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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

西鶴一代女

2009年01月31日 02時46分52秒 | 邦画1951~1960年

 ☆西鶴一代女(1952年 日本 137分)

 英題/Life of Oharu,The Gallant Lady

 監督/溝口健二 音楽/齋藤一郎

 出演/田中絹代 三船敏郎 山根寿子 菅井一郎 松浦築枝 進藤英太郎 沢村貞子 宇野重吉

 

 ☆溝口vs三船vs新東宝

 終盤、琴の乱奏から女声の読経から笙篳篥の神仏習合まで、映像だけでなく音楽でも混沌を現す凄さはさすが溝口健二としかいいようがない。

 市川崑の『映画女優』と合わせて鑑賞すると、あらためて、市川崑は吉永小百合を使って溝口健二と田中絹代に挑戦しようとしたんだな~って感じがひしひしと感じられる。まあ、けど、これについては田中絹代という当代の名女優を起用した方にちょっと分がないでもない。

 とはいえ、吉永さんもかなりがんばってた映画だったし、そういうのをおもいだしつつ観ていくと、化け猫の件りはどうしたところでやっぱり緊張しちゃうよね。

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チーム・バチスタの栄光

2009年01月27日 23時40分19秒 | 邦画2008年

 ◇チームバチスタの栄光(2008年 日本 118分)

 監督/中村義洋 音楽/佐藤直紀

 出演/竹内結子 阿部寛 吉川晃司 井川遥 野際陽子 池内博之 玉山鉄二 平泉成 國村隼

 

 ◇ソフトボールは要らない

 吉川晃司が妙に懐かしいとおもってしまったのは、たぶん、ぼくが芸能にまるで疎いからなんだろうけど、この時期から後、吉川晃司のさまざまな映像関連への出演は俄然増えたように感じるんだけど、そうじゃないのかしら?

 別に吉川晃司のことを書こうとおもってるわけでもないんだけれど、昔よりも断然かっこよくなった気がするんだよね。

 竹内結子は上々の仕上がりで、華やいでた。原作を読んだことがないからわからないんだけど、もともと、この役はテレビで伊藤淳史が演じているように田口公平っていう愁訴外来の男性医師だったんだね。それを脂の乗っていた竹内結子を起用して女性にして、白鳥圭輔こと阿部寛とのコンビにしようとした意図はよくわかる。

 ただ、動機の陳腐さが却って真実味なのかもしれないんだけど、軽味と滑稽味とをはき違えてるような、そんな感じがしないでもない。全体的に重さが無さ過ぎるのはどうかなとおもったりもするんだ。

 阿部寛の演技についてはもうなにもいうことはなくて、彼は彼なりにこういうキャラを創り出そうと一所懸命になってるわけだから、これでいいのだろう。

 でも、あれだよね、チームバチスタというのはなにも田口公平と白鳥圭輔のコンビ名でもないのに、ヒットするというのは恐ろしいもので、この名称がそのまま世間に知れ渡り、以後のシリーズ名になっちゃうわけだから、いやまったくたいしたもんだ。

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エクソシスト ビギニング

2009年01月22日 16時55分18秒 | 洋画2004年

 ◇エクソシスト ビギニング(2004年 アメリカ 114分)

 原題/Exorcist:The Beginning

 監督/レニー・ハーリン 音楽/トレヴァー・ラビン

 出演/ステラン・スカルスガルド ジェームズ・ダーシー イザベラ・スコルプコ ラルフ・ブラウン

 

 ◇ようやく完結

 内容の繋がる1と2の過去に遡ることで、やっと繋がったとおもえば、なんのことはない。これはこれで独立した物語だった。

 まあ、第1作の『エクソシスト』が傑作として名を残しているかぎり、いつかは誰かが作らないといけない状況になるのは予測はついていたものの、なんでアクション専門のレニー・ハーリンが監督をしないといけないのかって話だ。

 けど、これはややこしい事情があって、もともとジョン・フランケンハイマーが監督するはずだったらしい。ところが亡くなってしまったために代役を立てねばならなくなり、それがポール・シュレイダーだったそうなんだけど、シュレイダーの撮った作品はあまりにも社会的な単調映画で、とても恐怖映画とはいえず、結局のところレニー・ハーリンが起用されてほとんと撮り直ししてこの作品ができたんだそうな。

