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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

幻影の彼方

2022年12月31日 00時34分58秒 | 洋画2022年

 △幻影の彼方(Iluzja/Illusions)

 

 グダニスク寒そうだな~。

 運転するクルマのフロントガラスに森の枝葉やたくさんの梢が映り込んでる。魂の迷路をさまよってるみたいでかっこいい。ユタ州リッチフィールドにあるパンド(アスペンの森)の話が出る。世界最大の生命体だと。

 でも、そのあとは最後まで、母親アガタ・ブゼクの孤独と絶望しかない。

 娘のものともしれないボタンを拾い、いくつか集めても無駄なことで、夫は自殺ともいえるような脳卒中でなくなり、家にも辛くて帰れず、浜辺のホテルに泊まっても癒されず、いくつかのボタンを浜に埋めても、まだ諦めきれず、わたし以外に誰が探すの?と。つらいな、これは。

 合鍵を持ってきた娘の恋人なのかわからないけどとにかく同棲してる男がDVDを置いていき、それで一挙に展開する。浜の一角をいきなり掘り出し、死体を見つけるんだね。で、相談をもちかけてる署長マウゴジャタ・ハイェフスカ・クシシュトフィクが、こういう。死体を浜辺で犯行現場が頭の中に見えた。犯人まで。好い加減にしなさいよと署長は怒る。こんなの証言にならないわ。犯人にされたいの?そりゃそうだよね。

 さらに、特定した男は自白したけど、見つかった死体は娘じゃなかった。ラスト、死体は息子だったっていう母親が訪ねてきて感謝されるものの、自分の娘探しの日常は終わらない。うーん。

 ところで、音楽は印象的だった。

 ヴィヴァルディ:
・詩篇『主が建て給うのでなければ』 RV.608
・スターバト・マーテル RV.621
 マリー=ニコル・ルミュー(メゾ・ソプラノ)
 フィリップ・ジャルースキー(カウンター=テノール)
 アンサンブル・マテウス
 ジャン=クリストフ・スピノージ(指揮)

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クライ・マッチョ

2022年12月29日 12時36分39秒 | 洋画2021年

 ◎クライ・マッチョ(Cry Macho)

 

 かっこいいぞ、91歳。

 メキシコに入ったとき、馬の群れと並走する。かっこいい。つくづくイーストウッドは映画をわかってるんだな~っておもう。で、そうか、マッチョって闘鶏の鶏の名前なのか。自分を託した弱っちいけど心の優しい親に見放されたとおもって落ち込み続けて逃げ続けてる少年を再生させて連れて帰ることで、ロデオの全米チャンピオンだったのが落馬とともに人生が変わり妻子も死んで生きる屍のようになっていた男もまた再起していくっていう物語なんだけど、うん、鶏がよく調教されてるね。3人ならんで歩いてくし、悪人に飛びかかってイーストウッドを救ってくれるし。

 イーストウッドは91歳で濡れ場があるのかとおもいきや、淫乱性の母親の誘いを断りながら、国境ちかくの寒村で夫と息子夫婦を亡くして4人の孫を育ててる気の強い世話焼きの女性に出会って、結局、そこで新たな人生を作ろうとするんだけど、いや、たいしたもんだわ。なんとなく『マディソン郡の橋』をおもいだした。

 
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ビューティフル・レターズ 綴られた言葉

2022年12月28日 12時49分33秒 | 洋画2011年

 ◎ビューティフル・レターズ 綴られた言葉(The Letter Writer)

 

 クリスチャン・ヴィッサとかいう監督なんだけど、こんな名前あるんだあ。ユタ州で活動してる人のようで、主役のバーニー・ダイアモンドっていう爺ちゃんに捧げられてるし、クレジットのところでまた葬儀の画像が出てるってことは撮影の途中で亡くなっちゃったってことなんだろうか?

 ただまあ、主役のオグデン・ハイスクールに通って、ブロポっていう町の小さな会場でライブをしてるアリー・アンダーウッドって子なんだが、なんだか母親の大事なお金を盗んだことにさして抵抗感がないように演出されてるのがちょっとね。

 なんにしても、このふたりの主役もさることながら、出演者の全員が基本的に善良な人たちってことと、どうにも演技が素人くさいってことで、いったい、この映画はなんなんだ?

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ザ・マスター

2022年12月26日 00時22分46秒 | 洋画2012年

 ◎ザ・マスター(The Master)

 

 芸の無い邦題、なんとかならんかな?

