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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

この世界の片隅に

2017年08月31日 00時10分12秒 | 邦画2016年

 ◇この世界の片隅に(2016年 日本 128分)

 監督・脚本 片渕須直

 声の出演 のん、細谷佳正、尾身美詞、潘めぐみ

 

 ◇1945年7月28日、青葉、呉軍港にて着底

 とてもよく調べていて、描写が細かく脚本も絵作りも丁寧で好感はもてる。が、吐息まじりのコトリンゴの歌はあまりにも作品に合いすぎてかえって途中から聴くのが難しくなってきた。ふしぎなことだけどね。

 あ、そうだったのかと観ている途中でおもったのは、冒頭、ばけもんのひとさらいにさらわれたとき籠に入れられていたのが後の夫だったのねってことかな。原作を読んでないとこういうのがよくわからないね。

 それと途中まで観てて、あ、とおもったのは、これ、北川景子の主演でテレビになってるじゃんってことだ。テレビは呉の遊郭が主要な場面になってて、遊女がもっと絡んできてたような気がする。でもまあ、このアニメの方がすっきりしてたかな。

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アルバート氏の人生

2017年08月30日 00時14分13秒 | 洋画2011年

 ◎アルバート氏の人生(2011年 イギリス、アイルランド、アメリカ、フランス 113分)

 原題 Albert Nobbs

 監督 ロドリゴ・ガルシア

 製作・主演・共同脚色・主題歌の作詞 グレン・クローズ

 

 ◎19世紀、ダブリン

 グレン・クローズはおもったよりも小柄なんだな。

 男装しているときの方が違和感がなくて、女装したときのぎこちなさったらないが、いや、このあたりは共演のジャネット・マクティアもおなじ印象をうけたから演出が上手なんだろね。

 ただ、後に息子を生んでアルバートと名づけるミア・ワシコウスカになんでそこまでグレン・クローズが惚れちゃうのかが納得いかない。かわいそうだと同情しているからというだけでもないのか~とおもったりときから妙に納得しにくい。それがなければかなり良い出来かな。グレン・クローズが原作に惚れ込んで映画化に奔走したのもわかる気がするわ。

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パレードへようこそ

2017年08月29日 00時33分30秒 | 洋画2014年

 ☆パレードへようこそ(2014年 イギリス 120分)

 原題 Pride

 監督 マシュー・ワーカス

 出演 ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、ドミニク・ウェスト、アンドリュー・スコット、ベン・シュネッツァー

 

 ☆炭鉱労働者とLGBT

 イギリスのウェールズの炭鉱をあつかったものはなんだか好きだ。

 長屋が絵になるし、ブラスバンドのパレードがなんとなくいい感じがするからかもしれないけど、ラストに実際のパレードが映されているように、なにより実話というのが好い。LGBTが自分たちとおなじように社会的な忌避を受けているとして炭鉱組合を支援したのも知らなかったし、炭鉱組合がかれらに人権を与える法律をおして恩返ししたことも知らなかった。

 こういう映画は、とても好きだ。

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トカレフ

2017年08月28日 21時53分19秒 | 洋画2014年

 △トカレフ(2014年 アメリカ 98分)

 原題 Tokarev

 監督 パコ・カベサス

 出演 ニコラス・ケイジ、レイチェル・ニコルズ、ピーター・ストーメア、ダニー・グローヴァー

 

 △トカレフTT-33

 娘を殺されたことの復讐に駆けずり回る男の話。

 なのだが、このありきたりな話をさらにおもしろくなくしているのは、人物の設定かもしれない。ニコラス・ケイジの過去がかなり悪辣なギャングで、娘を殺した犯人をつきとめようとしている昔からの仲間ふたりも脛に傷のある連中で、さらになんか妙なことにニコラス・ケイジを信じてこれを機に街のダニを一掃させちゃえみたいな結果にさせていくやけに理解のある刑事ダニークローバーという設定だ。

 で、とどのつまりは、ニコラス・ケイジの信じられないような勘違いとおもいこみだったっていう話で、つまり、娘の死は結局、娘とその彼氏のあほな遊びによる過失だったんだけど、このくそ間抜けな落ちのために、とんでもない遠回りをさせるための設定をしてたのかよってわかったとき、まじな話「時間を返せ」とおもった。

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ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

2017年08月27日 01時11分46秒 | 邦画2014年

 ◇ゲノムハザード ある天才科学者の5日間(2014年 日本、韓国 120分)

 監督・脚本 キム・ソンス

 出演 西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、伊武雅刀

 

 ◇韓国題は「無名人」

 原作を読んでないからわからないけど、なんで日本に限定した物語にしなかったんだろう?

 アルツハイマーの治療法としてウイルスによって記憶を移植できるというのはなるほどとおもわせるんだけど、一年しかその効果がないというのはご都合主義みたいな気がしないでもない。元の記憶に上塗りされるというのはわからないでもないけど、これは昔からある「魂」の物語の亜流なんじゃないかな。

 そんなことをその昔『天国から来たチャンピオン』でもおもった。

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僕だけがいない街

2017年08月26日 00時04分34秒 | 邦画2016年

 ◎僕だけがいない街(2016年 日本 120分)

 監督 平川雄一朗

 出演 藤原竜也、有村架純、石田ゆり子、及川光博

 

 ◎ラスト、あかんな

 案外おもしろかった分、残念だ。

 実をいうと、原作もテレビアニメも知らないぼくは『僕だけがいない街』というのを『僕しかいない街』と随分と前から勘違いしてた。だからなんのことかわからなかったんだけど、なるほど、死んだ後の街というわけね。もしかしたらここでもまちがった受け止め方をしてるかもしれないけど、これ以外に解釈できないから許してもらおう。

 それはともかく連続少女誘拐殺人の冤罪を晴らすだけでなく時間を跳ぶ能力によって当時殺された同級生と現在殺されてしまう母親を救おうとする展開はおもしろかった。

 ただ佳境、真犯人の教師によって橋から突き落とされた次の瞬間、冒頭のピザ屋の宅配をしていて跳ねられた後に跳んだとおぼしきところで眼が覚めるわけだけれども、その間のことがまるきり描かれていないのは、なんだか中途半端な気がしてならない。いや、中途半端というよりも作り手が物語について核心を勘違いしているのかとおもってしまいたくなるほど、間(ま)がぬけていた。それまでの面白さを台無しにしてしまう。

 これではあかんでしょ。

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未来を花束にして

2017年08月25日 00時35分13秒 | 洋画2015年

 ☆未来を花束にして(2015年 イギリス 106分)

 原題 Suffragette

 監督 サラ・ガヴロン

 出演 キャリー・マリガン、ヘレナ・ボナム=カーター、ベン・ウィショー、ブレンダン・グリーソン

 

 ☆1912年、ロンドン

 原題のサフラジェットっていうのは、戦う女性参政権運動家みたいな立場の人達だとおもえばいいようだ。

 ダービーに忍び込んで世界をあっと言わせるんだといったとき「そうかこれか、これ知ってるわ」とつい独り言をいってしまった。以前、ダービーに入り込んで競走馬に蹴られて死ぬ女性のフィルムを見たことがあったんだけど、あれはそうか、婦人参政権の直訴だったんだね。エンドロールに各国がいつ婦人参政権を得るようになったのかが出てくるんだけど、日本がなかったのはちょいと残念だな。けど、まあひとつの時代を切り取って、キャリー・マリガン演じる洗濯女の自立を描いていくのはとても上手だった。

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わたしは、ダニエル・ブレイク

2017年08月24日 11時43分57秒 | 洋画2016年

 ☆わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年 イギリス、フランス、ベルギー 100分)

 原題 I, Daniel Blake

 監督 ケン・ローチ

 出演 デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ

 

 ☆日本の社会保障はどうなんだろう?

 医者は病気を抱えた労働者に働くなといい、政府は働こうとしない者には福祉の手を差し伸べないという。

 ケン・ローチが、こうした矛盾だらけの社会保障制度に怒っているのは実によくわかる。貧しい人々に対して真摯な態度で接し助けようとしている役人なんかいないと。

 けどこれは単にイギリスだけの話じゃないだろう。

 映画はとにかくリアルで、大工のダニエルは心臓発作で呆気なく死を迎え、親身になっていた母子家庭の母親はこの先も娼婦を続けざるをえず、靴が貧乏臭いというだけでいじめられていたふたりの子供たちももいつなんどき暮らしを支えているお金の元がばれてふたたびいじめられることになるかもしれない。この移民家族の苦しい生活はたぶん続いていく。

 社会の何が間違っているのだろうと見た者が話し合ってくれるのがケン・ローチの希望なんだろうけど、諸国の政府の要人でどれだけの人間がこうした映画に興味を持つんだろね。

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白鯨との闘い

2017年08月23日 14時01分18秒 | 洋画2015年

 ◇白鯨との闘い(2015年 アメリカ 121分)

 原題 In the Heart of the Sea

 監督 ロン・ハワード

 出演 クリス・ヘムズワース、キリアン・マーフィー、ベン・ウィショー、ブレンダン・グリーソン

 

 ◇1819年、エセックス号沈没

 それを取材するメルヴィルに語られた遭難と救出の真実と受け止めればいいんだけど、いや~、モビーディックの焼き直しかとおもってたけど、まるでちがった。そもそも原題は『海の心』なんだし、そのあたりでわかれよって話だよね。メルヴィルが白鯨に壊された船の生き残りを訪ねて真実を知るという設定なんだけど、カニバリズムもひきおこされた漂流がメインで、どうにも辛い映画だったわ。

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ジャッキー・コーガン

2017年08月22日 21時22分15秒 | 洋画2012年

 ▽ジャッキー・コーガン(2012年 アメリカ 97分)

 原題 Killing Them Softly

 監督・脚本 アンドリュー・ドミニク

 出演 ブラッド・ピット、レイ・リオッタ、リチャード・ジェンキンス

 

 ▽アメリカは国家じゃない、ビジネスだ

 ちょっとしょぼすぎないか?

 ていうか、ラストの台詞も含めて、なんだか空回りしちゃってるような印象が。

 憐れなくらい過疎化したルイジアナ州ニューオーリンズの賭場が2008年の大統領選の真っ最中に強盗に遭い、その犯人を懲らしめるために雇われたブラッド・ピットの話なんだけど、まるで出てこない。途中でマックウィーンの『華麗なる賭け』の「風のささやき」が掛かるけど、自虐や皮肉や滑稽を通り越して無残だ。映画が始まって45分、ブラッド・ピットが登場したのは殺しを請け負う車の中だけで、時間にしたら5分もないんじゃないかしら。たしかにそれから後半はブラピ中心に物語は運ぶし、車をならべてレイ・リオッタを射ち殺す超スローはスタイリッシュだったけど、ちょっとな~。

 ていうか、もともと150分あったものをむりやり97分にしたみたいだから、どうしても話は小さくなってるんだろうし、そもそもサム・シェパードが出てるはずが「いったいどこにいたんだよ?!」てな状態になってる。批評家たちの評判はすごくいいらしいんだけど、う~む、ぼくは批評家にはなれないな。

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パトリオット・デイ

2017年08月21日 22時26分03秒 | 洋画2016年

 ☆パトリオット・デイ(2016年 アメリカ 133分)

 原題 Patriots Day

 監督・脚本 ピーター・バーグ

 出演 マーク・ウォールバーグ、ケヴィン・ベーコン、ジョン・グッドマン、ミシェル・モナハン

 

 ☆ボストンは負けない

 ボストンマラソン爆破事件の顛末なんだけど、犯人の兄の方が捕まるときに住宅街で爆弾投擲を相手に銃撃戦があったことも、捜査のために外出禁止令が布告されて事実上の戒厳令が敷かれていたことも知らなかった。また、その弟が庭先のボートに隠れていたという報道はあったことは知ってたけど、なかなか凄まじい銃撃がなされたことは知らなかったし、事件後にレッドソックスが「Boston」と書かれたユニフォームで試合して『ボストンは負けない Boston Strong』というキャッチフレーズがあったのも知らなかった。

 なんていうか、日本とアメリカの温度差を感じちゃうよ。

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ザ・マミー/呪われた砂漠の王女

2017年08月20日 23時30分47秒 | 洋画2017年

 ◇ザ・マミー/呪われた砂漠の王女(2017年 アメリカ 110分)

 原題 The Mummy

 監督 アレックス・カーツマン

 出演 トム・クルーズ、ラッセル・クロウ、ソフィア・ブテラ、アナベル・ウォーリス

 

 ◇ミイラ再生のリメイク

 その昔「恐怖のミイラ」っていうテレビ番組があったような気がする。どんな物語だったのかまるで憶えてないんだけど、とっても怖かったような気がする。たぶん、この映画みたいな話だったんじゃないかしら。

 しかし結局なんだったんだ。誰も知らなかった墓があって、往事、王の暗殺を企んで反乱をひきおこした女が生き埋めにされたことに怒り現代に蘇るという物語は手垢まみれだし飛行機が墜落していくときなど迫力はあったものの内容はまるで深みがなく、伝奇シリーズの序章という感じだね。

 けど、そんなことはどうでもよくて、なにより恐ろしいのはトム・クルーズだ。ラッセル・クロウより2つ年上とかって信じられない若さだ。

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ヒトラーにあてた285通の手紙

2017年08月19日 23時42分39秒 | 洋画2016年

 ◇ヒトラーにあてた285通の手紙(2016年 フランス、イギリス、ドイツ 103分)

 原題 Alone in Berlin

 監督・脚本 ヴァンサン・ペレーズ

 出演 エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール

 

 ◇285通の内容をもうすこし知りたい

 息子が戦死したときに妻エマ・トンプソンから「あの子が死んだのはあなたと総統と戦争のせいよ」といわれて初めて目覚めて糾弾と自由を求めた檄文を書いてさまざまなところに置いていくのだが途中でこの夫ブレンダン・グリーソンは自分たちの犠牲になって殺された郵便配達女のたちの悪い元夫への済まないという気持ちはないのだろうか。

 かえって元夫を殺したベルリン市警の刑事ダニエル・ブリュールの方が人間的だったりしたけど。また最後に手紙を窓からばらまいて自裁するんだからそうだわね。

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ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命

2017年08月18日 01時37分50秒 | 洋画2016年

 ▽ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(2016年 アメリカ、チリ 95分)

 原題 Jackie

 監督 パブロ・ラライン

 出演 ナタリー・ポートマン、ジョン・ハート、グレタ・ガーウィグ

 

 ▽1963年11月22日、テキサス州ダラス

 グレタ・ガーウィグが好い。もしかしたらナタリー・ポートマンより綺麗なんじゃないかって印象すらある。

 それはさておき、もう、ナタリー・ポートマンの独り舞台で、ジャクリーン・ケネディの完全なコピーをしてみせたのよ、わたし、どう?っていう声が画面から漂いまくってる感じだった。

 だから、ナタリー・ポートマンがいろんな映画祭とかで主演女優賞をとるのはまあわかるんだけど、それ以上でもそれ以下でもなく、JFKが暗殺された後の数日でどんなふうに気持ちが落ち着かせていったかってだけなんじゃないのっていう印象しかない。

 

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スノーデン

2017年08月17日 01時50分13秒 | 洋画2016年

 ◎スノーデン(2016年 アメリカ 134分)

 原題 Snowden

 監督 オリバー・ストーン

 出演 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、シェイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ニコラス・ケイジ

 

 ◎2013年6月、香港

 オリバー・ストーンはあいかわらず上手だ。サスペンスの盛り上げ方っていか引っ張り方をよく知ってる。

 香港のホテルでのアメリカの国家犯罪の暴落というただそれだけのインタビューをスノーデン個人の半生記に仕上げてしまうのは腕ぢから以外の何物でもない。ところでジョゼフ・ゴードン=レヴィットはよくスノーデンを研究してて、いや、ほんとに雰囲気がよく似てた。かれは出演料を寄附したそうだけど、男気があるんだね。

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