
中古レコード店に入ってまずチェックするのは新入荷コーナーだ。ジャンル別ではなくまとめて置いてあるのでジャズとは限らないが、クラシックやポップス、歌謡曲にもたまに掘り出し物がある。サクサクと箱を漁るうち「タブー」で有名なアーサー・ライマンのLP盤が数枚あった。レス・バクスターとマーティン・デニーも前後するように並んでいたので、エキゾチカのコレクターが手放したのだろう。
ライマンのは「HiFi Records」で、センターラベルのデザインを見て思い出した。ハロルド・ランドの「The Fox」や、フランク・バトラー、ジミー・ボンドと組んだ「Elmo Hope Trio」、ポール・ホーンの「Something Blue」がある「HiFi Jazz」と同じレコード会社である。箱にはなかったが、「HiFi Records」の方でよく知られているのは「Jazz Erotica」だ。チープなヌードジャケットなので正統派ジャズファンは一歩引く一方、この類のジャケット・コレクターには重宝されるというモンド的なレコードである。本来「HiFi Jazz」で出すべきものを「HiFi Records」でリリースしたのは、その狙いがあったのかも知れない。
セッション・リーダーはリッチー・カミューカで、コンテ・カンドリ、フランク・ロソリーノ、ヴィンス・ガラルディ、スタン・リーヴィといった名手に加えて編曲はビル・ホルマンだ。ホルマンといえばテナー奏者よりもチャーリー・バーネットやスタン・ケントン楽団でアレンジャーとして手腕を発揮した人だが、ここでも工夫を凝らしたサウンドが楽しめる。どの曲も4分前後だが起承転結は勿論のこと短編映画を観ているような色彩感があるのだ。秋風が吹き始めるこの時期に聴くならジュール・スタインの「The Things We Did Last Summer」がいい。サミー・カーンの何気ない詞の情景がアンサンブルの合い間に浮かぶ。
このタイトルとジャケットではさすがに売れなかったようで、後にジャズファンに的を絞って「West Coast Jazz In Hifi」に変え、海辺に楽器を刺したジャケットで再発したもののこちらも振るわなかったようだ。内容がいいだけにジャケットで聴く機会が失われるのは残念だ。発売当時はジャズファンから顰蹙を買ったヌードも今となってはそこはかとない哀愁を感じる。昨今跋扈する品のないエロジャケットのせいだろうか。
ライマンのは「HiFi Records」で、センターラベルのデザインを見て思い出した。ハロルド・ランドの「The Fox」や、フランク・バトラー、ジミー・ボンドと組んだ「Elmo Hope Trio」、ポール・ホーンの「Something Blue」がある「HiFi Jazz」と同じレコード会社である。箱にはなかったが、「HiFi Records」の方でよく知られているのは「Jazz Erotica」だ。チープなヌードジャケットなので正統派ジャズファンは一歩引く一方、この類のジャケット・コレクターには重宝されるというモンド的なレコードである。本来「HiFi Jazz」で出すべきものを「HiFi Records」でリリースしたのは、その狙いがあったのかも知れない。
セッション・リーダーはリッチー・カミューカで、コンテ・カンドリ、フランク・ロソリーノ、ヴィンス・ガラルディ、スタン・リーヴィといった名手に加えて編曲はビル・ホルマンだ。ホルマンといえばテナー奏者よりもチャーリー・バーネットやスタン・ケントン楽団でアレンジャーとして手腕を発揮した人だが、ここでも工夫を凝らしたサウンドが楽しめる。どの曲も4分前後だが起承転結は勿論のこと短編映画を観ているような色彩感があるのだ。秋風が吹き始めるこの時期に聴くならジュール・スタインの「The Things We Did Last Summer」がいい。サミー・カーンの何気ない詞の情景がアンサンブルの合い間に浮かぶ。
このタイトルとジャケットではさすがに売れなかったようで、後にジャズファンに的を絞って「West Coast Jazz In Hifi」に変え、海辺に楽器を刺したジャケットで再発したもののこちらも振るわなかったようだ。内容がいいだけにジャケットで聴く機会が失われるのは残念だ。発売当時はジャズファンから顰蹙を買ったヌードも今となってはそこはかとない哀愁を感じる。昨今跋扈する品のないエロジャケットのせいだろうか。
