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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
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▽=☆

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

2012年11月30日 22時10分38秒 | 邦画1991~2000年

 ◇新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

 英題 The End of Evangelion

 総監督・脚本 庵野秀明

 出演 緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子

 

 ◇結局、シンジの内面世界

 Airの出だしからDNA状のクレジットタイトルがローリングされてきたまではリアルさが感じられて好かった。

 だが、いやもうこうするよりほかになかったのかもしれないんだけど、とどのつまり、TVシリーズのような内面世界の話に終始し、だからといって謎というより疑問が解明されないまま時が流れ、尻切れトンボのようなそうでないような、きわめて結論づけるのが難しいラストでは、いいたくないのだけれども、ある意味、肩透かしを食らってしまったのではないかという気分になってしまうのは致し方ないかもしれない。

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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生

2012年11月29日 01時00分03秒 | 邦画1991~2000年

 ◇新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生(1997年 日本 99分)

 監督 庵野秀明

 出演 緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子

 

 ◇群像の独白

 主要人物達のモノローグを凝縮したような構成と積み重ね。

 なので、その展開の速さと違っていそうで実は皆同じベクトルを持っている為に理解し辛い部分があるのは困る。

 いや、それよりなにより独立した作品として完成してないように見えるのも困る。

 10年くらいしたら、ほんとうの完全版が制作されるような気がしないでもないんだけど、どうだろうね?

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外事警察 その男に騙されるな

2012年11月28日 02時15分02秒 | 邦画2012年

 ◎外事警察 その男に騙されるな(2012年 日本 128分)

 監督 堀切園健太郎

 出演 渡部篤郎、真木よう子、尾野真千子、遠藤憲一、余貴美子、石橋凌、田中冺

 

 ◎なぜ、あの国というのか?

 真木よう子と田中泯の存在感は凄かった。

 テレビのときもそうだったんだけど、あいかわらず渡部篤郎の台詞は聞き取りにくく、尾野真千子は上手なのになんだか希薄だった。まあ、真木よう子が田中泯の実の娘だとかいう陳腐な設定はやめてくれよなと観客におもわせた結果のどんでん返しは、うん、見事だったかもしれない。

 とにかく相馬和典の画が良かった。デジタルシネマカメラのアレクサを使用しているためか、深みと暗さと陰影が強かった。ええね。フィルムでは昔、市川崑が好んだような銀残しみたいな感じになってるんだけど、デジタルでもそういう効果を使えるんだね。あ、音楽ももちろんよかった。さすが、梅林茂だ。

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ガントレット

2012年11月27日 17時49分20秒 | 洋画1971~1980年

 ◎ガントレット(1977年 アメリカ 109分)

 原題 The Gauntlet

 監督 クリント・イーストウッド

 出演 クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル

 

 ◎古代gauntletの再現

 いやもう単純明快なことこの上ない。

 一発も撃たないイーストウッドと、彼の護送する平凡な裁判の平凡な証人である娼婦に対して、黒幕の検察官の指令の元に最初から最後まで一斉射撃の連続で、家も車もバスも蜂の巣にするだけの話だ。それ以上でもなければそれ以下でもない。けど、そうでありながら、印象はおっそろしく強烈だ。こういうたったひとつの場面だけを描くためにそれまでの物語が存在するという単純さは、うん、見事だとおもうな。

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ペイルライダー

2012年11月26日 02時39分52秒 | 洋画1981~1990年

 ◇ペイルライダー(1985年 アメリカ 115分)

 原題 Pale Rider

 監督 クリント・イーストウッド

 出演 クリント・イーストウッド、キャリー・スノッドグレス、マイケル・モリアーティ

 

 ◇1880年代、カリフォルニア州カーボン峡谷

 背中の六つ星、七つ星だったら北斗七星だったのに。

 ま、ほとんど『シェーン』なんだけど、違うのはかつて仇敵に撃たれ、なんとか生き延びて牧師になっていた男が、偶然に少女を助けたことから、その一家の世話になり、町を牛耳る悪玉を倒しかけるんだけど、ここで話は終わらない。終わっちゃったら『シェーン』になっちゃう。そこで、なんとも偶然にも仇敵の六人が現れて因縁の対決をするっていう展開になる。つまりは『シェーン』の主人公に手をくわえて、物語に膨らみをもたせたっていうことかしら?