 とどのつまり、行き場を失った男ホアキン・フェニックスの魂の置き所を見つける話なんだけど、このマスターのフィリップ・シーモア・ホフマンがどれだけいかがわしくてもかまわない。なぜかっていえば、割れ鍋に綴じ蓋で、相思相愛になるとき、相手がどれだけ不細工だろうが、どれだけ性格がねじまがっていようが、おたがいが必要だとおもってしまえば、もはや、誰のいうことも耳に入らなくなる。そういう関係が、魂の救済をもとめる男と、魂を救済することは可能なんじゃないかっておもいながらも自己撞着してる男とが出会うことで出来上がっていくんだね。ちがうか~。

 

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凍った湖

2022年12月23日 20時02分16秒 | 洋画2015年

 △凍った湖(Der Tote am Teich)

 

 これだけつまらん映画もめずらしい。

 資産家が遺言書に隠し子に相続させると書いたために、その娘たちが共謀してその遺言書を破り捨て、異母兄をおもわず殺すっていうだけのどうにもならない話。監督のニコラウス・ライトナーとしては、オーストリアの山の中のド田舎の因習深さみたいなものを撮りたかったのかもしれないんだけど、まあできれば『犬神家の一族』でもを観て勉強した方がいいね。

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ローズメイカー 奇跡のバラ

2022年12月21日 22時46分31秒 | 洋画2020年

 ◎ローズメイカー 奇跡のバラ(La fine fleur)

 

 カトリーヌ・フロは日本にもいそうなおばあちゃんになっちゃったんだけど、これはこれで個性ってやつだろう。ピエール・ピノーは、薔薇の専門家たちに相談をもちかけてちゃんと形にした。小ぢんまりとした作品に仕上がってるね。オリヴィア・コートがいかにもこういう小さな薔薇園に勤めてそうな雰囲気で、良好だったわ。

 けど、いくらなんでもライバル社の希少種を盗んで交配したってダメだろ。無邪気な犯罪集団だぞっておもわせて、自分たちで開発するんだろうなあっておもってたら、これがあにはからんや、カトリーヌ・フロは手を出していなくて、調香師の才能をもったメラン・オメルタと、その彼女になるんだろうなあってマリー・プショーと、もう50歳で行き場も働き場もないと嘆くファツァー・ブヤメットが自然種を交配させた薔薇だけが嵐に堪え、バガテル新品種国際バラ・コンクールでグランプリを獲得して薔薇園の破産の危機も救うっていうおとぎ話になっていってる。

 なるほど、そうだろうなあ。

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セルジオ 世界を救うために戦った男

2022年12月19日 22時36分36秒 | 洋画2020年

 ◇セルジオ 世界を救うために戦った男(Sergio)

 

 なんてまあ説明過多な邦題かしら。ヴァグネル・モウラとアナ・デ・アルマスは『WASP ネットワーク』に続いて濡れ場があったりしてなんだかごっちゃになりそうな気もするけど、それはさておき、ヴァグネルの演じたセルジオ・ヴィエイラ・デ・メロについて知らないし、東ティモールの独立についても無知なんだけど、でも、イラクで死ぬ爆破テロでの回想よりもこれはエピローグとしてつけるだけで、東ティモールに集中するべきだったんじゃないかな。

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WASP ネットワーク

2022年12月18日 22時54分26秒 | 洋画2019年

 △WASP ネットワーク(Wasp Network)

 

 観てるのが途中でつらくなってきた。つまらんかったっていうか、よくわからん。

 なんでこんなにごちゃごちゃな展開になってるんだろう?亡命した軍人が実はキューバの二重スパイだっていう解釈でいいんだろうか?そんな映画つくらないよね?じゃあそうじゃないのか~ってな具合に、観てる側の頭が混乱する。ペネロペ・クロスがなんだか生活に疲れてるっていうよりいやいや出てる観があり、アナ・デ・アルマスもなんでもいいから出ちゃおかなっていう観があり、いったい、誰かこの原作をおもしろいとおもって絶対作ろうって意気込んでた人間はいたんだろうかっていうくらい気持ちの入ってない映画だったわ。

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炎の裁き 疑惑の炎

2022年12月17日 22時14分28秒 | 洋画2019年

 △炎の裁き 疑惑の炎(Trial by Fire)

 

 あまりにも、後味が悪い。

 エドワード・ズウィックがローラ・ダーンとジャック・オコンネルを起用して、これはないだろう。

 あ~観なきゃよかった。

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誘拐の掟

2022年12月16日 23時41分37秒 | 洋画2014年

 ◇誘拐の掟(A Walk Among the Tombstones)

 

