goo blog サービス終了のお知らせ 

Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

クレイマー、クレイマー

2013年11月13日 12時16分43秒 | 洋画1971~1980年

 ◎クレイマー、クレイマー(1979年 アメリカ 105分)

 原題 Kramer vs. Kramer

 staff 原作/アヴェリー・コーマン『Kramer vs. Kramer』

     監督・脚本/ロバート・ベントン 撮影/ネストール・アルメンドロス

     美術/ポール・シルバート 衣装デザイン/ルース・モーリー

     音楽/ヘンリー・パーセル アントニオ・ヴィヴァルディ

 cast ダスティン・ホフマン メリル・ストリープ ジェーン・アレクサンダー

 

 ◎離婚と親権

 自立を求めて家を出て行く情緒不安定な妻と、

 仕事優先で短気で感情的な夫が8年も一緒に暮らせば、

 当然、小さなことから大きなことまでいさかいがたえなくなるだろう。

 70年代くらいからアメリカの深刻な問題になってきたのは、離婚と親権だ。

 けど、もともと離婚して親権を争う人達は、

 夫も妻も、両方ともかなりきつい性格なんじゃないかっておもってきた。

 きついっていうか、わがままっていうか、ともかく自分大好きな人達だ。

 ぼくはかなり古びた日本人なものだから、

 どうも簡単に離婚してしまう風潮は好きではないんだけど、

 ことにこの映画の、

 メリル・ストリープの身勝手さと、

 ダスティン・ホフマンの無理解さには、

 無性に腹が立つ。ていうか、腹が立った。

 といっても大学に入学した頃の話だけどね。

 けど、同時に、

 メリル・ストリープのどうしようもない母性の寂しさと、

 ダスティン・ホフマンの生来持っていたであろう父性の優しさもまた、

 ちょっぴりわからないでもなかった。

 で、35年も経ってしまった今、あらためて観直しても、

 似たようなことを考えてる。

 人間ってのは、どれだけ年を食っても、あんまり変わらないんだな~、

 てなことをしみじみと感じたんだけど、

 この映画でいちばん人間的だとおもうのは、

 ダスティン・ホフマンが彼女をアパートに連れ込んでくる件だ。

 夜中、トイレに立った息子と、まっぱだかの彼女が鉢合わせるんだけど、

 こういう離婚と親権を真正面から扱った映画でも、

 人間の本能っていうか、性欲の面に関して、

 オブラートに包むような表現はしていなくて、

 父親になっても新しい彼女とはセックスをするんだっていう、

 ひとりの人間として描かれてて、

 息子と対峙するときも、

 父と子でありながら、男と男のつきあいなんだという面も伝わってくる。

 それは、ときとして、どちらが少年でどちらが大人なのかという点についても、

 ときに健気に、ときに憂鬱に、ときに感情的に描くのは大変で、

 どれだけダスティン・ホフマンの意見が脚本に反映されてるか知らないけど、

 どうやらこのあたりから、

 ダスティン・ホフマンは製作する側に興味があったのかもね。

コメント