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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

her 世界でひとつの彼女

2018年02月28日 23時36分52秒 | 洋画2013年

 ☆her 世界でひとつの彼女(2013年 アメリカ 120分)

 原題/Her

 監督・脚本/スパイク・ジョーンズ 音楽/アーケイド・ファイア

 出演/ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス ルーニー・マーラ オリヴィア・ワイルド

 

 ☆近未来LAの代筆ライター

 人工知能型OS・サマンサの声を担当したのはスカーレット・ヨハンソンで、彼女はこの声だけの出演でローマ映画祭で最優秀女優賞を受賞したらしいんだけど、撮影中はサマンサ・モートンが声を出してホアキン・フェニックスの相手を演じていたらしい。なんだか辛い話だな。

 ただまあ、物語はおもしろいものの、なにもこのサマンサはOSでなくて幽霊でもいいし、多重人格のひとりであってもいいし、テレクラのさくらであってもいい。

 つまり、目に見えないけれどもその声が聴こえて、電話一本でいつでも繋がり、さらには彼女が同時に不特定多数の男と話ができるという条件を満たし、最後には新たな段階をのぼって別な世界に行ってしまうことのできる存在であればいいわけで、そうしたことからすれば、物語というのは基本はおんなじで手を変え品を変えて作られているんだね。

 とはいえ、音楽だけで台詞のないカットバックをもう目まぐるしいほどたくさん積み重ねているところからすると、撮影の丁寧さはたいしたもので、脚本も痛いところをついてきて、いやまったく男女の心理と微妙な理を台詞にすることができ、かつまた映像にもすることができるというのは、たいした才能だとおもうわ。

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ブランカとギター弾き

2018年02月16日 13時28分24秒 | 洋画2015年

 ☆ブランカとギター弾き(2015年 イタリア 77分)

 原題/Blanka

 監督・脚本/長谷井宏紀 音楽/アスカ・マツミヤ フランシス・デヴェラ アルベルト・ボフ

 出演/サイデル・ガブテロ ピーター・ミラリ ジョマル・ビスヨ レイモンド・カマチョ

 

 ☆マニラ、スラム街

 おとなは子供をお金で買っているんだから、あたしもお母さんを買うんだというブランカの発想がリアルなのかどうかはわからないけれども、でも理屈としては通っている。

 ただ、それは乳母とか義理の母とか養母とかさまざまな形を変えて存在しているという社会的な基盤あるいは常識を知らないのと、またそれを知って施設に入ったところで路上生活とのギャップに堪えかねて、盲目のギター弾きのもとへ戻ってしまうという悲劇は、もう、手の施しようのない現実をまのあたりにさせられた気分にもなる。

 物語そのものには、決して目新しさはないものの、落ち着いた色調と画面は妙な安心感があるね。

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ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

2018年02月10日 00時59分10秒 | 洋画2016年

 ☆ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2016年 イギリス 105分)

 原題/A Street Cat Named Bob

 監督/ロジャー・スポティスウッド

 音楽/デヴィッド・ハーシュフェルダー チャーリー・フィンク

 出演/ルーク・トレッダウェイ キャロライン・グッドール ルタ・ゲドミンタス

 

 ☆登場している猫ボブは、実際のモデル猫

 もともとこのボブは拾われた猫なんだそうだけど、この映画もまたおもわぬ拾い物だった。

 そう、実をいえばまったく期待していなくて、たまたま観ることになってしまったっていう感じだった。ところが、人生というのは得てしてそういうもので、それほど気に懸けていなかったはずが知らず知らずのうちに大きな存在になってくることがある。この映画の中の迷い込んできた猫ボブも、ひいてはこの映画自体そんな感じなのかもしれない。

 ところで、監督のロジャー・スポティスウッドなんだけど、編集技師の出身で、初めての編集作品が『わらの犬』なんだよね。そのあと『48時間』の脚本を書いたり『アンダー・ファイア』の監督をしてりして、要するにハードな映画に関係してる。

 にもかかわらず、この作品だ。麻薬中毒のギター弾き、ていうか吟遊詩人、のところへさ迷い込んできた神様のお使いのような猫とヴィーガーの隣人女性と、妙にかれの世話をしてしまうケースワーカー女性のおりなす、父と息子の心の絆の再確認もあったりするやけにほんわかした作品。

 ロジャー・スポティスウッド、職人だな。

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女王フアナ

2018年02月09日 20時45分47秒 | 洋画2001年

 ◇女王フアナ(2001年 スペイン 115分)

 原題/Juana la Loca

 監督・脚本/ビセンテ・アランダ 音楽/ホセ・ニエト

 出演/ピラール・ロペス・デ・アジャラ、ダニエレ・リオッティ、ジュリアーノ・ジェンマ

 

 ◇1506年、カスティーリア

 イザベル1世の娘フアナが母親の後を継いでカスティーリアの女王となったのが1506年。相容れないような、でも相容れたいと願っていた夫との生活はほぼ10年足らずで、即位後まもなく死別し、もともと不安定だった精神状態がいっそう錯乱し、夫への狂恋はやがて心すべてを蔽い尽くし、完全に正気を失う。

 この狂ってゆく過程を描いているのがこの作品なんだけれども、なんというか救いがないというのか、夫への嫉妬と王位への執着とで蔽われている世界なものだから、美しい映像や音楽とは裏腹に、その物語についてはとてもではないけれども疲れる。

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ナイト・アンド・ザ・シティ

2018年02月08日 21時35分46秒 | 洋画1992年

 △ナイト・アンド・ザ・シティ(1992年 アメリカ 105分)

 原題/Night and the City

 監督/アーウィン・ウィンクラー 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード

 出演 ロバート・デ・ニーロ、ジェシカ・ラング、ジャック・ウォーデン、アラン・キング

 

