストなら必ず取り上げる「Limehouse Blues」で、ジャンゴ・ラインハルトへの敬愛が込められている。オーケストラかと思わせるほど音が膨らみ、絃が弾けてスケールの大きなブルースに仕上がっている。

 2018年の拙稿「札幌ドームが廃墟になる日」で、日本ハムファイターズが出たあとたちまち赤字になり、その付けは札幌市民に回ってくると記したが早速だ。それも高齢者にである。「多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者を敬愛するとともに、外出を支援し、明るく豊かな老後の生活の充実を図るため、高齢者に対し、敬老優待乗車証を交付する」という『札幌市敬老優待乗車証交付規則』はどうした。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする