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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

目撃者 彼女が見たもの

2024年07月24日 00時34分07秒 | 洋画2017年

 △目撃者 彼女が見たもの

 

 主人公のリンディ・ブースと、彼女の弟の妻アレクシス・メイトランドの区別がつかなかったんだけど、徐々にわかった。とかいってるようじゃ、もう、眼が老いてきてるってことになるんだろうけど、とにかくそれくらいつまらない物語だった。ガレージで父親と許嫁を殺され、その犯人だとして目撃証言をしてしまったという負い目を抱いている女の役なんだけど、それ以上でもそれ以下でもなく、いやまあ、いまどきテレビでもこんな単純な話はドラマ化されんぞ。

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心と体と

2023年11月14日 12時41分29秒 | 洋画2017年

 ☆心と体と(Testről és lélekről)

 

 イルディコー・エニェディっていう監督にはまるでなじみがない。でも、えらくちからのある映像だった。

 だけど、屠殺と肉処理と血の場面をえんえんと撮ることはないだろうに、ともおもった。牛が屠殺されるんだけど、どうしても鹿の夢が描かれる分、屠殺の対象が鹿におもえ、さらにこの主人公のふたりにおもえてくる。このままだと、左手の動かない財務部長ゲーザ・モルチャーと孤独で自閉症ぎみの食肉品質検査官アレクサンドラ・ボルベーイの未来は屍になるしかないのだが、どうする?みたいな。挿入される雌雄の鹿がふたりの共通した夢だってことで、余計にああやっぱりそうだったんだあって気になる。

 それにしても、アレクサンドラ・ボルベーイの洗濯物干し、なんて便利な収納できるんだ。

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ウインド・リバー

2023年02月18日 23時14分47秒 | 洋画2017年

 ◎ウインド・リバー(Wind River)

 

 ジャレミー・レナーがエリザベス・オルセンの熱意にほだされていくあたりですでに物語の全貌は見えてきちゃうんだけど、それでも印象深い物語になってるのはやっぱり「ウインド・リバー」というのがインディアンの居留地のひとつだってことに尽きる。

 それにしてもやけに評判がいいのは、アメリカという法の下の自由と平等を保証されている国の実態が見えてくるっていう作りと、厳しい自然の中の人間はエゴを剥き出しにしてしまうんだっていう諦観みたいなものが胸に刺さってくるせいなんだろうか?

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コロンバス

2022年11月20日 18時16分44秒 | 洋画2017年

 △コロンバス(Columbus)

 

 小津安二郎に触発されたという話だが、小津の映画はこんなにつまらなくないぞ。

 けど、いいこともいう。ゲームと読書、少年と教授、集中力の問題ではなく興味の欠如の問題なのだ。なるほど。

 すべてのカットがアンバランスなシンメトリック、非対称でありながらバランスを保つっていう矛盾するような見事な画面になってるかとおもったら案外そうでもなかった。ジョン・チョーのずっとおりあいの悪かった父親の建築学者がこの旅先で倒れるあたりまでは画面が実にいいんだけど、薬物中毒の母親を抱えた建築家志望のヘイリー・ルー・リチャードソンと知り合ってからはどうも同じ構図が目立っちゃったり、ごくふつうの構図だったり、建築学的な構図が崩れちゃう。これはいただけない。

 で、そんなこともあって一歩まちがえれば退屈な映画になっちゃうだろうな~っとおもって観てたら、まちがった予測だったことがわかった。一歩どころか正面切ってド退屈な映画だったわ。

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君の名前で僕を呼んで

2022年10月03日 00時29分28秒 | 洋画2017年

 △君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)

 

 タイトルがいちばん面白かった。

 まあ、役者たちがみんな綺麗で、結局のところそれだけなんじゃないかって感じがしたかな、ぼくはね。ただ、ティモシー・シャラメが異常に魅力的な容貌だってことはわかるし、その相手のアーミー・ハマーも、父親のマイケル・スタールバーグも、母親のアミラ・カサールも美しいのは認めざるをえないけど。

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アンロック 陰謀のコード

2022年10月02日 00時16分38秒 | 洋画2017年

 ◇アンロック 陰謀のコード(Unlocked)

 

 なんかよくある女性スパイ活劇で、もともと凄腕のはずが完落ち(アンロック)させられなかったといって左遷されてたのがいきなり任務を与えられたかとおもったらそれは生け贄みたいなものだったところ、そのおかげで過去の凄腕ぶりをおもいだして、彼女ノオミ・ラパスに期待をかけていた上司マイケル・ダグラスの下で、得体は知れないながらもたぶん味方なんだろうっていうやっぱり過去のありげな男オーランド・ブルームと過激に戦うっていうのは、もはや、どれをとっても似たような展開になる。

 この頃の流行りはバイオテロの阻止だね。

 あとは、ジョン・マルコヴィッチやトニ・コレットとか役者たちのどはずれた演技を愉しむよりほかにない。

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ブレス しあわせの呼吸

2022年09月30日 00時00分15秒 | 洋画2017年

 ◎ブレス しあわせの呼吸(Breathe)

 

 28歳でポリオを患い、呼吸器を2分はずすと死に至るかもしれないっていう患者を外へ引っ張り出して生活させ、さらにポリオ患者では最長の寿命を獲得するまでにいたるっていうのは凄いことで、それがこの製作ジョナサン・カヴェンディッシュの父親だっていうんだから、さらに驚いた。へ~って感じだが、この父親といろんなところに出かけた息子がそうなのね、とも。

 アンドリュー・ガーフィールドはこのどうしようもなく陰鬱になりそうな世界を大仰な朗らかさで演じ切ってるが、うん、いいんじゃないかな。奥さんのクレア・フォイも悪くなかった。それにしても、アンディ・サーキスはもともと役者で、いまもそうだが、これが初監督らしい。手慣れた感じに見えるけどね。

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ザ・ミスト

2022年09月28日 01時46分29秒 | 洋画2017年

 ◇ザ・ミスト(Dans la brume)

 

 フランス映画とはおもえないようなパニック的な発想なんだけど、まあこうした不条理な世界ってのはやっぱりフランス的なのかな~ともおもっちゃった。ただ、発想として小松左京の『首都消失』とどうちがうんだ?ってのはずっと頭に浮かんでた。

 とはいえ、免疫不全症候群の娘をかつてのテレビドラマのジョン・トラボルタの部屋みたいな感じにして、まあ、円柱を寝かせたようなシェルターに住まわせてるんだけど、謎の霧がはびこる中、この娘を2階においたまま最上階に逃げるっていう設定が上手に活かされてる。

 ただまあ、そりゃおおむね想像はつくんだけど、メトロから砂嵐のような霧があがってきたときにつぎつぎに人が倒れて死んでいくところが撮られてないとね。しばらくしてアパートの住人や町の通りで倒れてる人達見つけて、あ、やっぱりねっておもうわけだけど、ふたりとも最初から霧を恐れてるのはちょっとね。普段だったら霧なんてふつうに吸い込んじゃうじゃんね。

 ぼくとしてはオルガ・キュリレンコがなんとなくお気に入りなもんだから、ああ、もうこんなに大きな娘を持っている母親役をやるようになったのかあっていう妙な感慨もあったんだが。しかし、そうか、この霧の中でも生きている犬がいるのはなんでなんだっておもってたら、なるほど、あの犬も免疫不全症候群だったってことね。しかし、それで娘やその初恋の相手が霧の中だけで生き残れるのか、それとも『グラデュエータ―』みたいなイメージシーンのようにふつうの外に出られるようになるのかはわからないけど、父親がシェルターに入っちゃってつまらないオチからすると、どうもそうじゃないんだねってことはなんとなく想像がつくわね。

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ジーサンズ はじめての強盗

2022年09月26日 23時10分47秒 | 洋画2017年

 ◇ジーサンズ はじめての強盗(Going in Style)

 

 これといって目新しいものはなにもない『お達者コメディ シルバー・ギャング』のリメイク。モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキンのモーニング常連仲間が銀行強盗をしでかす話。かれらがテレビで観てるのはアル・パチーノが銀行強盗をやらかす『狼たちの午後』で、なるほどそのオマージュだったのね。

 

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私は、マリア・カラス

2022年09月22日 01時56分22秒 | 洋画2017年

 ◇私は、マリア・カラス(Maria by Callas)

 

 ぼくは感受性が欠如しているのかもしれないんだけど、この未公開だという映像とインタビューとニュースと歌を編集されたものを観終わっても、これといった感慨がない。なるほど、こういう人生を送った人なのねっていう渇いた感想しかなく、才能に恵まれた女性だったんだなあとか、恋愛はいまひとつ成就させられなかったんだね、もうすこし歌を歌い続けることができたらよかったのにね、とかいうありきたりなことしか思い浮かばないからだ。

 たぶん、マリア・カラスの生きた時代とぼくの時代とが微妙にずれてるからなんだろうなあ。

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モリーズ・ゲーム

2022年09月15日 23時40分40秒 | 洋画2017年

 △モリーズ・ゲーム(Molly's Game)

 