 まあ、誘拐、家族、元警官とくれば、リーアム・ニーソンが登場するしかないわけで。

 面白かったとか面白くなかったとかいう以前に、リーアム・ニーソンの映画として満足がいったかいかなかったかっていうだけの話でしかない。そんなふうにおもえば、たまにリーアム・ニーソンのこういう小品を愉しめばそれでいいんだろうなと。

 ただ、今回の場合はちょっと筋立てがややこしく、要するに麻薬の売人稼業で儲けた野郎のリストを持っている麻薬捜査官のゲイのコンビがそれをもとに売人の妻や娘を誘拐して身代金を要求するんだけどすべて殺しちゃってるっていう出だしで、その売人のひとりが元警官で元アルコール依存症の私立探偵リーアム・ニーソンを頼り、妻を殺したやつを調べて連れてこいとかっていい、結局、その売人どもよりもリーアム・ニーソンが戦っちゃうっていう話なんだけど、目新しいものはこれといってないけれど、ピストルはリーアム・ニーソンには小さすぎるんじゃないかっていういつもの感想しか浮かんでこない。

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アイス・ロード

2022年12月15日 01時11分31秒 | 洋画2021年

 ◇アイス・ロード(The Ice Road)

 

 氷上の『恐怖の報酬』だわね。まあ、それに附属するとすれば、陰謀がらみの鉱山の崩落事故で30人の鉱夫が酸欠で死ぬまで30時間っていうリミットがあるくらいなもので、これがあるために、リーアム・ニーソンとローレンス・フィッシュバーンの運んでいく抗口装置(ウェルヘッド)が届かないようにするんだけど、この装置が3つも用意されてて、予備の予備まで運んでいくっていう時点で、ああ、これは2つはウィニペグ湖に沈むな~とおもってたら、案の定、そうなった。スー族のアンバー・ミッドサンダーがぷりんぷりんで可愛らしかったってくらいなほかは、まあいつものリーアム・ニーソン活劇に終始してたわ。でも、おもしろかったよ。リーアム・ニーソンに残念作は少ないね。

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THE BATMAN ザ・バットマン

2022年12月14日 22時55分22秒 | 洋画2022年

 ◎THE BATMAN ザ・バットマン(The Batman)

 

 なるほど、バットマンになって2年目なのね。

 日記もつけてたりして、かなり内向的な若年の蝙蝠男なのかとおもってたら、そうか、両親が殺されたときのトラウマから逃れられず、その犯人に復讐する怒りを、街を守ろうとする正義にすり替えてるのを、ポール・ダノに見破られちゃうっていう話なのね。

 正体がわかっちゃうかもしれないっていうどきどき感は初めてだったかもしれないけど、そうだねえ、神経質で親に対するコンプレックスを抱えて愛を乞おうとしているバットマン像ってのもありかもしれないね。ロバート・パティンソン、身体鍛えてきたな~。ゾーイ・クラヴィッツはもはやすっぴんとは程遠い色気むんむんのキャット・ウーマンになってたけど、まあ、あれだね、コリン・ファレルのペンギンとの対決も続編であるのね、たぶん。

 とどのつまりは、クリストファー・ノーラン版と比較してどうよって感じになっていくんだろうけど、ここまで内面的な暗さを抱えたものが無かった分、うん、いいかもしれないけど、拳法の修行をしたり、蝙蝠のトラウマを抱えることになった原因だのといった親切な部分はおもいきり切り落とされてるのはどうなんだろうって気にもなる。

 音楽は、マイケル・ジアッチーノよりもハンス・ジマーの方がいいかな。

 ただ、バットスーツをハロウィンのコスプレまがいのものに設定しないと滑稽になっちゃうっていうのは、それだけこの映画がリアルさを追及してるからで、バットマンに変身する前は普通のバイクに小汚い私服でいるっていうのもいいし、ウェイン・タワーの地下にある秘密基地へも地下鉄まがいの出入り口から行くっていうのはええ感じだ。 

 現代に調和していかなければならないバットマンのリアルさの追及っていう点では、よかった。

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OSLO オスロ

2022年12月13日 23時48分00秒 | 洋画2021年

 ◇OSLO オスロ(Oslo)

 

