欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

欠陥建築(欠陥住宅)の現場…『耐震補強工事』

2013年03月11日 14時41分46秒 | 怪しい耐震工事の話



『日本の耐震建築に関する一般人の大きな誤解とは?』



日本の建築基準法で言う「耐震建築」と言うものは、絶対に壊れない建築物

をつくる訳ではないんです。


我が国の「耐震設計の基準」は、「一次設計」「と「二次設計」の二段構え

なのです。


「一次設計」と言うのは、頻繁に起きる地震でも「びくともしない」事を条件

としています。

そして、「二次設計」と言うのは、めったに遭遇しない大地震、つまり、阪神

大震災とか、東日本大震災、古くは関東大震災みたいな地震で、建物が倒壊し

たり、死傷者がでない設計です。

ただし、「二次設計」では建物が少々壊れる事は、『仕方なし!』としている

点が、大変重要なのです。


つまり、大地震が起きた場合、建物が無傷とは限らないのです!

それでも、「耐震設計」としては「合格」なのです。


よく、「不動産屋」が、「この家は耐震設計ですから、大地震でも何の被害

もでません。」と言うのは、全くの間違いです。



…さて、前フリはここまでで、今日の本題に入ります…

今、「国策」として、全国の建物に「補助金」を出して「耐震化工事」をする

様に呼びかけています。


しかし、私は、そこに疑問を感じてしまいます!


これは、国の機関が調査して発表したデータなのですが、現在建っている「木造

住宅」の半分が、「耐震化工事」を行ったと過程して計算すると、大地震で倒壊

する家の数は10%減少するとの予想です。


…おかしいじゃないですか!

50%の住宅を「耐震化工事」したのですから、少なくとも「倒壊」を免れる

家の数は50%減少するはずではないですか!



…そもそも、どのような会社が耐震化工事をしてるのでしょうか?


その多くは、「建築不況」で仕事がない「建築士事務所」だったり、「工務店」

の様な所です。

「補助金」(地域によって額が違う)が出るので、少し安くは工事できますが、

300万円~800万円必要な工事です。


その「耐震化工事」の方法も、まちまちで、一番簡単なものは、家の壁を内側

からベニヤ板で補強したり、屋根瓦は重量が重いので、トタン屋根に変更する

等です。


本格的に建物の強度を増す為には、床や天井を撤去し、基礎を強化した上で、

金具で材木同士を固定します。


…よく、「うちの工事は、コンピューターで地震による建物の動きをシュミレ

ーションしますから、絶対安心です。」と、言う会社がありますが、このシュ

ミレーションは、建築構造をモデル化して計算するだけなので、実際の被害予

測は難しいです。



土建業等の為に、様々な補助金を出す事を、「ばらまき予算」等と言いますが、

「耐震化工事」の「補助金」も、この「ばらまき」ではないかと思いたくなり

ます。



…絶対に地震で壊れない木造の家を作ろうとする方が、そもそも無謀かもしれま

せん。(地震に強い木造ツーバイフォー工法は例外)

実際に、この前の東日本大震災の時に、震度5で倒壊した大手住宅メーカーの

住宅があるくらいです。


「条件」が悪ければ、「耐震設計」の家でも「倒壊」する場合があります。

その事を忘れないで下さい。


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