 シュレイダーの作品は『ドミニオン』っていうまったく別な作品として公開されたらしいんだけど、セットは同じだし、登場人物もほとんど同じだったりして、なんとも奇妙な展開になってる。

 ちょっと、味噌をつけた観があるよね。

 ただまあ、悪魔の為に村が分裂して全滅した上に或る筈のない教会が建てられているという設定だけは良だった。

 それと、やけにカメラが好いんだよね。なんでこんなに色調が黄色っぽくて美しいんだとおもってたら、なんのことはない、大御所ヴィットリオ・ストラーロだった。なるほど、この映画のいちばんいいところは絵かってことにようやく気づいたのであります。

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伊豆の踊子(’74)

2009年01月20日 18時07分22秒 | 邦画1971~1980年

 △伊豆の踊子(1974年 日本 82分)

 監督/西河克己 音楽/高田弘

 出演/山口百恵 三浦友和 中山仁 佐藤友美 石川さゆり 浦辺粂子

 

 △ぶっとぶぞ、ラストカット

 当時を回想するのは再登場の宇野重吉。といっても、ナレーションだけだけどね。

 おもってみれば、この作品は、中学校のときに友達をこぞって出かけた最初の映画じゃないかっておもう。

 あ~、年食ったな~っていう感慨はおいといて、一高生が旅をした時代の船とはおもえないくらいに立派な客船に乗って帰っていくラストは、当時、すんなりと観ちゃってたけど、その後がなんともすごい。アイドル映画のラストカットとは思えない衝撃だ。

 なんつっても、百恵ちゃんが踊りを見せていると、酔客にいきなり抱きすくめられ、きゃっという叫びも束の間、ぱんっと終わっちゃうんだから、いやあ、西河克己、根性みせたな~。

 まあ、そんな反骨的な監督魂はさておき、百恵ちゃんも友和さんも初々しい。

 当時、百恵ちゃんが風呂桶から飛び出し、友和さんに手を振るところが話題になって、肉襦袢を着て撮影しただのなんだのという芸能記事を読んだおぼえもある。それに興奮したとかいうんじゃなくて、へ~そんなことするんだ~って感心しただけだったような気がする。

 そもそも、活字嫌いの僕は、たぶん、いまだに『伊豆の踊子』を読んだことすらないだろうしね。最初の数行でひよった憶えはあるから、それなりに挑戦しようとしたのかもしれないんだけど、当時のぼくは、そんな体たらくさだった。

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伊豆の踊子(’63)

2009年01月18日 22時57分40秒 | 邦画1961~1970年

 △伊豆の踊子(1963年 日本 87分)

 監督/西河克己 音楽/池田正義

 出演/吉永小百合 高橋英樹 浜田光夫 南田洋子 十朱幸代 宇野重吉 浪花千栄子 大坂志郎

 

 △最初と最後は現代の東京

 市川崑の「映画女優」で吉永さんが出演するのは、五所平之助の監督した1933年版なんだけど、吉永小百合として出演したこちらの作品はそれからぴったり30年後に作られた。なるほど、田中絹代と吉永小百合は30年の隔たりがあるのか~とあらためておもった。

 ただ、五所平之助&田中絹代版は、無声映画ながら妓女の脱走から金鉱と旅館の後継者争いまで実に多彩で、学生の恋の諦め方も納得できるんだけど、こちらの西河克己&吉永小百合版は、高橋英樹演じる東大生がなんだか卑怯なんだよね。

 まあそれを講義で懺悔する宇野重吉っていう構図なんだけど、物語ってのはそうじゃないだろっていいたくなっちゃうんだけど、まあ、余計なお世話か。だろうなあ。だから、現在の学生、浜田光男と吉永小百合はけらけら楽しそうに走っていっちゃうんだもんな~。

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椿三十郎(2007)

2009年01月15日 18時42分45秒 | 邦画2007年

 ▽椿三十郎(2007年 日本 119分)

 原作/山本周五郎『日々平安』

 監督/森田芳光 脚本/菊島隆三 小国英雄 黒澤明 製作総指揮/角川春樹

 撮影/浜田毅 美術/小川富美夫 音楽/大島ミチル

 出演/織田裕二 豊川悦司 松山ケンイチ 鈴木杏 佐々木蔵之介 藤田まこと

 

 ▽悪口は書きたくないけれど

 活動屋の矜持があれば再映画化なんて考えないと信じてたんだけどね。

 でも見ないで批評してはいかんから、見た。腹が立つより、悲しくなった。独創性は皆無で、旧作をデジタル・カラー化した方が遙かに良かったんじゃないかと。ていうより、この後、椿三十郎といったとき、人はどちらの映画をおもいうかべるんだろう?