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この愛のために撃て

2012年11月25日 21時25分49秒 | 洋画2010年

 ☆この愛のために撃て(2010年 フランス 85分)

 原題 À bout portant

 監督 フレッド・カヴァイエ

 出演 ジル・ルルーシュ、エレナ・アナヤ、ジェラール・ランヴァン

 

 ☆警察署内での筋はやや無理ぽ

 とはいえ、全編を通じて疾走感たっぷりで、臨月の妻を誘拐された看護師見習いの凄い行動力を上手に描いてる。

 エレナ・アナヤが好い。とっても綺麗だし、初産の妊婦らしさに満ちてるし、容疑者も女性刑事も悪徳刑事も揃って緊迫感あり。

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卒業(’67)

2012年11月24日 12時21分28秒 | 洋画1961~1970年

 ☆卒業(1967年 アメリカ 105分)

 原題 The Graduate

 監督 マイク・ニコルズ

 出演 ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス、リチャード・ドレイファス

 

 ☆やあ僕の古い友達よ

 母親と不倫してその娘についていた嘘がばれるとストーカーになって付き纏い最後には結婚式で父親を殴り倒して娘を強奪するという親子丼話に感動して、S&GのLPを擦り切れるまで聞いた当時の学生はみんなまじめだった。かくいう僕も例外じゃない。

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エクスペンダブルズ2

2012年11月23日 02時02分39秒 | 洋画2012年

 ◇エクスペンダブルズ2(2012年 アメリカ 103分)

 原題 The Expendables 2

 監督 サイモン・ウエスト

 出演 シルベスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェット・リー、チャック・ノリス

    ジェイソン・ステイサム、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ブルース・ウィリス、ドルフ・ラングレン

 

 ◇キャストは凄い

 一度は主役を張った役者を8人も揃えるのは並大抵ではない。

 いや、まじにスタローンって人望があるんだね。けど、いくらなんでもマシンガン撃ち過ぎなんじゃないか?

 唯一まともな若者リアム・ヘムズワースが前半で殺され、その恋人ニコレット・ノエルへの手紙が佳境で語られるほかは全部アクションといっていいくらいの筋立てで、観終わってすぐ早くもあらすじを忘れちゃってるからさ。ぼくのぼけぶりももちろんあるけど。

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去年マリエンバートで

2012年11月22日 01時32分35秒 | 洋画1951~1960年

 ☆去年マリエンバートで(1960年 フランス、イタリア 94分)

 原題 L'Année dernière à Marienbad

 監督 アラン・レネ

 出演 デルフィーヌ・セイリグ、ジョルジュ・アルベルタッツィ、サッシャ・ピトエフ

 

 ☆過去と幻影の相克

 封切られた当時、もちろん、各映画祭で上映されたときも、さらに僕たちが学生の頃にリバイバルされた時代も含めて、この作品はあまりにも難解だといわれた。かくゆう僕もそうだった。まるでわからない。僕らは『プロビデンス』が封切られたとき現役の学生だったんだけど、いちばん感受性が豊かな時代であるにもかかわらず、匙を投げた。また、それがかっこいいと勘違いしてた。いらぬ解釈はかっこわるかった。

 けれど、あえていうなら、去年と現在と幻影とが独白の中で一体となる為に理解し難いようにおもえるものの、客観的に眺めれば分離した個別の時の流れなのに同一の情景の中に入っている物が見えてくるし、紳士や淑女たちが塑造化してしまう理由もまた察せられる。そうおもうのだな。

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96時間

2012年11月21日 16時06分26秒 | 洋画2009年

 ☆96時間(2009年 フランス 93分)

 原題 Taken

 監督 ピエール・モレル

 出演 リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン

 

 ☆父親はこうでなければ

 肌が合う合わないってのはあるもので、ぼくはリュック・ベッソンの作品はどうもいまひとつ肌が合わなかった。だから、ベッソンが絡んでると知って、彼の面白さがよくわからない僕としては観るまで眉を顰めてたんだけど、いや、どうしてどうして、おもしろかった。それも凄まじくおもしろかった。

 娘のためなら命もいらない凄腕の元諜報員親父が冷静沈着に大奮迅という凄まじくも単純明快な筋立てながら、ていうか、ベッソンはいつでも単純明快か、ともかくもそれが今回は吉と出たとしかおもえないな。

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ル・アーヴルの靴みがき

2012年11月19日 16時52分36秒 | 洋画2011年

 ◎ル・アーヴルの靴みがき(2011年 フィンランド、フランス、ドイツ 93分)

 原題 Le Havre

 製作・監督・脚本 アキ・カウリスマキ

 出演 アンドレ・ウィルム、カティ・オウティネン、ジャン=ピエール・ダルッサン

 

 ◎マルセル、ふたたび

 まあ、主人公の過去が作家であったということから類推すると『ラヴィ・ド・ボエーム』の後日譚になるのだろうな、とおもっちゃうんだけど、どうでもいいことかもしれない。だって、過去はすでに失われたもので、現在を生きている人々にはなんの意味もないからだ。そういう考えは、そのままこの作品に投影される。

