Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

カッコーの巣の上で

2007年04月30日 01時13分33秒 | 洋画1971~1980年

 ◎カッコーの巣の上で(1975年 アメリカ 133分)

 原題/One Flew Over the Cuckoo's Nest

 監督/ミロス・フォアマン 音楽/ジャック・ニッチェ

 出演/ジャック・ニコルソン ウィル・サンプソン クリストファー・ロイド ダニー・デビート

 

 ◎持ち上げた者には奇跡が起きる

 ちからづよいな~。いつ観ても、ちからづよい。

 この作品について感想だのなんだのというのは余計な話で、観る者それぞれがあれこれおもえばいいだけのことだ。正解はどこにもない。けど、ちからづよい。

 ジャック・ニッチェの音楽がまた土俗的な強さを聞かせてくれてるって気もするけど、まあそれはさておき、the cuckoo's nestっていうのは、精神病院のことなんだってね。cuckooって単語がcrazyを意味してるらしい。なるほど、だから郭公の巣なのか。

 で、ぼくはおもうんだけど、いつもいつも、テレビでは「きちがい」と発言したタレントとかがいると司会者が「ただいま、不適切な発言がありました」と謝るのはなんでなんだろう?

 精神異常者だったら不適切じゃないんだろうか?

 精神障害者っていうのが適切なんだろうか?

 でもさ、この映画の場合、われらがジャック・ニコルソンは、精神異常を装って刑務所から精神病院に移送されてきて逃げ出す機会をうかがってると、それがばれて精神的な廃人にされちゃう。

 だけど、このとき、かれの周りにいる者の多くは精神病を患ってる人々だってことはわかるし、それとチーフことウィル・サンプソンは実はそうではなく喋れない(ここでは、聾唖というべきなんだろうか?)ふりをしているのもわかる。

 でも、ニコルソンを廃人に追い込んだ連中はどうなんだろ?

 かれらのような存在をして「きちがい」というんじゃないのかな?

 誰だって、精神的な障碍を持っている人を指さして罵倒するような真似はしない。

 そういうことをしでかしながらも精神病ではなくきわめて正常な精神であるという人間をして、きちがいというんじゃないかなっておもうんだよね。だから、たぶん、世の中の人はそういうふうに、きちがいって言葉を使ってるんじゃないのかな。

 狂ってるのはいったい誰なのか、狂ってるっていうのはどういうことをいうのか、そういうことを突きつけてくるんだよね、この映画は。

 

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トキワ荘の青春

2007年04月29日 13時27分07秒 | 邦画1991~2000年

 ◇トキワ荘の青春(1996年 日本 110分)

 監督/市川準 音楽/清水一登 れいち

 出演/本木雅弘 阿部サダヲ 古田新太 生瀬勝久 桃井はるこ 時任三郎 甲本雅裕 北村想

 

 ◇当時は、豊島区椎名町5-2253

 ぼくがトキワ荘をよく見上げていたのは1978年から82年までの4年間で、しばらく行ってないな~とおもってたら、ある日、解体されてた。

 というのも、ぼくは豊島区南長崎2丁目に住んでて、現住所だとトキワ荘は南長崎3丁目にあるものだから、大学に行く途中その前を通った。その頃、トキワ荘のまわりは民家が建て込んでて、美容院だったか和菓子屋だったかの横の道を入ったところが正面玄関だった。だから、知ってる人間じゃないとうっかり見過ごしてしまいそうなアパートだった。

 けど、その頃も手塚治虫が住んでた時代のまんまで、いっさい手は入れられてなかった。ちなみに住んでたのはほとんどが大学生で、たぶん、トキワ荘の過去について知ってる人は少なかったんじゃないかしら。

 で、映画なんだけど、もっくんの寺田ヒロオは雰囲気がよく似ててよかったよ。

 石森章太郎や藤子不二雄が売れっ子になっていって赤塚不二夫が取り残されていく悲哀もよくわかったけど、でも、もうすこしほかの漫画家や編集担当のことが個人的には知りたいところではあったかな。

 もうひとついえば、かれらの時代のトキワ荘とその周辺は、ぼくの時代ともまるで異なってて、ほんと別な国みたいな風景だったんだな~としみじみおもった。

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たそがれ清兵衛

2007年04月28日 00時52分07秒 | 邦画2002年

 ◎たそがれ清兵衛(2002年 日本 129分)

 監督/山田洋次 音楽/冨田勲 主題歌/井上陽水『決められたリズム』

 出演/真田広之 宮沢りえ 岸惠子 田中泯 丹波哲郎 中村梅雀 大杉漣 深浦加奈子

 

 ◎藤沢周平『たそがれ清兵衛』『竹光始末』『祝い人助八』より

 ひさびさに、丁寧な映画を観たような気がする。

 某シリーズを撮らずにいれば、山田洋次もこういう方面へと作品が向いていったのかもしれないけど、人の運命ってのは、ほんと、わからない。

 ずっと前、それも30年くらい前のことだけど、高倉健で山本周五郎の長屋物を撮るとか撮らないとか、そんな話があったような気もするんだけど、もう、うろおぼえだ。

 岸恵子の締括りがとっても好印象で、映画のイメージのすべてひっさらっていくような強さがあった。貫録というのは、こういうものなんだろか。

 以下、追記。

 2010年くらいだったか、信州の上田に行った。

 そしたら、町中を流れてる川のほとり、上田城の外堀のほとりといった方がもっと正確なのかもしれないけど、ともかくそこに行ったとき、その場所がこの作品のロケ現場だってことを知った。

(ああ、そういえばそうだわ)

 映画の情景がありありと浮かんで、なんだか、嬉しくなったもんだ。

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マトリックス リローデッド

2007年04月27日 01時04分50秒 | 洋画2003年

 ◇マトリックス リローデッド(2003年 アメリカ 138分)

 原題/The Matrix Reloaded

 監督・脚本・製作総指揮/ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー

 音楽/ドン・デイヴィス

 出演/キアヌ・リーヴス ローレンス・フィッシュバーン キャリー=アン・モス

 

 ◇贅沢なつなぎ

 1作が成功して3部作を作ろうとすると、どうしても、2作目はつなぎになっちゃう。

 だけでなく、3作で完結させるための伏線やら、新世界観の構築やらで、どんどん難解になってくる。

 たいがい、3部作の中でいちばん難しいのが、2作目だ。それが裏目に出たんだろか、せっかく、モニカ・ベルッチを起用してるのに、ちょっと活かされてないのよ。

 でも、不満といえばそれくらいなもので、現実世界と仮想世界の設定をより進化発展させて、ようやく全体像が完成したっていう観は否めない。人工知能アーキテクト、プログラム・オラクル、地下世界ザイオン、ホバークラフトシップ・オシリス、漂流プログラム・エグザイル、反マトリックス勢力の心の支柱オラクルとセラフ、ロボット・センチネル…。

 もうありとあらゆるものが一気にぶちこまれて、観客はこうしたマトリックス世界を理解するだけで大変だったとおもうんだけど、現代の観客はすんなりと理解しちゃえるんだろうか?

 だとしたら、ぼくはもう年寄りだ。

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パニック・イン・スタジアム

2007年04月26日 23時17分29秒 | 洋画1971~1980年

 ◇パニック・イン・スタジアム(1976年 アメリカ 115分)

 原題/Two-Minute Warning

 監督/ラリー・ピアース 音楽/チャールズ・フォックス

 出演/チャールトン・ヘストン ジョン・カサヴェテス ジーナ・ローランズ ボー・ブリッジス

 

 ◇タイムアウト

 NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の試合では前半と後半の終了2分前にタイムアウトが自動的に挿入される。その2分の持ち時間が原題のTwo-Minute Warningになってる。

 ま、それはさておき、この時代はつぎつぎに大作が作られて、たいがい、チャールトン・ヘストンが顔を出してる。すごいね。

 実は、ぼくは、チャールトン・ヘストンとは話をしたことがある。

 NHKが制作した『クライシス2050』っていう超大作映画のキャンペーンに来たときだ。

 モーゼが来た、とおもった。

 ま、そんなことはさておき、今観ると案外間延びしている観がある。屋上に立て籠もっているにしてももうすこし撮り方がなかったのかっておもえるくらいのゆったり観なんだけど、まあ、この感覚が当時と今の差なんだろうね。

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男の紋章

2007年04月25日 01時28分48秒 | 邦画1961~1970年

 △男の紋章(1963年 日本 96分)

 監督/松尾昭典 音楽/鏑木創 主題歌/高橋英樹『男ごころ』

 出演/高橋英樹 大坂志郎 和泉雅子 小池朝雄 轟夕起子 名古屋章 藤岡重慶

 

 △昭和5年、どこかの港町

 もはや、これは記録映画に近いかも。

 ていっても、劇映画が古くなると、そのほとんどが記録映画に近くなってくるんだけどね。けど、昔の邦画はセット撮影が主体だし、ロケーションもかなり決まったところでなされてたりするものだから、なかなか、当時の風景をおさめたフィルムにはお目にかかれない。

 ところが、これはめずらしく、撮りたい放題に撮っていた邦画の中でも、制作当時のロケ現場がはっきりしてる。

 昭和38年、知多半島の半田市や常滑市などでロケが行われてて、その風景っていうか、寺田産業や中埜酢店の看板、梅定の黒白幕、常楽寺や船方橋などがしっかりとわかる。

 これって、貴重な記録映像だとおもうんだよね。知多半島の人は誰も知らない話なんだけど。

 ちなみに、河原の決闘の場面は、三多摩の調布市から狛江市にかけての多摩川の河原。狛江高校の裏手にある河川敷で、日活撮影所からは徒歩圏内だ。このあたりは当時も今もあんまり変わっていないから、記録映像というのはあてはまらないかもしれないけどね。

 ただな~、ぼくは、侠客物は好きではないし、呪縛から解き放たれない後継ぎの話も趣味じゃないもんだから、中身については、なんともいえない。

 あ、でも、和泉雅子はとっても可愛いらしかったわ~。

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雲霧仁左衛門

2007年04月24日 00時37分36秒 | 邦画1971~1980年

 ◎雲霧仁左衛門(1978年 日本 160分)

 監督/五社英雄 音楽/菅野光亮

 主演/仲代達矢 岩下志麻 夏八木勲 市川染五郎 松本幸四郎 丹波哲郎 松坂慶子

 

 ◎享保7年(1722)、江戸深川

 雲霧仁左衛門っていう盗賊がほんとにいたかどうかはわからない。

 天保時代に創作されて、歌舞伎の『竜三升高根雲霧(りょうとみますたかねのくもきり)』とかが上演され、手下には小頭の木鼠吉五郎のほか、おさらば伝次、山猫三次、因果小僧六之助、洲走熊五郎とかがいたっていうんだけど、まあ、このあたりもほとんどが創作の域を出ない。

 で、この映画だ。

 よくもまあこれだけ役者を揃えたもんだってくらい、松竹の気合が入ってる。

 くわえて、音楽がいい。菅野光亮は『砂の器』の『宿命』も作曲してるけど、こっちもいいんだわ。なんていうんだろ、劇画調っていうのか、とにかく心が躍ってくる。

 それと、まあなんとも舞台のような長台詞。仲代、染五郎、幸四郎の三人はここぞとばかりの踏ん張りで、これがまた妙に音楽と相俟って格好いい。

 ただ、外連味が先に立ち、ていうか、外連を除いたら何にもなくなってしまいそうな、いってみれば恰好つけただけの顔見せ映画な上に、首や樽とかが吹っ飛ぶのは、ありゃ~こりゃだめだ~っていうくらいちゃっちい。でもまあ、ご愛嬌かな。顔見せだし、丹波さんとかおもいきり楽しんでるから。

 ちなみに、大学のとき、この映画が大好きで、池波正太郎っていう作家がいるんだ~とおもったのは、このときからかもしれない。

 けど、なんとも恥ずかしい話ながら、ぼくは、ほんと、活字が苦手で、実は「定本池波正太郎全集」もなんだか見栄だけ張って全巻買ったんだけど、一度も開いたことがない。

『雲霧仁左衛門』くらいは読めばいいのにね。

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隠し剣 鬼の爪

2007年04月23日 01時28分42秒 | 邦画2004年

 ◇隠し剣 鬼の爪(2004年 日本 131分)

 監督・脚本/山田洋次 音楽/冨田勲

 出演/永瀬正敏 松たか子 高島礼子 緒形拳 光本幸子 倍賞千恵子 田中邦衛

 

 ◇梅庵が仕掛けられた!?

 藤沢文学の映像化に対してなんという感想をいうのかと叱られそうな気もするけど、ぼくにとって緒方拳はどうしても藤枝梅庵で、針で仕掛けることもあったけど、後のシリーズでは、懐に剃刀という名の隠し剣を仕舞い、まるで鬼の爪のように悪人を仕留めたりもしてた。

 だから、なんだか妙な感覚になっちゃうんだけど、いや、時の経過というのは、こういうもんなんだろね。

『たそがれ清兵衛』に続いて制作されたこの映画は、ちょっとばかりエンターテイメントが匂う分、しんしんと降る雪のような静かさは失せているものの、どうしようもなくせつない藤沢世界はちゃんとそこにあった。

 ことに、松たか子がきわめて好かった。

「ご命令だば仕方ありましね」

 という台詞に代表されるように、標準語しかよくわからない観客にもわかりやすい海坂藩の訛りだった。

 この頃、方言は見直されているらしいけど、実をいうと、東京の人達はけっこう東北弁を使ってたりする。

 んだべ? 

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エクソシスト

2007年04月22日 13時43分54秒 | 洋画1971~1980年

 ☆エクソシスト(1973年 アメリカ 122分)

 原題 The Exorcist

 監督/ウィリアム・フリードキン

 音楽/マイク・オールドフィールド 追加音楽/ジャック・ニッチェ

 テーマ曲/マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』

 出演/エレン・バースティン マックス・フォン・シドー ジェイソン・ミラー リンダ・ブレア

 

 ☆ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト』より

 舞台は、ワシントン。

 主要な場所になってるジョージ・タウンの階段は、いまも、エクソシスト・ステップスっていわれてるらしいけど、たしかにそのとおり、歴史に名を残す映画だったことはまちがいない。

 公開されたとき、ぼくは中学3年生だった。

 そりゃもう、大変だったさ。4チャンネル立体音響とかいうやつで、真横のスピーカーから「ぐえーっ」とかいう声が聞こえて、

「うわ」

 とかおもったもんだ。

 その後、ホラー映画はどんどん低年齢化して、どんどんつまんなくなった。

 そもそもこの映画はイギリスではR指定、アメリカではX指定の成人向き。なんで日本だけが妙に優しくて、テレビとかでも放映された。でも、リンダ・ブレアが性器に十字架を挿したり、卑猥な台詞をいいまくったり、ああいうのは、まじ、テレビで放映してもいいんだろかともおもったものだ。

 もちろん、この映画をけなしてるわけじゃなくて、おとなの鑑賞にたえる堂々たる傑作で、ぼくは大好きなんだけど、はたして子供に見せていいものかどうかっていえば、ぼくは首をふる。

 ところで、2000年になって、ディレクターズカット版(The Exorcist : The Version You've Never Seen)が封切られたんだけど、15分、未公開場面がつけたされた。

 でも、これまでになかった場面を入れようと入れまいと、この映画がホラー映画における最初の傑作であることは、たぶん、こののちも変わらないんだろうけどね。

(以下 2022年6月19日)

 カラス神父が録音したリーガンの謎の言語こと逆回しの英語を聴く場面で、スタジオの調整室の窓の上に『TASUKETE!』も赤い文字で書かれた紙が貼られてる。リーガンがやったってことだろね、たぶん。腹に『help me』が現れるのはその後。

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メメント

2007年04月21日 12時09分21秒 | 洋画2000年

 ◎メメント(2000年 アメリカ 113分)

 原題/Memento

 原案・監督/クリストファー・ノーラン 音楽/デヴィッド・ジュリアン

 出演/ガイ・ピアース ジョー・パントリアーノ キャリー=アン・モス

 

 ◎サミーを忘れるな

 前向性健忘症っていう記憶障害がほんとにあるのかどうかは知らないんだけど、なんとも懐かしい雰囲気の映画だった。

 大学時代、異常な記憶についてはいろいろと考えたことがあって、時の流れというものについてもなんだかんだと考えてた。

 だから、ラストから始まり、時の流れを逆行することで、10分前の記憶を探し求めてゆくうちに、おそらくまちがいないであろう記憶が数珠つなぎに繋がるという構成は、もっと簡単にできるかなとおもいつつも、なんとも心の躍るような愉しさが味わえた。

