デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ブログ一時休止、不定期更新のお知らせ

2018-04-15 09:51:04 | Weblog
 毎週ご覧いただきありがとうございます。長きにわたって毎週日曜日に更新してきましたが、諸事情により一時休止致します。今後もペースを落として更新を続ける予定ですが、不定期になります。時折ご覧いただければ幸いです。
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You'll Never Know をロージーで聴いてみよう

2018-04-08 09:37:40 | Weblog


 予告編とレヴューでパスしようと思っていた「シェイプ・オブ・ウォーター」だが、アカデミー作品賞を受賞したというので話の種に観た。米ソ冷戦下のアメリカが舞台で、孤独な女性と不思議な生き物の愛を描いた物語である。「水の形」という原題は意味深長だ。映画関係者が諸手を挙げて褒めちぎっている作品に水を差すようだが、どうにも釈然としない。ノミネートされた作品を全部観てはいないが面白さでいうならこれを超えるものがあった。

 きわどいシーンもあり大人の御伽噺としての楽しみ方もあるが、SFやファンタジーが苦手な小生はどうしても否定的になる。好みは別にして、水も漏らさぬ機密機関の警備を掻い潜るシーンは娯楽性満点だし、芸術的観点からみるなら色使いは見事だ。ティール色と呼ばれる緑がかった青色が全体を包んでいて、主人公の心理が色に映される。また、60年代のアメ車が好きな方なら思わず身を乗り出すシーンがある。ティール色のキャデラックが出てくるのだ。それも新車である。アメ車でなければ似合わない色が一段と輝く。この時代の車を新車と変わらぬ状態で保存しているカーマニアに脱帽だ。

 バックに流れる音楽もシーンに溶け込む。数々の名作を手掛けているフランスの作曲家、アレクサンドル・デスプラが担当しているのだが、サウンドトラック盤を聴くだけで幾つもの物語が生まれるほど深い。挿入歌はマック・ゴードンとハリー・ウォーレンの名作「You'll Never Know」を使っていて、メロディーといい歌詞といいピタリとはまる。映画ではルネ・フレミングが歌っていたが、曲名を聞いてローズマリー・クルーニーの名唱を思い浮かべたヴォーカルファンも多いだろう。ハリー・ジェイムスがヴァースを語るように吹き、ロージーがコーラスを楽器のように歌いだす。心地よさがトランペットのベルから抜け出たように広がる。

 2017年のアカデミー作品賞は、最有力とみられていた「ラ・ラ・ランド」を覆して、黒人が主演した「ムーンライト」だった。前年、男優賞女優賞ともノミネートされたのは全て白人だったため「白すぎるオスカー」と揶揄されたことが遠因とも言われている。アカデミー賞は社会状況や政治に大きな影響を受け、芸術性や作品の完成度の高さだけでは選ばれないときく。水面下で何かが動いたのかも知れない。
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札幌ドームが廃墟になる日

2018-04-01 09:29:42 | Weblog
 先月26日に日本ハム・ファイターズが新球場を核としたボールパークを北海道北広島市に建設することを発表した。球団が本拠地にしている札幌ドームから移転する構想を打ち出したのは、2016年春のこと。ドーム側に球場を継続的に使えるフランチャイズ契約を申し込んだものも、それを拒否されたのが発端だ。球団の要望を受け入れず、一方的に使用料を値上げする札幌市と札幌ドームの姿勢に業を煮やしたのだろう。

 移転構想が発表されたとき、札幌市長の弁は驚きを通り越して呆れた。「価格交渉からは入らない」と。球団はドームを使い続けるはずだ、という過信からくる発言だ。出ていくならお好きにどうぞ、と言わんばかりだ。これでは球団が怒るのも無理はない。市長、市の担当者、ドーム関係者の交渉力と先見性、危機感の欠如を露呈した形である。新球場の候補地として数箇所が挙がり、最終的に札幌市真駒内と北広島市に絞られたとき、北広島市に決まるだろうと思ったのは小生だけではあるまい。これだけ札幌市にコケにされた以上、札幌に留まり税金を落とすわけがない。

 新球場は屋根に透明の素材を使うドーム形で、天然芝を敷くという。イメージするならGJTのこのジャケットだろうか。ハンク・ジョーンズにリチャード・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズという組み合わせでスタンダード集となれば顔見世興行にみえる。実際、ジャズ観もスタイルも揺るぎない3人だけに目新しいものはない。だが、何故か引き込まれる。三者それぞれの個性が溶け合い、トリオという美しくて大きい結晶体になる。それが魅力だ。球団と北広島市、そしてファイターズ・ファンの三者が一体になればアジア一のボールパークも夢ではない。2023年の開業が楽しみだ。

  日本ハムが出るとたちまち札幌ドームは赤字になる。この期に及んで、「新球場に移ったあとも数試合はドームで開催してほしい」と寝言をいうドーム関係者もいれば、「ヤクルト・スワローズを準フランチャイズに」、「巨人戦を開催したら」の戯言も聞える。プロ野球に地域保護権があるのをご存知ないらしい。無知と無能のドーム経営陣では潰れるのは目に見えている。付けが回ってくるのは札幌市民である。冗談じゃない!
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