「過ぎし夏の想い出」とか「思い出の夏」と邦題が付いている「The Things We Did Last Summer」は、1946年にサミー・カーンとジュール・スタインのコンビがミュージカルとは関係なく単発で書いた曲です。発表当時からビング・クロスビーやジョー・スタッフォードが録音しておりますが、インストでも人気のある曲です。今週はこの曲のお気に入りをインストでお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 The Things We Did Last Summer Best 3
Frank Rosolino / I Play Trombone (Bethlehem)
Freddie Redd - Hamp Hawes / Piano East Piano West (Prestige)
Ted Curson / Plenty Of Horn (Old Town)
他にもトロンボーンのベニー・グリーンをはじめフレディ・ハバード、スチュ・ウィリアムソン、ハービー・マン等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Toots Thielemans - Things we did last summer;
https://www.youtube.com/watch?v=5Xyx3KAAm00
ハーモニカの音色がいっそう郷愁を誘います
季節がはっきりしない天候が続きますが、この歌は季節がはっきりしていてわかりやすいです。サミー・カーンによる詞が夏の想い出を語り、ジュール・スタインのメロディは回想に相応しく感傷的です。好きな曲なので、演奏も「過ぎし夏の想い出」を思い起こすような雰囲気のものを。
Grant Green / The Complete Quartets With Sonny Clark (Blue Note)
Sahib Shihab / The Jazz We Heard Last Summer (Savoy)
Bill Charlap (New York Trio) / The Things We Did Last Summer (Venus)
グリーンのものは使用しているアンプの関係か、音色が明るめですが、淡々と感傷的なメロディを弾き、ソロでは結構ジャジーで、これが未発表だとは信じられません。クラークもいるしで、トップで。シハブのサヴォイ盤(ハービー・マンとのカップリング)は、ジェンキンスがしみじみとメロディを吹き、ハンク・ジョーンズの品のよいソロなど各人のソロもよくて、名演に挙げてもいいかなと思います。新しめのところで、ビル・チャーラップを。音数を多くしなくても訴えかえる演奏ができると思わせれくれます。ジャケットはどうもですが(苦笑)。
挙がっていないもので他にも、ディック・ジョンソン、ジョージ・オールド、チャールス・ロイド、岡安芳明などが手元にあって、一定の人気がある曲のようです。
先ほどドームから帰りました。昼間は涼しくて過ごしやすいのですが、夜は北海道らしい気温になってきました。夏の面影もありませんが、この曲を聴くとふと思い出します。
トップにグラント・グリーンがきましたか。キンキン響きますので音色は録音のせいでしょう。当時はソニー・クラークが麻薬代欲しさにブルーノートの事務所に通い詰めでしたので、メンバーがある程度揃うと録音していたようです。発売予定がなくても録音の機会を与え、ギャラを払ったアルフレッド・ライオンの器の大きさがわかります。
サヴォイ盤はサシブ・シハブでしたね。この曲はハービー・マンだと思い込んでおりました。ジョン・ジェンキンスにクリフ・ジョーダン、ハンク・ジョーンズと渋いところを揃えております。曲名にかけたアルバムタイトルが洒落ております。
ビル・チャーラップがありましたね。いいピアノですが、ジャケットと選曲で損しています。
エマーシーのディック・ジョンソンに若くてもジョージ・オールド、スーパー・サイケデリック・ジャズサウンド以前のチャールス・ロイド、しっとりとするギターの岡安芳明、それぞれの夏、それぞれの個性が出た内容です。
いつも楽しく読ませて頂いてます。季節ピッタリの「過ぎし夏の想い出」、しかし個人的には今年も色っぽい思い出は皆無の、ただただ暑いだけの夏2017でした。