 10分前の記憶が失われてゆく設定と場面構成は極めて面白く、構成を追わねばならないのがいささか鬱陶しいんだけど、ね。ま、事件そのものは簡単なものなので、思わせぶりな演出さえ除けば、もっと万人が疑問を抱えずに済むのにな~ってのが、いつわらざる感想。

 でもまあ、自主製作映画を観てるような気分にさせてくれるし、低予算の映画でも脚本が凝ってれば、相当に満足ゆくものができるっていう見本みたいな作品に仕上がるんだっていうことを証明してくれたわけだから、さすが、クリストファー・ノーラン。

 でもさ、ノーランの世界に共通してるのは、やっぱり、時の多重構造なんだね。縦の世界っていうのか、時間軸と空間軸が、ノーランの場合は常に縦になってる。こういう感覚が自主製作映画っぽくていいんだよ~。

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ロング・キス・グッドナイト

2007年04月20日 20時33分24秒 | 洋画1996年

 ◎ロング・キス・グッドナイト(1996年 アメリカ 121分)

 原題/The Long Kiss Goodnight

 監督/レニー・ハーリン 音楽/アラン・シルヴェストリ

 出演/ジーナ・デイヴィス サミュエル・L・ジャクソン デヴィッド・モース ブライアン・コックス

 

 ◎ハネムーン作戦

 自分が何者なのか、記憶喪失になってしまったまま結婚して子供を設けるというのがよくあるかどうかはわからないんだけど、物語ではこれにひとつ味付けがされる。

 たいがいの場合、過去に人を殺してしまって、そのショックのため、あるいは自己防衛本能によって記憶を失くしてしまっているとかいうことになる。

 けど、ときに、ハリウッドではこんな設定をする。その若妻はかつて機械のように凄まじい殺し屋だったと。まあ、ありがちといえばありがちなんだけど、ほかにどんな映画があるんだと問われると答えられない。困ったもんだ。

 で、拾い物というか儲け物というくらい、おもしろい。

 ジーナ・デイヴィスはどちらかといえば地味で、ちょっとごついんんだけど、その分、以前は殺し屋だったというリアリズムはある。

 ただ、この場合は水車だけど、女性を下着姿にして拷問するっていう設定もこれまた定番のようによくある。これについては、場面だけは記憶がある。モーターボードの舳先に括りつけて海上を疾走して拷問するってやつだったけど、でも作品名はおぼえてない。困ったもんだ。

 ちなみに、レニー・ハーリンとジーナ・デイヴィスはこの作品の撮影の後に離婚しているそうだけど、やっぱりあの拷問はまずかったんじゃないかしら。

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レ・ミゼラブル(1995)

2007年04月19日 23時21分45秒 | 洋画1995年

 ◎レ・ミゼラブル(1995年 フランス 175分)

 原題/Les Misérables

 製作・監督・脚本/クロード・ルルーシュ

 音楽/ディディエ・バルベリヴィエン エリック・ベルショー

    フランシス・レイ ミシェル・ルグラン フィリップ・サーヴェイン

 出演/アニー・ジラルド ミシュリーヌ・プレール アレサンドラ・マルティネス ジャン・マレー

 

 ◎輝く光の中で

 1899年の大晦日に物語は始まる。

 つまりこの作品はヴィクトル・ユゴー作の『レ・ミゼラブル』ではなくて、それに着想を得たまったく別な『レ・ミゼラブル』ってことになる。

 伯爵殺害の嫌疑を受けて逮捕されるのがその運転手をつとめていたジャン=ポール・ベルモンドってわけで、投獄されて後に始める仕事が運送屋で、時あたかも第二次世界大戦ということになってる。

 それと、ユゴーの世界の中も筋に組み込まれているからそこではベルモンドがジャン・ヴァルジャンも演じるから、このあたり複層してるんだね。

 まあ、それはともかく、この映画はクロード・ルルーシュにとってもジャン=ポール・ベルモンドにとっても代表作のひとつといっていいだろうし、それだけの超大作なんだけど、どうもあまり知られてない。なんでかな?

