◎オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体(Operation Mincemeat)
コリン・ファースの妻子が米国に疎開するまでが長い。チャーチルの登場からでいいんじゃないか?っていう意見は、この物語が戦争スリラーなのかそれとも戦争ロマンスなのかってところで、ちがってくる。後者なんだから、もうすこし短めながらももうすこし夫婦の仲をつきつめた場面があってもいいような気がしないでもない。
シチリア上陸のトロイの木馬作戦とかって捏造書類を持った死体を漂着させてヒットラーをあざむくっていうのは、ほんとにあったことで、そうかシチリア上陸の裏話だったのかあと納得はするんだけど、その作戦を発案する瞬間が描かれてないのはちょっともの足りない。とはいえ、作戦があらかじめ出来てないとケリー・マクドナルドやマシュー・マクファディンとの三角関係やら死体の出所やらの細かいところが描けないし、物語の展開がうまい分、これ以上話を足すのは難しいかなあ。
ただ、M、Q、腕時計の秘密兵器、ジョニー・フリン演じるイアン・フレミングの小説、このあたりはまあ面白いとしよう。
スパイはなにもスペインだけにいるとはかぎらないし、弟マーク・ゲイティスがソ連のスパイかもしれんとか、英国大使感付き武官ニコラス・ロウが二重スパイなのか三重スパイなのかはわからんけどナチスのスパイ武官のちんちんをズボンの上からでも手玉に取れる手技を見せたりとすごいが、そうか、客のあらかたを知ってるバーテンダーまでスパイなのか。これは、おもしろい。
途中で「あ、でも、バーテンダーが彼女パムのいつわりの写真を手に入れてるんだけど、その事実をわざわざいいに来るというのも変だ、たとえ一部でもおかしいところがあればその情報はすべて否定すればいいだけのことで内情をたしかめる必要はない。なるほど」と気づかされるのが、この脚本のうまいところだね。ところで、このパムなんだけど、実際に当時の作戦で使用された写真を見ると、ケリー・マクドナルドにまじで似てる。これはすごいわ。