1年前にミシェル・サルダビーを追悼した時にヨーロッパを代表するピアニストとしてベンクト・ハルベルクにマーシャル・ソラール、アンリ・ルノーを挙げた。1970年前後のジャズ喫茶全盛時代はアメリカのレコードが中心で、欧州盤は滅多にかからないので名盤も知られていないし知名度も低い。その一人マーシャル・ソラールが昨年12月12日に亡くなった。
74年発行のSJ誌増刊「幻の名盤読本」に1枚紹介されている。ヴォーグ・レーベルの10インチ盤をカップリングした国内盤で、最初のリーダー・セッションとサラ・ヴォーンの伴奏者として渡仏していたジョー・ベンジャミンとロイ・ヘインズがバックの4曲も収録している。仏オリジナル盤は市場に出ないので貴重なアルバムだ。発売した東宝レコードに拍手を送りたいが、プレス枚数が少ないうえ売れなかったようで直ぐに廃盤になり一度も見ないままだ。その後CDで聴いたが、3分ほどの演奏に起承転結が凝縮された見事な内容に驚いた。
日本でにわかに注目されたのはアメリカにデビューしてからだ。タイトルは「アット・ニューポート '63」だが、バックは同行したガイ・ペデルセンとダニエル・ユメールではなく、テディ・コティックとポール・モチアンがサポートしたスタジオ録音である。おそらくステージが素晴らしかったので、滅多にないチャンスとばかりアメリカ勢と組ませたのかも知れない。「Stella by Starlight」のアドリブの構築や「'Round Midnight」のメロディー・ラインの間は本場のピアニストには出せない独特の味わいがある。そして何より抜群のテクニックに圧倒される。
アメリカのピアニストがスウィング期はテディ・ウィルソン、バップ期はパウエルに右倣いだったが、その影響が少ないだけにフランスで独自のスタイルを磨いたのだろう。生涯50作以上の意欲的なアルバムを作り、ゴダールの「勝手にしやがれ」をはじめ多くの映画音楽も手がけたフランスを代表するジャズ・ピアニスト。享年97歳。合掌。
74年発行のSJ誌増刊「幻の名盤読本」に1枚紹介されている。ヴォーグ・レーベルの10インチ盤をカップリングした国内盤で、最初のリーダー・セッションとサラ・ヴォーンの伴奏者として渡仏していたジョー・ベンジャミンとロイ・ヘインズがバックの4曲も収録している。仏オリジナル盤は市場に出ないので貴重なアルバムだ。発売した東宝レコードに拍手を送りたいが、プレス枚数が少ないうえ売れなかったようで直ぐに廃盤になり一度も見ないままだ。その後CDで聴いたが、3分ほどの演奏に起承転結が凝縮された見事な内容に驚いた。
日本でにわかに注目されたのはアメリカにデビューしてからだ。タイトルは「アット・ニューポート '63」だが、バックは同行したガイ・ペデルセンとダニエル・ユメールではなく、テディ・コティックとポール・モチアンがサポートしたスタジオ録音である。おそらくステージが素晴らしかったので、滅多にないチャンスとばかりアメリカ勢と組ませたのかも知れない。「Stella by Starlight」のアドリブの構築や「'Round Midnight」のメロディー・ラインの間は本場のピアニストには出せない独特の味わいがある。そして何より抜群のテクニックに圧倒される。
アメリカのピアニストがスウィング期はテディ・ウィルソン、バップ期はパウエルに右倣いだったが、その影響が少ないだけにフランスで独自のスタイルを磨いたのだろう。生涯50作以上の意欲的なアルバムを作り、ゴダールの「勝手にしやがれ」をはじめ多くの映画音楽も手がけたフランスを代表するジャズ・ピアニスト。享年97歳。合掌。
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マーシャル・ソラールのお気に入りのアルバムがあればお寄せください。
私はリー・コニッツと組んだ「European Episode」と「Impressive Rome」は緊張感があり好きです。原盤はイタリア「Campi」ですが、当時東宝レコードから発売されたレコードを買いました。東宝レコードは事業不振により、1981年に親会社の東宝が吸収合併した後、会社は消滅しましたが、渋い作品をリリースしていました。
マーシャル・ソラールは、長命だったのですね。昨年12月に亡くなっていたのは、デュークさんのこの記事で知りました。遅ればせながら、僕もご冥福をお祈りしたいと思います。
マーシャル・ソラールのアルバムですが、デュークさんが挙げられた、「European Episode」は、コニッツを滅多に聴かない僕も聴いていた素晴らしいアルバムですね。Campiというレーベル名もこれ一枚で覚えました。
近年発掘された、ウェス・モンゴメリーの「THE NDR HAMBURG STUDIO RECORDINGS」におけるソラールの演奏はちょっとすごいです。ブラッド・メルドーではありませんが、左手と右手が別々の旋律を綴っているところもあって、テクニシャンです。
フランスのピアニストですぐ浮かぶのは、M・サルダビー、G・アルヴァニータス、M・ペトルチアーニあたりですが、昨今はイタリアや北欧のピアニストの名前を聞くことが多く、フランスのピアニストの名前を聞くことが少ないように思えます。まあ、輸入盤の趨勢とか、僕自身、一層視野が狭くなっているということでもありましょう。
たまには、フランスのミュージシャンのアルバムも楽しもうと、ルグラン・ジャズを取り出しました。ミシェル・ルグランもいました。今夜はこのへんで。
マーシャル・ソラールの訃報はジャズ誌で知りました。懐かしい名前を見るときは大抵死亡記事ですが、偲んで聴き返すきっかけにもなります。今回数枚聴きましたが、やはりテクニックは凄いですね。上手すぎて面白くないとか、クラシックの素養が目立ちスウィングしないという意見もありますが、アメリカジャズにはないフレーズの構築に惹かれます。
「Campi」はほとんど日本に入ってきませんでしたので、東宝レコードから出た時すぐに買いました。アート・ファーマーとフィル・ウッズが共演した「WHAT HAPPENS?」を求めてレコード店に行ったのですが、一緒に並んでいたソラールとコニッツも面白しそうでしたので買った覚えがあります。
ウェス・モンゴメリーの「THE NDR HAMBURG STUDIO RECORDINGS」は話題になっていますが、まだ聴いていません。GROOVYや馴染みのジャズバーで購入するのを待っています（笑）
仰るように最近はイタリアや北欧のピアニストにおされてフランスのピアニストはあまり聞きませんが、新人も出ているようです。ヨーロッパ物はレコード時代と違って数多く入ってきますので、見逃しているのかも知れませんが、エヴァンスとジャレットを足した金太郎飴が多いですね。60年代から80年代に登場した個性あるピアニストが待たれます。
ルグラン・ジャズ、いいですね。時代を超えた名盤です。