 なんでわざわざ原題のアルファベットを大文字に変えてまでして邦題にしているのか、わからん。

 そして、予告編で充分な感じがするくらいのちょっと怠惰な出来栄えだったわ。舞台がいいんじゃないかな。

 オスロ合意については、ぼくにはちょっと遠い。イスラエルとパレスチナの問題についてあれこれいえるほど知識があるわけでもないし、もともとのイギリスの二枚舌外交の招いた悲劇なんだからイギリスが和平については責任をもって対処するべきだろうとおもってるだけだ。だから、なんで、このテリエ・ロード=ラーセンっていう社会学者とモナ・ユールっていうノルウェーの外交官の夫婦が仲介に乗り出して、ついに合意にまで到らせるのかがよくわからない。なんとなく彼女の体験をフラッシュ・バックさせてるんだけど、イスラエルの若年兵とPLOの義勇兵の小僧とが殺し合いの寸前になってるのを見せられたって、そんな体験は多くの人達がしてるわけで、この夫婦が特別だったという背景や理由にはならない。つまり、動機がちゃんと描かれてない。これは、つらいね。

 やっぱり、スピルバークが製作総指揮じゃなくて、監督した方がよかったんじゃないか?バートレット・シャーって舞台の監督だったんでしょ?どうも舞台から離れきれないんだよね。これは、あかん。まあ、ヒロインを演じたルース・ウィルソンはよかったけど、旦那役のアンドリュー・スコットはどうもなあ、いまだに『シャーロック』をひきずっちゃってるんだよね、ぼくは。困ったもんだ。

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静かなる叫び

2022年12月12日 20時29分49秒 | 洋画2009年

 ◇静かなる叫び(Polytechnique)

 

 わからないことがいくつかあって、まずはなんで白黒にしたんだろうってことだ。ドゥニ・ビルヌーブは、好きな監督なんだけど、ときどき、こういうことがある。批評家受けは好さそうなんだけど、ぼくにはよくわからない。どうせだったら血だけ色をつけてほしかった気もするけどね。

 1989年12月6日、カナダのケベック州モントリオールにあるモントリオール理工科大学。ここで銃の乱射事件があったことは実は知らなかった。なんとなくカナダは遠い。カリーヌ・ヴァナッスの演じる女子学生は、女であることを自覚しててちゃんとすね毛のお手入れもしてるけど、でも機械工学の勉強にも余念がなく、勉強よりも煩悩の方が多そうな男子学生には講義のノートを貸してやったりする。けど、出産のために辞められちゃ困るんだよな~っていう男尊女卑ってほどでもないけどきわめて男女間の差別には無意識な悪意をもった就職相談の担当野郎への反論は我慢しなくちゃいけないっていう立場にある。こういう彼女らがいるところへ「ぼくはフェミニストを憎んでるんだよ!」てな犯人が突撃してくるんだけど、この事件のトラウマに苛まれるのはわずかな尺で、あらかたは事件を追ってる。

 ただ「ぼくの人生を破滅させたフェミニストをあの世へおくる」ってな手紙を遺したりして、そんな決意をさせるフェミニストってなんか意味あるのか?なにか別な人間の種類を象徴させてるのか?ておもうくらい、理解しがたい感情が継続してる。で、ずうっと蜂の羽音のような音の震えが続いてる。

 まあこのあたりはわかるんだけど、はっきりいってグランドホテル形式の出だしは退屈だ。なんか変なの。なんでこいつ銃をぶっぱなしてるだけでもっと確実に狙わないんだろ。たまたま弾があたった女子学生がいるってだけで、狂気ばしった目つきのわりにはなんにもしてない。そんなふうに受け取れる画面展開だった。

 なんだが、血走ってるわりには緩慢な犯行で、気持ちはあっても行動が上ずってる観がありありだ。だから、肩を撃ち抜かれた子がいれば、即死の子もいたり、学館のロビーに来たんならここでつぎつぎに撃たないのはなんで?てな疑問も浮かんじゃうのかもしれないし、あまりにも行動がとろい男を追いかける必要性も感じない。

 まあ、そんなふうに中途半端な印象を受けたんだけど、たぶん、ぼくの見方は浅いんだろうな。

 
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アデライン、100年目の恋

2022年12月11日 00時44分23秒 | 洋画2015年

 ◎アデライン、100年目の恋(The Age of Adaline)

 

 ずうっと前からどうしてもこのブレイク・ライヴリーのポスターが気になってて、そのためにいつか観なくちゃいけないっておもいながらなんとなく観るのをためらってたんだけど、うん、まあやっぱりぼくの好みの映画だったかな。たしかに、父親ハリソン・フォードが過去につきあってた子が、100年間も老化が止まってるブレイク・ライヴリーで、それがばれるのが木の枝に手を怪我し、それの応急処置で縫ってやった痕を観たことでわかっちゃうんだけど、親子でそんな偶然ってあるかよって話だし、あまりにもご都合的な展開だってのも納得できる。

 でもまあ、おとぎ話ってのはこんなもんでいいんじゃないかしらね。

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