 だから、マルセルはパリから流れてはきたものの、ここでやっと妻も迎えたし、彼女は貧相だけれども健気な女だし、それで幸せに暮らしているんだから、過去は要らないよってことになる。そんなところへ黒人密航少年が紛れ込む事で生じる小さな港町の住民悲喜劇となっているわけで、この老人と少年はおなじように過去を棄てたんだね。でも、マルセルの新たな人生も捨てたもんじゃなかったということになるわけだ。上手だな。

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ラヴィ・ド・ボエーム

2012年11月17日 17時43分34秒 | 洋画1992年

 ◇ラヴィ・ド・ボエーム(1997年 フィンランド、スウェーデン、フランス、イタリア 100分)

 原題 La Vie de bohème

 製作・監督・脚本 アキ・カウリスマキ

 出演 アンドレ・ウィルム、マッティ・ペロンパー、ジャン=ピエール・レオ、ルイ・マル

 

 ◇パリのマルセル

 マルセルことアンドレ・ウィルムのパリにおけるボヘミアン時代の最後は、友達の画家マッティ・ペロンパーの彼女イヴリヌ・ディディの病院での不幸な別れとなるんだけど、そのとき、トシタケ・シノハラのビブラードの効いた『雪の降る町を』が流れる。ラストのこの部分は、やけに印象に残る。まるでモノクロ全盛期のような不思議さなんだけど、これが演出力っていうものなんだろうか?

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ワールド・イズ・ノット・イナフ

2012年11月13日 16時04分53秒 | 洋画1999年

 ◇ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999年 イギリス、アメリカ 127分)

 原題 The World Is Not Enough

 監督 マイケル・アプテッド

 出演 ピアース・ブロスナン、ソフィー・マルソー、デニス・リチャーズ、ロバート・カーライル

 

 ◇ソフィ・マルソーのみ

 女優の他に愉しみがなくなってしまった007シリーズは、正直いって観るのが辛い。

 計算されつくした派手なアクションも食傷気味だし、ブロスナンになってやや荒唐無稽さが収まったものの、マンネリ打破に足掻く時代のボンドというよりほかにないような気がするんだよね。

 でも、世間一般ではけっこうそうでもなくって、この作品は世界的に大成功したらしい。ボンドがボンドガールを射殺するっていうショッキングな展開になるからなのかどうかはわからないけど、ソフィ・マルソーは実はこの頃が絶頂期だったのかもしれないね。だから、世界中が観たのかな?

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遙かなる山の呼び声

2012年11月12日 13時17分14秒 | 邦画1971~1980年

 ◇遙かなる山の呼び声(1980年 日本 124分)

 監督 山田洋次

 出演 高倉健、倍賞千恵子、渥美清、ハナ肇、武田鉄矢、吉岡秀隆、鈴木瑞穂、下川辰平

 

 ◇北海道中標津

 ラストの電車の中の場面がやりたかったんだなというのはわかる。

 でも、それはそれで充分に感動的な場面が作られていて、いろんな疑問なんかすべて吹き飛ばしちゃうようなちからを持っている場面になってるんだけれども、建さんの過去っていうか、ここにいたるまでの半生をもうすこし深く描いた方がいいような気がしないでもない。その事件によっては健さんの逃げている意味合いが違ってくるからだ。結局、逮捕されるのが嫌で母子家庭だったら潜伏しやすいとおもったんじゃね~の?とかいわれないような設定にしてほしいじゃんね。

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若草の萌えるころ

2012年11月11日 21時54分16秒 | 洋画1961~1970年

 ◇若草の萌えるころ(1968年 フランス 98分)

 原題 Tante Zita

 監督 ロベール・アンリコ

 出演 ジョアンナ・シムカス、カティーナ・パクシヌー、シュザンヌ・フロン

 

 ◇ジータ叔母さん

 今からおもうと、当時、たった一夜の物語っていう設定は和洋を通じてよくあったような気がする。

 実際、そういう設定はとっても好きだった。

 なんで好きだったんだろうね。一夜の内に人生の分岐点っていうかいちばん大切な通過儀礼を体験して、それで新たな人生に旅立っていくっていう青春物にはなくてはならない設定のひとつだったんだろうか。この原題Tante Zitaつまりジータおばさんもそのひとつだ。大好きなおばさんの死に衝撃を受けてしまった女の子の一夜の夢物語というか。まあ、最初はそれほどでもないんだけど、徐々に幻想味が強くなっていって、やがて初夜となって大人になるわけなんだな。

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