 そんな疑問を抱かせてしまうこと自体、この映画は罪深い。

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映画女優

2009年01月13日 16時33分05秒 | 邦画1981~1990年

 ◇映画女優(1987年 日本 130分)

 英題/Actress

 原作/新藤兼人『小説・田中絹代』

 監督/市川崑 製作/田中友幸 市川崑 脚本/新藤兼人 日高真也 市川崑

 撮影/五十畑幸勇 美術/村木忍 音楽/谷川賢作 ナレーター/三國一朗 映画史監修/田中純一郎

 出演/平田満、岸田今日子、井川比佐志、三條美紀、浜村純、沢口靖子

 

 ◇追悼市川崑その24

 映画の中で映画人が出てくるもんだから、それはそれで堪能できる。

 田中絹代:吉永小百合

 母ヤエ:森光子 姉玉代:横山道代 伯父源太郎:常田富士男

 城戸四郎:石坂浩二 清水宏:渡辺徹 五所平之助:中井貴一

 溝口健二:菅原文太 依田義賢:佐古雅誉 小津安二郎:小木茂光

 ていう感じだ。

 過去の映画フィルムが流れる際、スメタナの『モルダウ』の主旋律だけ奏でられるような気がしたんだけど、クレジットタイトルに入ってなかったから、勘違いかもしれない。

 吉永小百合の演技がちょっとばかり過剰な気もするんだけど、市川崑の演出なんだろか?

 まあ、そんなこまかいことはともかく、モデルになってる田中絹代の円熟味が増していくのは、この時代より後のような気もするのは、ぼくがそういう時代の人間だからなんだろね。

 凄いのは、50年以上の時を経て、上原謙と高田浩吉が本人役で出演してることだ。崑さん、さすがだな。

「心中をするつもりの先生と心中しよう」とする田中絹代が、クランクアップした後の川で迎えるラストシーンは、いや~じつによかった。

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バットマン ビギンズ

2009年01月12日 11時16分17秒 | 洋画2005年

 ◎バットマン ビギンズ(2005年 アメリカ 141分)

 原題/Batman Begins

 監督/クリストファー・ノーラン

 脚本/クリストファー・ノーラン デイヴィッド・S・ゴイヤー

 原案/デイヴィッド・S・ゴイヤー 撮影/ウォーリー・フィスター

 美術/ネイサン・クローリー 衣装デザイン/リンディ・へミング

 音楽/ハンス・ジマー ジェームズ・ニュートン・ハワード

 出演/マイケル・ケイン リーアム・ニーソン モーガン・フリーマン ゲイリー・オールドマン

 

 ◎ブルース・ウェインは、いかにしてバットマンとなったか

 5作目にしてようやく出来てきたか~って感じだけど、まあ、どんなものを撮っても、クリストファー・ノーランはクリストファー・ノーランだった。

 バットマンのフアンのひとりとしては、かれの出自と蝙蝠の仮面を被るまでの軌跡を知りたいとおもうのは、いわば当然のことなんだけど、同時にそれをしてしまうと、監督にとっての物語として存在してしまうことになることは、ほぼ、まちがいない。

 もちろん、この物語の元になっているのは、アメリカン・コミックの『バットマン・イヤーワン』なんだそうだけど、でも、クリストファー・ノーランの脳髄に描かれたものであることはまちがいない。

 それが定着してしまうのは功罪なかばするような気もするんだけど、とはいえ、おもしろかった。

 クリストファー・ノーランの趣味というか、常に変わらないモチーフというか、縦の構図はここでもちゃんと活かされてて、この縦穴はいわば人生のどん底に落とされた者にしかわからない、どうしようもない絶望感がひしひしと漂ってる。

 そこから這い上がろうとするクリスチャン・ベイルを、叱咤するケイティ・ホームズとの対比もまたいいしね。

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ビルマの竪琴(1985)

2009年01月11日 23時15分58秒 | 邦画1991~2000年

 ☆ビルマの竪琴(1985年 日本 133分)

 原題/The Burmese Harp

 原作/竹山道雄『ビルマの竪琴』

 監督/市川崑 脚本/和田夏十 撮影/小林節雄 美術/阿久根厳

 音楽/山本直純 音楽補佐/山本純ノ介 竪琴/山畑松枝

 合唱/東京混声合唱団 明治大学グリークラブ 明治大学混声合唱団

 演奏/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 出演/中井貴一 石坂浩二 北林谷栄 渡辺篤史 常田富士男 菅原文太 浜村純

 

 ☆追悼市川崑その23

 ぼくはずいぶんかたくなで、ビルマという呼称をやめる気はない。

 これから先も、日本国政府がミャンマーと呼んでいる国を、アウンサン・スーチー女史が「Burma」と呼んでいる以上、ぼくも、それにならうつもりだ。

 さて。

 先月つまり2008年12月17日に、水島上等兵のモデルとされる僧侶の中村一雄さんが亡くなった。老衰で、群馬県川場村の病院で死去されたそうだ。中村さんは、20名の部隊で捕虜収容所を回って合唱をし、それが小説にされた際のモデルだそうなんだけど、原作者の竹山道雄はビルマに行ったこともなくすべて想像だといっていたらしい。

 おそらくは中村さんのことをどこかで耳にしたことが記憶に残っていたんだろうけど、そもそもこの小説は児童文学で、ぼくにしてはめずらしく自分で購入して読んだ本で、なんとも時代を感じさせる中身だった。

 ただ、いつだったか、ぼくは、こんなことを聞いた。五筆了以知とかいう陸軍の兵隊さんがいて、かれはオーケストラの指揮ができたものだから、ビルマ戦線に派遣されていた頃、現地で日本兵のオーケストラを作り、その楽隊の指揮者を務めて、各戦線を転進していったんだと。この五筆さんって人にはかなり興味があるんだけど、まるでわからない。

 誰か、知ってる人とかいないかな~。

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バンテージ・ポイント

2009年01月10日 10時52分04秒 | 洋画2008年

 ◎バンテージ・ポイント(2008年 アメリカ 90分)

 原題/Vantage Point

 監督/ピート・トラヴィス 脚本/バリー・L・レヴィ

 撮影/アミール・モクリ 美術/ブリジット・ブロシュ

 編集/スチュワート・ベアード シグヴァルディ・ジェイ・カラソン ヴァルディス・オスカードゥティル

 衣装/ルカ・モスカ 音楽/アトリ・オルヴァルッソン

 出演/デニス・クエイド シガニー・ウィーヴァー ウィリアム・ハート マシュー・フォックス

 

 ◎作れるようで作れない

 8つの視点できわめて短い時間を描き切るのは難しい。これが何日にもわたった話だったら、なんの問題もない。ふつうの3人称ってことになるわけだし、おなじ場面を視点を変えて撮影したところで、観客はまったく意に介さないだろう。

 でも、暗殺事件の前後数十分という時間帯の中で、8つの視点を設けるっていうのは、かなりの冒険だ。

 ここへもって出演者も渋めで、揃えてる。好感は持てるけど、これもまた冒険であることには変わりない。

 車の追撃は、結局、半径200m程を回っただけかいっていう拍子抜け感はあるものの、迫力は凄い。

 ま、たしかに、犯行理由と背景は語られなさすぎではあるんだけどね。でも、そんなことはおいといていいんじゃないかって気もする。映画っていうのは、なによりもまず、映像に魅せられなくちゃ駄目で、そうしたところ、この作品はめちゃくちゃ説得力があった。

 映画にかぎらず、モノづくりってやつはつねに冒険してなくちゃだめなんだよ、たぶん。

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ダイ・ハード4.0

2009年01月09日 15時33分22秒 | 洋画2007年

 ◇ダイ・ハード4.0(2007年 アメリカ 129分)

 北米題/Live Free or Die Hard

 英題/Die Hard 4.0

 監督/レン・ワイズマン 脚本/マーク・ボンバック

 原案/マーク・ボンバック、デイヴィッド・マルコニー

 撮影/サイモン・ダガン 美術/パトリック・タトポロス

 衣装デザイン/デニース・ウィゲート 音楽/マルコ・ベルトラミ

 出演/ブルース・ウィリス ジャスティン・ロング ティモシー・オリファント シリル・ラファエリ

 

 ◇刈り込み過ぎ?

