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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ケニー・ドーハムの節操、レゾナンス・レコードの冒涜

2025-06-22 08:34:42 | Weblog
 レゾナンス・レコードは発掘音源のレーベルとして知られている。ポリー・ギボンズやタワンダの新録もあるが、ほとんどは未発表ライヴをレコード化したもので、特に完璧なコレクションを目指している方が多いエヴァンスやウェス、ドルフィー、コルトレーンは人気のようだ。CDも出ているが、コレクター心理をくすぐる数量限定の180g重量盤は発売即完売でオークションでは高値が付くという。

 1970年代に出回った「Alto」や「Session」、「Ozone」、「Unique Jazz」等の海賊盤は隠し録りされたもので劣悪な音だったが、「Resonance Records」は発売予定かラジオ放送用に録音された音源なので音質は優れている。疑問はミュージシャンが演奏に満足できないか、共演したプレイヤーの契約の関係か、あるいは何らかの理由で当時発売を見送ったものだ。商品化する以上、完璧とは言わずともある程度の水準に満たないと関係者は納得しないだろう。更に遺族の承諾を得たオフィシャルとはいえ当人が死後の発売だ。契約上、何ら問題はないと言われると反論できないのだが・・・

 5月にリリースされたクラブ「ブルー・モロッコ」録音のケニー・ドーハムには驚き呆れた。ご丁寧に「タイトルにもなっている『ブルー・ボッサ』が聴けるのが最大の魅力だ」とある。冗談じゃない。この曲は後輩のジョー・ヘンダーソンの初レーダー作「Page One」のためにドーハムが贈った曲で、ドーハム自身ライヴでリクエストがあり演奏しても、それをレコード化したことはないし、勿論スタジオ録音もない。それはジョーヘンの名刺代わりの曲を護るドーハムの節操であり、親分肌の侠気であり、モダンジャズ・シーンを駆け抜けた男の流儀なのだ。

 断っておくが掲載した写真は転用したもので、このレコードは持っていないし、買う予定もない。ジャズ喫茶でかかろうものなら席を立つ。ドーハムはカフェ・ボヘミア、エヴァンスはヴィレッジ・ヴァンガード、ウェスはバークレーのツボ、ドルフィーはファイヴ・スポット、コルトレーンはニューポートで十分だ。この先も聴き継がれる実況録音名盤はざらにない。

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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管理人敬白 (duke)
2025-06-22 08:39:37
いつもご覧いただきありがとうございます。

ケニー・ドーハムの「ブルー・ボッサ」を聴かれた方はご感想をお寄せください。
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