 ま、意見は分かれるよね。

 賭博に興味のない人間が観てもなんかわけがわからんうちに物語が進んでいくだけだな~とおもうかもしれないし、それを単に仕事と割り切り、その賭博場の経営に徹していく生き方と捉えることのできる人間はおもしろいとおもうかもしれないけど、ぼくは観ている内になんだか気持ちが悪くなってきて、これはぼくには合わない類いの人種を描いた映画だなっておもった。

 ジェシカ・チャステインは気張り過ぎだし、ちょっとつらい。

 ただそれだけの感想にしかならないなあ。

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運命は踊る

2022年09月12日 21時54分42秒 | 洋画2017年

 ◎運命は踊る(פוֹקְסטְרוֹט)

 

 サミュエル・マオズの意図したこととは違ってるかもしれないんだけど、人の運命なんてものはとんでもないところに落とし穴が待ち構えていて、それが果たしてほんとうに自分の運命だったかどうかすらわからない、かなり好い加減で曖昧なものなんだよねって話におもえる。

 この日本だって、過去の戦争のときに戦死広報が間違いだったなんてことはよくあった話で、絶望のあとに喜びがやってくるんだけど、それって誰かの犠牲のもとに届けられる喜びであって、それを心から喜ぶなんてことは難しいよねって話だ。いやまあ、繊細な人であればあるほど、こうした不条理には頭を抱えるわね。

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芳華

2022年09月11日 23時41分48秒 | 洋画2017年

 ◎芳華 Youth(Youth)

 

 綺麗に撮るな~。

 物語自体はちょっと古臭くて、文化大革命や中越紛争のときの中国の若者たちっていうのは肉体を駆使した踊りや戦いは凄かったかもしれないけど、文化的にはかなり遅れててそれは恋愛や集団での考え方にも反映してて、いやきついわ~って感じになっちゃう。実際、汗の匂いが臭すぎるからいじめの対象になるとかってところは女の子の汗の匂いってそんなに嫌じゃないじゃんって反論したくなるし、でも、テレサ・テンの人気の凄さにはあらためてびっくりしちゃうし、そのときの赤い布を照明にふわりとかけるだけで世界を変えちゃう演出は見事だし、ダンスのときに肩甲骨ってこんなに自在に動かせるもんなんだって仰天するし、なんといっても戦場のワンカットで丈の高い草叢の戦闘を描いちゃう演出力は、フォン・シャオガン、すごいな。

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輝ける人生

2022年09月10日 23時22分47秒 | 洋画2017年

 ◎輝ける人生(Finding Your Feet)

 

 リチャード・ロンクレインって監督は前作が『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』だったとかって聞くと、ああ、なるほどねって気になる。人生の老境にさしかかったとき、人はどうやってそれからの人生を楽しく過ごしていけるかっていう問題が、かれの中で大きくなってきてるのかなって気がするからだ。

 で、この映画は、とどのつまり、熟年離婚したイメルダ・スタウントンが、ロンドンに住んでるセリア・イムリーの厄介になって、ティモシー・スポールと新たな恋をめばえさせるだけじゃなくて、じじばばのダンス集団に入って人生の輝きをとりもどすって話で、いや、ダンスは観てて照れるし、ほかになかったのかって気になるけど、これだけ派手にやるから映画として絵になるんだろうね。でもな~。

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イーディ 83歳はじめての山登り

2022年09月09日 22時52分31秒 | 洋画2017年

 ☆イーディ 83歳はじめての山登り(Edie)

 

 サイモン・ハンターって監督は知らなかったんだけど、手堅い演出をするんだね。

 ていうか、主役のシーラ・ハンコックも、その娘役のウェンディ・モーガンも初めて知った。ふたりとも綺麗だな。ただ、ウェンディ・モーガンが母親の日記を読んで、自分が要らない子だったんじゃないかっていうような突発的な感情を爆発させる場面は要らなくないか?この母子の亀裂は、シーラ・ハンコックが山で遭難するあたりまで引き摺って、母親が行方不明になってそれを追いかけてきた娘と和解するっていうくだりが描かれるのかとおもってたら、まるでなかった。え?って感じだけど、ま、いいか。

 ケビン・ガスリーがいまひとつ中途半端な設定で、もうすこし人を好くして、みんなに利用されながらもこの閉鎖的な田舎を出ていきたいのに、エイミー・マイソンにひきずられて家族の一員にさせられてアウトドア用品店の経営をさせられそうになってる青年にして、でも心のどこかでは山の案内人として生きていきたいとおもってるような素朴さを抱えながら苦しんでるって感じにしてほしかった。そうすれば、なんとなくエイミー・マイソンとは別れるんだろうな~としかおもえないラストももうすこしはっきりした感じになったんじゃないかっておもうんだけどね。

 でも、スコットランドのスイルベン山、ひょっこりひょうたん島をおもいだしたぞ。

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