私のお題曲の手持ちはazuminoさんが先に挙げられた
Grant Green / The Complete Quartets With Sonny Clark (Blue Note)
だけでした。このCD2枚組のセッションはどれも録音当時未発表で後年日の目を見たそうですが、内容はファンク期以前のグラント・グリーンの作品群でも最上位のものでは、と思ってます。果たして何度の過ぎし夏をお蔵入りのままほったらかされていたのでしょう。魅力的なメロディのこの曲、色んなバージョンを聴いてみたいものですが、Youtubeとかネット上の音源で聴いてもイマイチ気持ちが湧かないんですよね。ちゃんとCDかLPで聴かないと…
ススキノに毎週のように出ておりますが裏通りには行きませんので、私も色っぽい思い出はありません。ジャズと野球とビールで夏が過ぎ去りました。
グラント・グリーンのこの音源がお蔵になっていたのは、azumino さんへのレスで書きましたが、カタログ数を増やすため次から次へと録音した経緯があります。一度に出すわけにもいかず小出ししているうち埋もれたのでしょう。ブルーノートにはそんな音源が多数あります。それにしても未発表でもレベルの高さに驚かされます。
Youtube で手軽に聴ける時代ですが、やはりジャズはレコードで聴きたいものです。CDでしか発売されていない80年代中以降のものは仕方がありませんが、それ以前の音源はレコードがベストです。
ご無沙汰でした・・・今年の夏も夏山シーズン故山歩きをを楽しんでおりました。そしてもう一つのご無沙汰理由はこの所のお題のハードルが高かったこと!
さてさてお題曲「The Things We Did Last Summer」・・・とても良い曲ですねぇ!でも手持ちは2枚きりのCD。
①Buddy Defranco/Jazz Tones(Verve)
*K・ドリュー、A・ブレイキー、M・ヒントンと役者も揃って、B・デフランコのプレイ、アルバムタイトルをお題曲にして良い程の良い出来!
②Richie Kamuca・Bill Holman / West Coast Jazz in Hi Fi(Fatasy)
*dukeさんご指摘のCD盤です。結構好きなアルバムで時々トレイに乗る盤なのです!お題曲イメージの夏の砂浜に楽器が挿してあるジャケットとなってます・・一寸チープなジャケットではと思います?dukeさんご紹介LPジャケットが良い!好色オヤジ発揮。
8月に北アルプスに5日篭ってました・・選んだつもりのお天気は、雨が2日、晴れが2日、曇りは1日。今年の夏のお天気は困ったものです!
久しぶりのコメント嬉しく思います。いつもは土曜日に〆るのですが、昨日は午前中から忙しく、午後はドーム、夜は DAY BY DAY とパソコンを開ける暇がありませんでした。芝刈りオヤジさんからのコメントをお待ちしていたかのようです。
バディ・デフランコがありましたね。ケニー・ドリューにアート・ブレイキー、横を見るとヒントン、今思えば凄いメンバーです。アルバムタイトルの「Jazz Tones」に納得です。
そして、リッチー・カミューカ。演奏内容は申し分ありませんが、オリジナルも再発もジャケットが残念です。硬派のジャズ喫茶ではウエストコーストはあまりかからないうえ、このヌードですからねぇ。このレコードを知った方は私同様、ジャズ誌のエロジャケット特集記事でしょう。
山歩きとは素敵なご趣味ですね。私はどうにも山も海も苦手でして、もっぱら街歩きです。あまり健康的とは言えませんが、これはこれで楽しいものです。
The Things We Did Last Summer Best 3
Grant Green / The Complete Quartets With Sonny Clark (Blue Note)
Frank Rosolino / I Play Trombone (Bethlehem)
Buddy Defranco / Jazz Tones (Verve)
集計が遅れましたが、グラント・グリーンをはじめフランク・ロソリーノ、バディ・デフランコ、サシブ・シハブ、フレディ・レッド、テッド・カーソン、ビル・チャーラップ、リッチー・カミューカが挙がりました。個性際立つ名演ばかりです。今宵は過ぎし夏をお気に入りの演奏で思い出してはいかがでしょう。