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愛がこわれるとき

2007年04月18日 15時10分49秒 | 洋画1991年

 ◇愛がこわれるとき(1991年 アメリカ 98分)

 原題/Sleeping with the Enemy

 監督/ジョセフ・ルーベン 音楽/ジェリー・ゴールドスミス

 出演/ジュリア・ロバーツ パトリック・バーギン ケヴィン・アンダーソン

 

 ◇潔癖症と家庭内暴力

 そのふたつが昂じてしまうと逃げ出した妻をどこまでも追いかけるストーカーとなり果ては殺意の塊になる。

 まあ想像の範疇だし、そういう夫は少なくないんじゃないかっておもうんだけど、この日本でもね。でも、なかなか最後の殺人にいたるのは珍しいかもしれないね、この日本だと。けど、アメリカは日本よりも激情型の人間が多いのか、こんな事件はままあるのかもしれない。

 そういう病んだ社会をよく知っているところへもって、当時人気絶頂のジュリア・ロバーツが主演となれば、これは観るわな。で、ちょっぴりがっかりしたかもしれない。

 けど、さすがに物語はうまくしたもので、3年がかりの逃亡計画はわかるんだけど、溺死したとみせかけるために水泳を習ってても都合よく海に出られるかどうかわからないし、ようやく逃げおおせたにしてもとなりに大学教授の独身男が住んでて恋に落ちるなんてのは、なかなか現実ではないだろな~。次の人生すら送れるかどうか不安ってのが現実なんだろな~。

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レザボア・ドッグス

2007年04月17日 22時58分13秒 | 洋画1992年

 ◎レザボア・ドッグス(1992年 アメリカ 100分)

 原題/Reservoir Dogs

 監督・脚本・出演/クエンティン・タランティーノ 音楽/カリン・ラクトマン

 出演/ハーヴェイ・カイテル ティム・ロス マイケル・マドセン エディ・バンカー、スティーヴ・ブシェミ

 

 ◎色分け

 登場人物を色で分けるのは『サブウェイ・パニック』を嚆矢とするらしいんだけど、この『吹き溜まりの犬ども』よりも前に日本の自主製作映画『ゼロバード・チェイス』に観られる。

 ま、そんなことはさておき、宝石強盗に失敗して逃げてきたくそったれどもが仲間の中の誰かが警官だという真偽定かでない情報に翻弄されて疑心暗鬼に陥り、やがて仲間割れして殺し合い、でもそんな血みどろの殺し合いながらも銃を手にしなかったスティーヴ・ブシェミだけが逃げ去っていくわけだけど、ハーヴェイ・カイテルがこの血塗れのサスペンスを気に入り、映画化が可能になったのもよくわかる。

 なんといっても、耳に残るのはジョージ・ベイカー『リトル・グリーン・バッグ』で、内容を徐々に忘れていってしまっても、この主題歌だけはスティーヴ・ブシェミの怪異な顔つきとおんなじくらい忘れない。

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ゾンビ

2007年04月16日 18時38分59秒 | 洋画1971~1980年

 ◇ゾンビ(1978年 イタリア、アメリカ 115/139分)

 原題/Dawn of the Dead

 国際題/Zombie

 監督・脚本/ジョージ・A・ロメロ 音楽/ゴブリン ダリオ・アルジェント

 出演/デビッド・エンゲ ケン・フォリー スコット・H・ライニガー ゲイラン・ロス

 

 ◇モール街の生ける屍

 当時、ぼくは高校生だった。

 ぼくの田舎では洋画の2番館があって、封切り作品が3本立てで観られた。だからこの作品も他2本と同時上映で、でも、ほかになにを観たのかは忘れた。

 印象に残ってるのはこの『ゾンビ』だけだ。

 けど、その頃、ぼくはなんとなく腑に落ちなかった。なんでかっていうと、物語の真ん中あたりを抜き取ってきたような気がしたからだ。あとで三部作だと知ったとき、あ、なるほど、とはおもったものの、物語がそっくりそのまま繋がっているわけじゃなかったから、ぼくの感覚はまちがってたようなまちがってなかったような不思議な気がした。

 アンドリュー・ロメロのアの字も知らない頃の話だ。

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