 育った娘メアリー・エリザベス・ウィンステッドとの絆に、もうすこし重点があってもいい感じだし、とにもかくにも刈り込み過ぎてて、物語を追っていくだけでかなり疲れた。

 正悪が明確だからなんとかついていけるんだけど、サイバーおたくのおじんがいきなり登場するのは、ちょっとばかりご都合主義かな~ていう気もしないではない。

 まあ、めまぐるしいのが疲れるのは、ぼくもブルース・ウィリスのはまり役ジョン・マクレーンのように、徹底的なアナログじじいだからかもしれないけどね。

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ジャンパー

2009年01月07日 17時57分53秒 | 洋画2008年

 ◇ジャンパー(2008年 アメリカ 88分)

 原題/Jumper

 原作/スティーヴン・グールド『Jumper』

 監督/ダグ・リーマン 撮影/バリー・ピーターソン

 脚本/デヴィッド・S・ゴイヤー ジム・ウールス サイモン・キンバーグ

 美術/オリヴァー・スコール エリノア・ローズ・ガルブレイス

    ピーター・グランディ トム・ヴァレンタイン

 特殊効果/ダニエル・アコン イヴ・デ・ボノ リチャード・ブライアン・ダグラス

 視覚効果/マイケル・アンジェロ ジェフ・アサートン ジャロッド・アヴァロス

 衣装デザイン/マガリ・ギダッチ 音楽/ジョン・パウエル

 出演/ヘイデン・クリステンセン レイチェル・ビルソン サミュエル・L・ジャクソン

 

 ◇テレポーテーション追走劇

 いやまあ、とにかくめまぐるしい。

 映像が凄いのはわかるんだけど、優先されすぎはちょっと辛い。

 子役達の母親役に子役出身のダイアンレイン、という配役はなんだか嬉しくなってはくるんだけど、物語は背景があると匂わせるだけで、ちょいと安直かな~とも。

 展開の速さだけが優先されて、特異体質に対する葛藤もそんなに感じられないし、ジャンパーを追いかけるパラディン(聖戦士)っていう、いわゆる特殊能力を身につけてしまっている種族同士の、永遠に続いていくんじゃないかっていう戦いの、根本的な謎解きが曖昧な気もするんだよね。

 そのあたり、もうすこしじっくりと描いてくれればよかったのにね。

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おはん

2009年01月01日 09時35分37秒 | 邦画1981~1990年

 ◇おはん(1984年 日本 113分)

 英題/Ohan

 原作/宇野千代『おはん』

 監督/市川崑 脚本/市川崑 日高真也 製作/田中友幸 市川崑

 撮影/五十畑幸勇 美術/村木忍 衣裳/斉藤寛

 音楽/大川新之助 朝川朋之 主題歌/五木ひろし『おはん』

 出演/吉永小百合 石坂浩二 大原麗子 ミヤコ蝶々 常田富士男 横山道代

 

 ◇追悼市川崑その22

 たぶん、これが宇野千代の抱いていたっていうか、当時の日本的な男女の抜き差しならない関係なのかもしれない。

 まあ、それは現代でもひと皮むけばこんなものかもしれないけど。

 ただ、ふたりの女を対比するのに、ジトジトとトカラカラはとっても分り易いんだけど、主役の吉永小百合がいかにもジメジメと陰気臭くて、情欲にばかり貪欲な雰囲気が醸し出されてて、もうどうしようもなく陰湿な印象を受ける。

 こういう女は、旦那の石坂浩二だって困るかもしれないし、なんだか厭なんじゃないかな~とおもってみてたら、案の定、みょうちくりんな関係になってくる。

 愛人の大原麗子と一緒になったのはいいけど、だんだん本妻の吉永小百合の情にほだされ、愛人の眼を盗んで本妻と逢い引きするっていう関係だ。ほんまかいなってな展開なんだけど、これがやっぱり文学的情緒ってやつんだろう。

 原作を読んでいないから、かなりいい加減なことを書いてる気もするんだけど、最後の土壇場で、石坂浩二の屈託の無さというか、罪の意識の無さというか、なんにも考えてない表情は凄い。

 結局のところ、男の女の関係ってのは、こういうものなのかな~と。

 現実味を感じてしまった次第です。

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