 △『街の野獣』のリメイク

 とはいえ、ぼくはもともとの映画を観てないからなんともいえないんだけど、プロレスがボクシングになってるそうで、いったいリメイクする意味があったのかな~とちょっと疑問におもった。

 ただ、監督のアーウィン・ウィンクラーにとってはかなり意味のあることだったようで、かれはもともとプロデューサーで、しかも『ロッキー』シリーズのプロデューサーだった。まあそんなことをおもえば、リメイクするにあたりボクシングの話に変えたいとおもってもふしぎはない。

 でも、内容はいまひとつだったわ。

 そりゃいくらなんでも無茶だろうってのは、歩道の陰にもならないような軒端で立ったままするところだ。これ、初めて観たときもおんなじことをおもったんだけどね。

 とはいえ、ラスト、救急車で運ばれていくデ・ニーロが、ジェシカ・ラングが西海岸に移住しちゃうらしいと知ったとき「西海岸のやつらは野菜ばかり食べてる。店を出すんなら、名前はなんだ。グリーン・ストリートか」みたいなことを訊くんだけど、まったく最後の最後まで口の減らない奴っていう設定だけは好かった。

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COP CAR コップ・カー

2018年02月02日 22時15分07秒 | 洋画2015年

 △COP CAR コップ・カー(2015年 アメリカ 88分)

 原題/COP CAR

 監督/ジョン・ワッツ 音楽/フィリップ・モスマン

 出演/ケビン・ベーコン カムリン・マンハイム シェー・ウィガム キーラ・セジウィック

 

 △悪徳警官、子供を追跡す

 それだけの話だ。

 悪徳警官が人を殺してパトカーのトランクに詰めて処理しようとしていたところ、たまたま小用を足しに行っていたときに子供にパトカーを盗まれてしまい、焦りに焦った警官は子供を追跡して証拠隠滅をはかるべくひとおもいに殺してしまおうとするんだけどっていうラフな物語。

 いったい、なにがしたかったんだ、ケビン・ベーコン!

 ちなみに、声だけ出演のキーラ・セジウィックはケビン・ベーコンの奥さん。

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スター・ウォーズ 最後のジェダイ

2018年02月01日 23時16分13秒 | 洋画2017年

 ☆スター・ウォーズ 最後のジェダイ(2017年 アメリカ 152分)

 原題/Star Wars : The Last Jedi

 監督・脚本/ライアン・ジョンソン 音楽/ジョン・ウィリアムズ

 出演/マーク・ハミル キャリー・フィッシャー デイジー・リドリー ベニシオ・デル・トロ、

    アダム・ドライバー ジョン・ボイエガ オスカー・アイザック ローラ・ダーン

 ☆In loving memory of our princess Carrie Fisher

 なんかね、同窓会に出てきたような気分だ。

 キャリー・フィッシャーはますます猫を背負ってたし、マーク・ハミルもやはりライト・セーバーを構えるときは老人特有の前かがみになってた。それでいいのだとおもうのは、自分もまたこの40年の間に年を食ってしまったことを実感しているからだ。

 もはや、内容がどうのこうのという時代ではなく、ルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナとハン・ソロがどのような最期を遂げるのかをこの目でたしかめたいとおもうだけになってしまったのかもしれない。ハン・ソロの最期については第9部を観終わるまではなんともいえないし、レイアについてはどのような処理をして登場させるのかという興味しかなくなってる。

 ただ、そんな気分でいながらも、まるでアレック・ギネスのような一世一代の演技を見せてくれたマーク・ハミルが、当初、この回の内容と出来について不満をぶちまけていたのは多少なりともわからないでもない。

 スカイウォーカーとダース・ベイダーの血をひく甥を追い込んでしまったという最後の原罪は我が身を隠遁させるだけでは足らず、幽体(フォース)を離脱させて宇宙の彼方から飛ばすという凄まじい離れ技までしなければならない運命を導いてしまった。その酷さについて、マーク・ハミルはどのようにおもったんだろう?

 ルークの晩年の生き方について、認められるとおもえたんだろうか?

 ただ、R2-D2がルークを説得するために、かつてのレイアの画像を投影して「Help me, Obi-Wan Kenobi. You're my only hope」といわせるんだけど、これはまいったな。ルークも「ずるい」というけど、たしかにずるい。泣くぜ。

 惜しむらくは、ルークの自己犠牲が宇宙のさまざまな辺境に身を隠している反乱軍の生き残りたちがつぎつぎに起ち上がってくる声明を引き出し、ルークはその連呼の中で終焉を迎えさせてあげたかったということだ。ルークの最期について、元帝国軍(ファースト・オーダーってのはちょっとな~)の牧童が、レジスタンスの指輪をはめながら語り、そしてあたかも後を継ぐような雄々しい姿で天の川を見つめるところは、たしかに涙が滲み出てしまったけど。でも、やっぱり、なんだね。

 ところで、キャリー・フィッシャーの遺児ビリー・ラード演じるコニックス中尉は重要な役割を果たすんだろうか?それと、そうそう、キャリー・フィッシャーがローラ・ダーンと「May the Force be with us, always」って口をそろえたのはよかったな。もともとこの文句は「Remember, the Force will be with you, always」だったおもうんだけど、いつのまにやら「May the Force be with you」に変わっちゃってた。これだけでも時代は移り変わっていくんだな~っておもわざるをえない。

 さらにちなみに、関係ないことながら、ぼくは『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』を有楽町のマリオン、日本劇場で観た。その日本劇場が、このたび、閉鎖される。で、そこで上映される作品の一部が『フォースの覚醒』と『最後のジェダイ』だ。なんだかね。その昔の日劇を知っているぼくとしては、いろんな意味で感無量だな。

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