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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ロイ・エアーズが気鋭のジャズ・ヴァイブ奏者として注目された時代

2025-04-13 08:52:09 | Weblog
 1969年に大ヒットしたハービー・マンの「メンフィス・アンダーグラウンド」は正統派ジャズ・ファンに不評だったが、今思うとメンバーが凄い。ドン・チェリーの「Eternal Rhythm」に参加した直後のソニー・シャーロックに、ジャズとロックを融合させたバンド「フリー・スピリッツ」のラリー・コリエル、1曲だけとはいえWR結成前のミロスラフ・ヴィトウス・・・

 そして3月4日に亡くなったロイ・エアーズも参加しているのだ。8ビートに乗せたキャッチーなメロディからマンの歯切れのいいソロと、弦が切れるかと思うほどの騒音に近いシャーロックに続いて実にクールな響きとモダンジャズの枠を超えた斬新なフレーズのロイが出てくる。前後するが67年の「Virgo Vibes」は、ジャケットこそ今では死語になったサイケデリック調で、さすが時代を感じさせるが、2枚目のリーダー作ながらチャールズ・トリヴァーにジョー・ヘンダーソン、レジー・ワークマンという当時のシーンを引っ張るメンバーにひけを取らないソロに驚く。

 60年代後半といえばカントリーやクラシックに寄った「Duster」をリリースし、カーラ・ブレイと組んだ「A Genuine Tong Funeral」で現代音楽の要素を取り入れたゲイリー・バートンがいた。そしてブルーノートの新主流派名盤「Happenings」を発表し、「Total Eclipse」でハロルド・ランドと奔放なソロを展開したボビー・ハッチャーソンがいる。70年代初頭に結成した自身のバンド「ロイ・エアーズ・ユビキティ」から大きくスタイルが変わるまでの短い期間ではあったが、ミルト・ジャクソン以降、ジャズ・ヴァイブ界を牽引するこの2人に肩を並べる勢いがあったのがロイだ。

 マイルスが「Bitches Brew」を録音した69年以降、電化によりジャズの流れが大きく変わる。右に倣えのフュージョン派もいれば、頑なにスタイルを守るのもいた。独自の音楽性を完成させるのは容易なことではない。ユビキティ以降ジャズ・ファンが離れるもネオ・ソウルのゴッドファーザーと呼ばれ、クラブ・ミュージック・ファンに愛されたロイ・エアーズ。享年84歳。合掌。 
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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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管理人敬白 (duke)
2025-04-13 08:58:44
いつもご覧いただきありがとうございます。

ロイ・エアーズは何度か来日しています。ライブを聴かれた方はご感想をお寄せください。
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